【ニュース・ザ・ワン=ヨム・チェオン記者】2022.10.25

 


 尹美香国会議員「歴史問題は進歩、保守を問わない問題...国益に直結 


「強制徴用と慰安婦被害者たちは、自分の問題が国益の障害になることを望まない」 


「韓半島に戦争が起きれば日本は再び侵略する」

 



 

930日、独島から150km近海で韓米日合同軍事訓練が行われた。日本は独島を自国の領土だと主張しており、独島を「竹島」と表記して歴史教科書に掲載するなど、歴史問題に対する反省すらない中で軍事訓練が行われ、専門家ら多くの人が憂慮している。

 とくに強制徴用と慰安婦、福島原発汚染水などの韓日問題が山積している中、この韓米日合同軍事訓練が行われ、火中の栗になることが予想される。

 ニュース・ザ・ワンは、韓日関係の健全回復のために努力している尹美香(ユン・ミヒャン)議員に韓日関係の解決方法、そして議員活動について聞いてみた。

 



 


国会議員ユン・ミヒャン議員のインタビューをした(チエ・ドンウオン記者)




(記者)先ごろ、独島周辺で韓米日合同訓練を行い、北韓が強く反発して不安が高まっています。尹議員はフェイスブックで戦争反対を積極的に主張しています。これに関する尹議員の考えをお話しください。

 

 

(尹) 日本は東海を「日本海」と呼称し、独島は「竹島」で自国領土だと教科書で教えています。日本だけでなく、国際的にも東海より日本海をより多く使用しています。

 

 私たちが独島などの歴史問題を国際社会に訴えると、日本政府は外交力と金力を使って積極的に妨害しています。

 

 そんな中で過去の歴史を反省しない日本の海上自衛隊と独島近海で韓米日合同訓練をするのはとても危険です。

 

 日本の「平和憲法」9条が1947年に施行されて75年になりました。平和憲法9条は「国権の発動による戦争及び武力による脅威または武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては永久に放棄する。またどのような戦力も保持せず、国家の交戦権は認めない」と明示されています。

 

 しかし岸田総理は産経新聞とのインタビューで、「日本の現行憲法施行75年を迎えた今年、必ず違憲論争に終止符を打ち改憲する」と明らかにしました。平和憲法修正は安倍政権からの継承政策です。

 

 しかし日本国民は(改憲を)望んでいません。特に日本の青年たちは強く反対しています。再び過去の愚を犯さない日本を望みます。これに安倍政権は勿論、現政権も憲法9条を維持しながら自衛隊の存在を憲法に明記する迂回戦略をとっています。

 

 今回の韓米日軍事訓練は、日本政府の自衛隊合憲化を韓国政府が助ける形になっています。これは韓国政府の世界平和に反する行為であり、その後ろに米国がいると言えます。

 

 金順徳(キム・スンドク)ハルモニは、「日本は(朝鮮から)退く時、また必ず戻って来ると言っていた。しっかり警戒しなければいけない」と話されました。金学順(キム・ハクスン)ハルモニは、「韓国女性たちはしっかりしなさい。そうでないとまた酷い目にあう」と言いました。金福童(キム・ポットン)ハルモニは「戦争する時あの旗(旭日旗)を掲げて私たちを引っ張りまわしたのに、今それを掲げて私たちの土地になぜ来るのか?」と言いました。このように韓半島に戦争が起きれば、日本が韓国を再侵略できることを肝に銘じなくてはなりません。

 

 過去の保守政治家のうち鄭夢準(チョン・モンジュン)議員と金乙東(キム・ウルドン)議員は、日帝の歴史問題にとても原則的な姿勢をとりました。歴史問題は進歩・保守の立場とは無関係で、韓国の国益に直結する問題です。

 

 韓国民が日本国民に反対し、嫌うということではありません。 

 

 日本の右翼と軍国主義を警戒するものです。経済と通信も重要で、日本市民と親しくなり文化交流をすれば平和も築かれます。問題を縮小するための「反日」、「親日」という否定的な用語より、新たに肯定的な用語を作る必要があると思います。

 

 知韓派のような韓国をよく知る外国人、日本人と私たちの場合、日本をよく知って韓日関係を肯定的に引っ張っていく人材が必要です。実際、良心的な市民団体や知識人、名前も知らない日本の市民たちが沢山います。粘り強く韓・日関係を修復しようとする、健康で崇高な両国の市民たちが本当に多いです。

