イ・ミヌ記者 ニュースピーク( 2023.01.07)




ソウル西部地裁、尹美香議員・正義記憶連帯の公判結審.......210日判決

 


平和の少女像(水原市庁前、水原オリンピック公園)ニュースピーク

 



 「私は今後もチャンスがあれば、私の生が全うされるその日まで、ハルモニたちとの約束を実行する人生を生きたいと思います。そう出来るように、温かい正義がこの法廷で実現されることを切実に訴えます」


 尹美香国会議員(無所属)は最終陳述で「私と私の同僚たちが再び日本軍『慰安婦』被害者たちと交わした約束を守り、思い切り平和の羽ばたきが出来るよう賢明な判決を望みます」とし、上記のように述べた。




 ソウル西部地方裁判所刑事合議11部(部長判事ムン・ビョンチャン)は6日、尹美香議員と日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯(正義連)に関する結審の公判を開いた。



 この日の公判では、尹美香議員と共に起訴された金某「戦争と女性の人権博物館」館長が最終陳述をおこなった。



 尹美香議員は淡々と最終陳述書を読み下した。しかし、去る2年余にわたる裁判過程を振り返る部分を読んでいた尹美香議員は「死」という単語のところで、それ以上続けることが出来なくなった。傍聴席からはすすり泣きが漏れた。

 



尹美香議員「拙く不十分ではあったが私益を追求する意図で働いたことはない」

 

 まず、尹美香議員は「この30年間、国際社会の支持を受けながら、日本軍『慰安婦』ハルモニたちと共に築きあげてきた温かい正義がこの法廷で回復されることを願う気持ちで、私の最後の訴えを述べたい」と始めた。



 とりわけこの日の公判で尹美香議員は、検察側の挺対協・正義連は私益集団だという主張に反論した。「個人の金銭的利得を得る意図」で挺対協で働いたことはないことを明確にしたのだ。



尹議員は45名しかいなかった挺対協事務所の活動家たちが△内部会議の準備、△毎週おこなわれる水曜デモの進行、△全国の被害者訪問と福祉活動、△博物館の建設・運営、△平和の少女像の建立、△国際活動など多くの活動をしてきたことを振り返り、「その過程で行政と会計上の未熟さなど不十分な点があった」とし、「しかし拙く不十分ではあったが、検察が主張するように、私益を追求する意図で挺対協で働いたことはない」と強調した。



 さらに尹美香議員は「私と私の同僚たちが再び日本軍『慰安婦』被害者たちと交わした約束を守り、思い切り平和の羽ばたきが出来るよう賢明な判決を出して欲しい」と訴えた。



 共に起訴された金館長も、最終陳述で「中間管理者として民主的な手続きによって決定された事業がきちんと遂行されるように活動家たち、協力者たちと共に推し進めていった」とし、「独断で決定して進められることは何一つない。挺対協と博物館は国家の補助金に関するそれぞれの事業を遂行する上で誠心誠意、最善を尽くして事業をおこなった」と、検察の主張に反駁した。

 



弁護団、「尹美香の悪魔化、ハルモニの活動をうわべだけと貶めている」と検察の起訴を叱責

 

弁護団も検察の主張には納得できないと反論した。

検察はこの日、尹美香議員に懲役5年、金館長に懲役3年を求刑した。尹美香議員らが日本軍性奴隷制問題解決運動をおこなう過程で業務上横領、背任等をおこなったというのが検察側の主張だ。



 これに対し弁護団は「公訴状と裁判過程、検察の論拠を見ると、検察は大前提をおいているようだ」とし、「挺対協等は外見的には公的市民団体だが専横が可能な団体で、被告人は団体活動を口実に私的利益を得ていただけだ」というものではないかと、検察の論理を皮肉った。

 さらに「甚だしくは、代表ではなかった時に、本人が関わっていない内容まで尹美香の責任だと言っている」と、検察側主張の問題点を指摘した。



 弁護団は「検察がなぜこのように考えるのか疑問だ。納得がいかない」とし、「10年間に1億ウォンあまりを横領したと言うが、被告は最低額の給与をもらいながら活動した。給与の引き上げも自ら断った。個人的に収益が出来るとほとんど全額寄付した。公的に確認された寄付金が、横領したと起訴された金額を超えている。検察の控訴の趣旨通りだとしたら、給与を上げるなどして、合法的にも経済的利得を得ることが出来た人物だ。ところが、このような行動は別で、こっちの部分は納得がいかないと言って横領だと言うのは疑問だ」と反論した。



 また弁護団は「吉元玉ハルモニは日本軍『慰安婦』問題解決運動の活動家だ。活動の過程で多額の寄付をした。代表的なものに吉元玉女性平和賞がある」とし、「この賞は挺対協財政に直接的にプラスにはならない。むしろ挺対協がもっと働くことで間接的な費用を負担する。被告人の経済的利得とは全く無関係だ。ところが、ひたすらハルモニの存在と活動を称える賞を制定するために公開的に違法行為がなされたと言うのか?疑問だ」と反論した。



