アフタートーク  平井美津子さん(左)と宋元根監督(中)





2023128日、こうべまちづくり会館にて、映画『金福童』の上映会を開催しました。この日は金福童さんの4年目の命日です。当日は約80人の参加を得て、盛況なイベントとなりました。

 


映画『金福童』は、金福童さんが名乗り出てから亡くなるまでの半生を追ったドキュメンタリー映画です。


「やる人がいないのなら自分がやらなければならない」という使命感や、公的な発言のある前日には眠れない夜をすごしたという責任感が彼女の人柄をとても表していました。そして何よりも、故郷の釜山からソウルに出てくるときに妹に語った「若い人たちに同じ苦しみを味合わせたくない」という言葉が、彼女の決意をとても表していました。

そういった彼女の決意は、人に対する優しさにも表れています。




2015年日韓合意に反対して「和解・癒し財団」の式典で反対しスクラム組んで座り込んだ女性たちを警察が引きずり出す場面がありました。その事態をみて金福童さんは「わたしを捕まえろ」と叫び、逮捕された若い女性に優しい言葉をかけていました。




金福童奨学金を手渡すために京都の朝鮮学校を訪れた時には、自分自身が慰安所に連れて行かれたのと同年齢の女性たちを前に声が詰まりまがらも、「勉強をして立派になって」と励ましていました。おそらくは自分自身が学問を納められずその後の人生を決定づけたことも振り返りながら。



金福童さんが誰のために闘っていたのか、とてもよく理解できたと思います。

 


映画上映の後、平井美津子さんのアフタートークです。

平井美津子さんからは自分自身の授業実践の体験から、子どもたちに逆に教わった体験などを話されました。




平井美津子さん:授業実践の体験から、子どもたちに逆に教わった体験などを話されました。




「慰安婦」問題を授業で始めた当初、「慰安婦」=かわいそうな人、被害者という図式で、どこか上から目線で教えていたのだと平井さんは言います。けれど子どもたち自身は、全く違うように受け止めていました。


「彼女たちが自分たちの要求を日本に示すことができたのはすごい」


「『慰安婦』の人たちが立ち上がって行動する勇気を私たちも引き継ぎたい」


子どもたちのほうがとても豊かで自然な感性を持ち、物事を正しく見ることができるのです。平井さんは子どもたちに教えられましたが、それはまた私たちにとっても同じことです。



 

そして監督のソン・ウォングンさんも登壇し、観客と対話を行いました。観客からもたくさんの質問や意見がありました。

正義連へのバッシングを心配している。いまどうなっているのか。

韓国にも右翼がいるが、映画『金福童』上映に際して妨害などなかったのか?

朝鮮学校の生徒たちに監督から励ましの言葉を。。。等々



ひとつだけ興味深かった応対を紹介します。若い女性からの質問でした。

「和解・癒し財団でスクラム組んだ女性たちを警察がごぼう抜きするときに、女性警察官で対応しているのが気になりました。私は辺野古の座り込みにも参加したことがあるのですが、当然のように男性の機動隊員がしていました。日韓のジェンダーギャップに驚きを感じます」



監督からは「女性の体を触れることになるので女性の警察官が対応するのは当然のこと」と、日本の現実に逆に驚いておられました。

この映像を観なければ、おかしいことをおかしいと気づけなかったのかもしれません。

 


「慰安婦」問題を考える会・神戸としては、日常的な水曜デモ等を除けば、実は久しぶりのイベントでした。たくさんの方々と金福童さんの人生を共有し、対話を深められたことは、私たちにとっても大きな喜びでした。また平井さんのお話からも、訴え続ければ後世の若い人たちの心にきっと届く、若い人たちのほうがずっといい感性を持っていると確信しました。



平井美津子さん、ソン・ウォングン監督、そして同じ場を共有していただいた参加者のみなさま、本当にありがとうございました。

「慰安婦」問題を考える会・神戸は金福童さんの訴えを胸に、神戸の地からこれからも闘い続けます。

 


報告:「慰安婦」問題を考える会・神戸 岡田 大