 


尹美香議員が国政監査で質問する模様(尹美香議員室 提供)

 

 


(記者)日本との歴史問題に触れざるをえません。日本の強制徴用と「慰安婦問題」は日帝強占期の強制動員とともに、韓日間の認識差が大きな争点になっています。日本軍「慰安婦」問題は日本軍と日帝によって行われた不法的で暴力的な行為であり、被害者たちに対する補償が全くなされていません。韓国の現政権は、この問題を韓日関係改善や韓日首脳会談の障害と認識しているようです。

 

 

(尹) 尹錫悦政権の外交目的はなにか?韓日関係改善の目的は何か?結局、国民のための国益ですが、尹錫悦(ユン・ソンヨル)政権はこの目的を見失いました。この目的が鮮明なら、36年日帝強占期の日本軍国主義に反対し、過去を反省しない日本政府に問題提起しなければなりません。

 

 奪われたわが国民の人権と労働権、幸福追求権を回復し守ることが国家の役割です。しかし韓国政府がこの役割をきちんと果たさなかったので、日本に裁判を提起し、韓国の法院に訴え、結局勝訴しました。

 

 

(記者)日本外務省の第一課題が「平和の少女像」撤去だといいます。これをどう考えますか?

 

 

(尹) 米カリフォルニア州にあるグランデール市に日本軍慰安婦被害を象徴する「平和の少女像」が2013年に建てられました。この時には金福童ハルモニも参席しました。

 

 この時日本政府が最初にしたのは「訴訟」でした。豪州シドニーに少女像が建てられた時も日本政府は豪州国家人権委員会に提訴しました。その日本政府の論理は、日本に対する人種差別というものでした。しかしそれ以降も全世界に平和の少女像が建てられました。米国、日本、カナダ、豪州、ドイツなど多くの国に平和の少女像が建てられており、これは世界平和のための私たちの努力でもあるのです。

 

 

(記者)1,2審は敗訴しましたが、2012年原告勝訴、差戻し判決が下され、2013年差戻し審で「原告に各々1億ウオンを支給せよ」と原告一部勝訴判決が出ました。そして201810月に大法院全員合議体で確定判決しました。当時、金ミョンス大法院長は「この事件で問題となる原告たちの損害賠償請求権は、日本政府の韓半島の不法的植民支配及び侵略戦争の遂行に直結した日本企業の反人道的な不法行為を前提とする慰謝料請求権、いわば強制動員慰謝料請求権であり、これは請求権協定の適用対象に含まれていると見ることはできない」と言いました。

 

 

(尹) はい、ですが韓国司法府の判決を行政府が認めないかのような姿勢をとっていました。2011年憲法裁判所ですでにあった判決が出されました。本来は日本軍慰安婦の賠償紛争解決不作為事件といわれるのですが、わかりやすく言えば、韓国政府が慰安婦被害を外交的に放置したことが明白に違憲であると指摘したものです。

 

 即ち、わが政府が外交経路を通じて異義を提起しなかったのは、国家が国民の権利保護に対する義務を履行しないという不作為、違憲であると確認した判決です。国家人権委員会決定文にも「韓国政府は憲法裁判所の違憲決定を厳粛に受け止め、日本軍慰安婦被害者たちの人権回復のための多様で積極的な外交的措置の履行を促す」としました。続いて韓国政府がすべきことは、韓国司法府の決定を尊重して、日本政府に積極的にこの問題を提起しなければならないのです。

 

 そのため、歴史問題と韓国の国益のために、ツー・トラックで政策展開しなければなりません。歴史問題とは別に経済と貿易、安保は、韓日両国の利益に合わせて政策立案しなければなりません。強制徴用と慰安婦被害者は、誰も自身の問題が国益の障害になることを望んでいません。

 

 むしろ日本右翼や韓国の一部政治家がこれを悪用しているだけです。被害者たちは法的賠償を求めているだけです。強制労働をさせて、労賃を手渡さなかったので、不法行為に伴う法的賠償を要求するものです。

 

 