 背任容疑についても「検察は広範囲な調査をおこなったが、これと関連して裏金が取り交わされたとか、不正がおこなわれたといったことを発見できず、売却人についても背任の共犯としての責任を問うていない。購入決定過程で寄付者が問題提起をしたわけでもない。それなのに、何の関係もない売却人に3億ウォン以上の不当な経済的利得を与えるために契約を強行したと主張している」と述べた。



 さらに「被告人の私的組織として挺対協、正義連を見なすのは本当に侮辱だ」とし、「本件を理解しようと思うと、尹美香の行為だから問題にしているのではないかという疑念が湧く。被告人を悪魔化せず、ハルモニの活動をうわべだけのものだと貶めないならば、公訴自体が問題だ」と断じた。

 



尹美香議員、「苦痛の時間を止めるため死を考えた」...傍聴席からすすり泣き

 


日本軍「慰安婦」メモリアル・デー・チャレンジをおこなう尹美香国会議員(無所属)ニュースピーク

 



 この日の最終陳述で尹美香議員は、20205月以降、現在までの心境についても明かした。「死を考えた」という部分では、言葉に詰まった。傍聴席からはすすり泣きが漏れた。

 尹議員は「両目を開けて見るにはあまりにも苦しい2年半の時間だった」とし、「被害者たちと活動家たち、日本軍『慰安婦』問題解決運動が経験した、このような苦痛の時間を止めるために、私は死を考えたこともあった」と打ち明けた。


 「しかし、金福童ハルモニの死を目前にして『希望になる』と誓った約束、姜徳景ハルモニの最期の病床で『ハルモニが亡くなっても、ハルモニの分まで頑張るから信じて』と言った約束、黄錦周ハルモニに『ハルモニが逝った後も日本政府の謝罪、必ず受け取ってみせます』と言った約束を守らなければならないという思いで耐え、そのために裁判に最善を尽くして誠実に臨んできました」


 そして尹議員は「極度の苦しみを経験した」家族について述べ、「202057日、あの日から2年半の間に私が個人的に経験したことは、人生の全てが崩れ落ちていくようなものだった」と吐露した。


 金館長も「全身がズタズタに切り裂かれるのを感じながら生き抜いた時間だった。人生の基盤だった活動の場も失い、身も心も満身創痍となって、共に活動した同僚も失うことになった」とし、「全てが崩れ落ちた状態で孤独と絶望の中で独りで長い時間を耐え抜かなければならなかった。そして、その時間は今も現在進行形だ」と語った。


 金館長が「この20数年間、自分自身に対しておまえは不誠実だったのか、利己的だったのか、欲を張ったのか、奢っていたのか、誰かを傷つけたのか、だからこの場に立っているのかと問い返し、また問い返す時間だった。一方では自らを絶えず責める時間でもあった」と述べた時、傍聴席は粛然とした。

 




尹美香議員、「日本軍『慰安婦』被害者たちの人権と名誉が毀損されないよう助けて欲しい」



 とりわけ尹美香議員と金館長は、日本軍性奴隷制問題解決運動は続けられなければならないと強調した。


 尹議員は「今、日本軍『慰安婦』問題を解決するための運動は、非常に厳しい状況におかれている。もう被害者は数人しか生存していない」とし、「韓国の場合、240人申告した被害者のうち、先週も一人が亡くなられ、現在10人が生存していらっしゃる状況だ」と述べた。


 さらに尹美香議員は「被害者が衰弱した隙に、日本政府は加害者としての犯罪認定も、謝罪も、賠償もせずに、韓国政府が少女像の撤去、最終的不可逆的解決、国際社会における非難の自制、裏面合意として性奴隷という用語の使用禁止等を約束した2015『慰安婦』問題に関する日韓合意で全てが最終的に終わったとして、韓国政府に合意を守れと要求しており、世界各地に建てられた少女像を撤去するため外交力を駆使している」と、日本政府の厚顔無恥な行動を指摘した。


 尹美香議員は「ハルモニたちが歩んで来られた人権運動家の人生が、世界から英雄として希望として評価された日本軍『慰安婦』被害者たちの活動が、自身の意志もなく非主体的に、活動家たちに引き回された運動であったかのように貶められることがないよう、被害者たちの人権と名誉が毀損されないよう助力をお願いしたい」と裁判所に訴えた。


 金館長も「これ以上、へこたれたくない。これ以上、壊されたくない。不名誉に終えたくない」とし、「この道を行こうとする未来世代をためらわせたくない。これ以上、歴史否定の声が高まるのを見ることも、聞くこともしたくない」と強調した。



 尹美香議員と正義連に関する公判は、この日結審した。判決は210日午後2時に言い渡される。

 


(訳 梁澄子