2022年3月20日開催 主催:日本軍「慰安婦」問題解決ひろしまネットワーク

 


左からジャン・ラフ・オハーンさん、娘のキャロル・ラフさん、孫のルービー・チャンレジャーさん(撮影:グレッグ・ウエイト)




アジア太平洋戦争中、日本軍がインドネシアでオランダ人に対して行った加害の歴史の中で、日本軍性奴隷制の被害者となったジャン・ラフ・オハーンさんのことは、ご存知の方も多いと思います。金学順さんのカミングアウトに勇気を得て、自らも被害者であると名乗り出て、証言活動をされました。

 

今回の集会では、そのジャンさんに深い関わりのある、芸術活動を通して戦時性暴力の根絶を訴えておられる方々の活動に焦点を当てました。ジャンさんの娘であるキャロル・ラフさんは絵画制作、孫であるルービー・チャレンジャーさんは映画制作を通してジャンさんの体験、思いを表現されています。(3人のプロフィールは後記のお知らせをご覧ください。)




最初に、日本軍「慰安婦」問題解決ひろしまネットワークの共同代表である田中利幸さんが「50年の沈黙を破って 軍性暴力と闘い続けた女性」と題して、写真を見せながら、ジャンさんの生涯について紹介されました。

 



続いて、キャロルさんが「私の描く母の生涯」と題してお話しされました。見せてくださったのは4つの作品集でした。

Java to Gepps Cross 1996(ジャワからゲップスクロスへ:オーストラリアの地名)No Hiding Place 2002(隠れる場所はない)Landscape of a lost Childhood 2018(幼い頃の風景)の三つはジャンさんが生きておられた間に描かれたものです。

ジャンさんの辛い体験や思いを表現した絵が多く、例えばソウルの戦争と女性の人権博物館に展示されているハンカチの絵もありました。ハンカチそのものは、現在オーストラリアの戦争記念館に保管されているものです。スマランの慰安所に連行された女性7名が名前を書き、後に刺繍したもので、「彼女たちがそこにいたという唯一の証拠」と言われていました。

Exotic to Me 2021(私にとって異国的)の説明の際には、ジャンさんの死後、遺体を故郷インドネシアに持っていくことができないので、幼少期の写真を燃やして灰にしたものを持っていったというエピソードを話されました。穏やかな故郷を描くことで、ジャンさんが最終的に平安な心の状態になったことを表しているということでした。

 




提供:キャロル・ラフさん



★キャロル・ラフさんのHPで3月20日に紹介された絵を見ることが出来ます。

https://www.carolruff.com/exhibitions

EXHIBITIONS | carolruff

 



その後、当日は撮影の仕事が入って参加できなかったルービーさんの短編映画『日々の糧』を視聴しました。ジャンさんの抑留所での体験を描いたものです。

田中さんが解説を加えられましたが、日々貧しい生活をしている抑留所の女性たちがこっそりを捕まえて調理し食べたところ、それが軍人たちにばれてしまい、日々与えられていたパンを土に埋めるよう強いられるシーンがありました。そこで女性たちは歌を歌って抵抗していました。軍の非道さと女性たちの悔しさ、そして連帯の気持ちが伝わりました。この映画はルービーさんの修士号のために作られたもので、いずれは90分程度の作品にしたいという望みを持っておられるそうです。

 



この後、質疑応答があり、田中さんが日本軍が作ったプロパガンダフィルムを紹介されました。抑留された人々がいかに文化的な生活を送っているかを見せる内容です。現実とは全く違うものでした。


 ★(田中利幸さんのHP参照:https://yjtanaka.blogspot.com/

  


最後にキャロルさんが、芸術は人が怯んでしまうようなものも乗り越えて、近づきやすくするものだと言われました。キャロルさんやルービーさんの活動は、軍性暴力の被害の傷みを背負いながらもまた力強く立ち上がった女性たちの姿を、記憶し語り継いでいます。

ぜひ多くの方に見ていただきたいです。



日本軍『慰安婦』問題解決ひろしまネットワーク

古屋敷一葉






★3人のプロフイール(おしらせ)より


ジャン・ラフ・オハーンさん、キャロル・ラフさん、

ルービー・チャンレンジャーさん