(記者)さる9月に朴振(パク・チン)外交部長官は、日帝強制動員被害者の李チュンシク(98)氏とヤン・クムドク(91)ハルモニの自宅を訪問し、故・金ヘオク・ハルモニのお墓参りをしました。朴長官は「日帝強制動員被害者と続けて会い日本企業の賠償問題を早期に解決する」と言いながら、関連裁判を遅らせる意図で提出した「外交部意見書」は撤回しないと表明しました。見せかけの訪問ショーではと憂慮されます。

 

 

() 日帝強制動員被害者は明確にこの問題を認識しています。30年以上日本政府と闘いながら自然に体得したものであり、自ら闘いながら勝つ方法を学んだのです。

 

 ヤン・クムドク・ハルモニは「死ぬまでに聞きたいひと言」という本を出しましたが、その「ひと言」がまさに日本政府から心からの謝罪を受けること、そしてその謝罪は言葉だけでなく賠償が伴わなくてはならないというものです。しかし、このひとつも実現していません。先日、金玉順(キム・オクスン)ハルモニも他界されました。被害者はこれ以上待てないのです。大法院に強制徴用問題を提起した被害者たちも一人二人と亡くなられています。しかし、この方たちがみな他界されてもこの闘いは終わりません。

 

 2013年朴槿恵前大統領は3・1記念式で、「加害者と被害者という歴史的立場は千年の歴史が流れても変わることはない」と言いました。とても大切で立派な言葉です。その後、米国務省は韓国政府を強く圧迫しました。韓国の歴史問題解決を妨害しているのは、歴史問題でも被害者でもありません。妨害しているは、日本の右翼と政治家、そしてその背後の米国です。

 

 朴槿恵政権の「2015韓日慰安婦合意」発表翌日の1229日、当時駐韓米軍司令のカーテイス・スカパロティが、「2015韓日合意は韓半島に米国の軍事的介入の門を開けてくれた」と言いました。また米ホワイトハウスはスーザン・ライス国家安保補佐官が、『韓国と日本政府が合意を見出したことを祝福する。両国は合意文で慰安婦問題を「最終的で不可逆的」に解決したことを明確にした』と話しました。

 

 ウエンディ・シャーマン当時国務部政務次官は、「オバマ政権の任期中ずっと東北アジア地域は対外政策の中心となるだろう。米国の安全と繁栄はアジア・太平洋地域と不可分の関係」と話しました。これは韓日慰安婦協議の背後に米国がいることを反証するものです。

 



尹美香議員はさる68日「世界海洋の日」、「福島原発汚染水海洋放流阻止国際共同行動」に市民団体とともに参加した(尹美香議員室提供)

 

 


(記者)福島原発汚染水問題は非常に深刻な問題と思います。日本は既存世代は勿論、未来世代にも取り返しのつかない問題をもたらします。20214月、日本政府は東電福島第1原発に保管中の汚染水を海洋放流すると最終的決定しました。2年後に放流を始め、30年間汚染水を放流する計画で、これは深刻な国際問題に他なりません。尹議員はこれに関心を持っていますが、市民団体協力や中国・ロシアなど近隣国家との連携など、具体案がありますか?

 

 

(尹)環境労働委員会に属した時から、福島汚染水問題を議員活動の主要課題にしています。福島原発汚染水関連のアンケート調査をしたことがあります。670名の青少年を対象にしたアンケートですが、中高生の76.4%が、福島原発汚染水の海洋放流に反対しています。

 

 深刻なのは、中・高校生10人中7名は福島原発汚染水に対する韓国政府の対応について全く知らず、より積極的な韓国政府の役割を求めました。

 

 そして今年4月に私は、福島原発汚染水の海洋放流対応「国際フォーラム」を開催しました。米国、日本、豪州から専門家と活動家が参加しました。国際フォーラム座長は私で、主題発表は豪州のヘレン・カルデッコ博士と日本の満田夏花・地球の友事務局長がしました。

 

 討論者も多様な専門家が参加し、人類の安全と人権、海洋生態系を脅かす福島原発汚染水の海洋放流阻止のための国際連帯の必要性を確認しました。福島原発汚染水問題は日本、韓国、ロシア、中国は勿論、米国などの太平洋沿岸国にも深刻な問題であるので、力を合わせなくてはいけません。

 

 またさる8月、国際共同声明書「日本福島原発汚染水の海洋放流中断要求 公開書簡」を韓国国会議員60名と海外専門家の連名で日本外務省、経済産業省、衆参両院へ手渡しました。放射性汚染水を海洋放流するのは明白な国際法違反です。

