2022年3月27日、「日本軍『慰安婦問題を記憶・継承する会・滋賀」スタート集会を開催しました。会場とオンラインという慣れないハイブリット集会でしたが、何とかクリヤーし、79名の皆さんのご参加で成功しました。



おかだだいさんの講演は、日本軍「慰安婦」被害者の生の声を描いた映像もまじえながら、日本軍「慰安婦」問題の基本的なことを、日本政府の見解や歴史修正主義の意図をしっかり批判しながら、事実に基づいて、まさに「いちからわかる」お話でした。まとめとして、日本軍「慰安婦」問題が、性奴隷制であることと、そこに国家が主体的に関与していたことを明確に結論付けされました。




本集会には、日本軍「慰安婦」問題を記憶・継承する会・京都や「慰安婦」問題を考える会・神戸からメッセージをいただき、また日本軍「慰安婦」問題・関西ネットワークなどの方もご参加になり、情報の案内などいただきました。




当会は、本集会を機に滋賀の市民運動をスタートさせました。日本軍「慰安婦」問題を記憶・継承するために、当面、8月14日のメモリアルデーに向けて取組みの検討をしていきます。



日本軍「慰安婦」問題を記憶・継承する会・滋賀 事務局



 FBアドレス https://www.facebook.com/keisyo814shiga  







【趣意書】



 日本軍「慰安婦」問題は、日本軍が戦時に女性を性奴隷とした極めて重大な人権蹂躙の問題です。被害女性の多くが、日本により植民地支配、占領された地域から動員されたことからも、女性の人権の問題であると同時に、日本による侵略や支配の歴史の問題でもあります。



 1991 年8月14日、韓国の金学順(キム・ハクスン)さんが、日本軍「慰安婦」被害者として日本政府に謝罪と賠償を求めて初めて名乗り出て以来、韓国だけでなく世界各国の被害者が声をあげ、二度と同じ被害を生まないように、日本政府に責任ある対応を求めてきました。日本政府は、1993年、日本軍の関与を認める河野官房長官談話を発表し、1995年には「女性のためのアジア平和国民基金」によって「償い事業」を開始しました。しかし「歴史の真実を回避することなく、むしろこれを歴史の教訓として直視していきたい」とした河野談話とは逆に、日本軍「慰安婦」問題に関する歴史否認の動きが特に第一次安倍政権以後、強まっています。



 その一方で国際社会においては、世界各国の被害者たちの勇気ある証言と、正義を求める声が、戦時性暴力が不処罰であってはならないという流れの礎となりました。国連においては、日本軍「慰安婦」制度は性奴隷制度であり、被害者の真実、正義、賠償を求める権利を確保すること、歴史教育に取り組むことなどを日本に対して繰り返し勧告しています。米国や欧州議会などにおいても日本政府に謝罪を要求する決議が相次いでなされ、日本軍「慰安婦」問題を記憶・継承し二度と被害を生まないためのモニュメントも世界各地で建てられています。



 そのような中、2021年1月8日に韓国のソウル中央地方裁判所が、日本軍「慰安婦」被害者が日本政府に損害賠償を求めていた裁判で、日本政府に慰謝料の支払いを命じる判決を下しました。日本政府は、国家には他国の裁判権が及ばないとする「主権免除」を理由に裁判を否定し、控訴しなかったので判決が確定しました。この判決は、重大な人権侵害については、どんな国家にも免罪符が与えられないという国際法の新しい潮流を受け入れて「主権免除」の壁を乗り越え、司法を通じて原告の尊厳回復、正義を実現した画期的なものでした。



 ところが判決に対する日本国内での反応は非難一色でした。2021年2月には、滋賀県議会で「日本政府に対する損害賠償請求訴訟に関する韓国ソウル中央地方裁判所の判決を非難する決議」が、翌3月には、東近江市議会でも「元慰安婦等による日本政府に対する損害賠償請求訴訟に関する韓国ソウル中央地方裁判所の判決に対し断固たる措置を求める意見書」が採択されました。これらは、原告の被害女性を日本の「国益」を侵す存在と決めつけ、三権分立を無視して韓国政府に「適切な措置」を求める内容で、河野談話にある「女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題」という最低限前提となるべき認識すら見られませんでした。



 これに対して、滋賀県民、東近江市民は緊急に集会などを行って抗議の声をあげ、全国からも当該議会に対して抗議や要請のメッセージが寄せられました。しかし、採択は阻止できず、全国で滋賀県内においてのみこのような議会の動きがあったことに、滋賀県民として、強く危機感を持ち、重く受け止めざるを得ませんでした。




 2021年は金学順さんが名乗り出て30 年となる年でした。私たちは2021年8月14日、「8.14 メモリアル・デー」の催しとして、映画「終わらない戦争」を鑑賞し、日本軍「慰安婦」問題は、日韓間で政治的に決着すれば解決するような問題ではないことを改めて学びました。




 1 年前のような歴史歪曲の動きを二度と許さず、被害者の人権回復を図るためには、日本軍「慰安婦」問題を記憶し、継承する市民の運動が、滋賀においても必要だと考えています。そのような思いを共にする人たちと、ここに「日本軍「慰安婦」問題を記憶・継承する会・滋賀」をスタートさせたいと思います。道は険しく、今後の情勢は予断を許さないでしょうが、多くの皆さんと共に歩みたいと考えます。



【活動の内容】


①毎年の「8.14 日本軍『慰安婦』メモリアル・デー」において、日本軍「慰安婦」問題を記憶・継承するための取り組みを行う。

②日本軍「慰安婦」問題への誤った動きを正し、事実に基づいた正しい歴史認識を広めていく。

③県内の地方議会議員及び県選出の国会議員などへの働きかけを行う。

④その他、各地の運動と連帯して、日本軍「慰安婦」問題を記憶・継承するための取り組みを行う。