 

 1972年ロンドン協約と1996年ロンドン議定書によれば、放射性物質を海へ放棄するのは厳格に禁止されています。しかし韓国政府は汚染水放流後の対策・補償・支援などの受動的論議をしていて、とても不適切です。

 

 放射性汚染水は一旦放流されれば取り返しがつきません。したがって国政監査でも福島原発汚染水関連問題を提起していますが、今後にも周辺国の政治家、関連専門家、市民団体と連携してこの問題解決のための努力をします。国際仲裁裁判など、農海水委員と力を合わせて対応します。

 

 

(記者)国政監査期間中(10424日)、農林畜産食品海洋水産委員会で問題提起したり質疑できない理由は何でしょう?

 

 

 農村、水産、山林の問題を生命と平和という大きな枠でどう取り扱うのか苦心しています。特に食糧安保と気候環境などの国家政策にあって、結局は農民と漁民など、土と海で働く人たちの権益を保障することが重要です。このために関連法改正と政策提案に重点を置いています。

 

 また、炭素ニュートラル社会へ向かうにあたって、スローガンだけでは実践を生み出せません。例えば、海洋プラスティック汚染問題が深刻ですが、単に使い捨て用品の使用を控えようと喚起するに留まるのではなく、国家政策でプラスティックを規制し、農漁業民に提案できる政策を予算を通じて支援する積極的・能動的な行政が必要です。

 

 

(記者)尹議員は阻害された階層に関心を持っています。船員の人権問題、外国人労働者問題、農村と漁村の女性労働者問題が代表的です。特に女性農漁民は権利と適切対応が保障されていません。最近の5年間、水産業協同組合(水協)の子会社の鷺梁津(ノリャンジン)水産市場、水協資料、水協開発、威海(ウィヘ)水協に女性役員がただの一人もいないと言います。この問題の解決策は何でしょうか?

 

 

(尹)水産業協同組合中央協議会によれば、水協中央会女性組合員数は増加しているけど、女性役員の数は非常に少ないです。例えば水協中央会女性役員は全体31名中2名で、残りの子会社では大部分女性役員が一人もいません。女性従事者の組合加入率増加は歓迎すべきです。しかし組織内の意思決定権限がある女性役員率の裏付けがなければ、女性漁業者を代弁する声が縮小するだけです。

 

 水協は女性漁業者の意見が忠実に反映されるように女性人員を高めることに尽力し、女性漁業者のために実効性ある政策準備に努力すべきです。今回の国会監査でもこの問題を指摘し、関連法を改正し、女性漁業従事者と積極的に会って組織的意見が反映されるよう努力します。

 

 

(記者)尹議員は「クジラ海洋保護所造成」、「動物避難所」などの動物権にも関心を持っています。ENAの「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」が大変な人気を集め、「クジラ」に関する新鮮なイメージを国民に与えています。ドラマの中でウ・ヨンウは、「済州島西帰浦大静邑では子どもたちが子イルカと一緒に泳ぐ姿をよく見るそうです。ミナミバンドウイルカと必ず会いに行きます」と言いました。また、狭い水族館に17年間閉じ込められていたミナミバンドウイルカが海へ帰ることになったという報道がありました。関連して議員活動の計画はありますか?

 

 

(尹)クジラ保護所は現在、国内水族館に残っている21頭のクジラ類のためのものですが、ウミガメ、スナメリ(イルカの一種)など、座礁・漂流した海洋生物の救助・治癒と自然放流のための治療・訓練施設として活用が可能です。

 

 国民たちの動物福祉に対する関心が非常に高くなり、保護所はクジラ類などの海洋哺乳類の動物福祉改善に対する国民の期待に応えることができます。農海水委員会予算決算委員として、2023年予算にクジラ海洋センター造成の予算が組まれるよう努力します。その他、馬事会の馬福祉問題なども関心を持っています。

 

 

(記者)最後に述べたいことや今後の計画は?

 

 

(尹)著作を準備しています。「25年間の水曜日」を発刊して水曜集会についての記録を残しました。その次は人物を中心とした話を書きたいです。人が中心になる物語、そこには私も含め、来年に本が発刊できるよう準備しています。



(訳 権龍夫)