ロシア軍の無差別砲撃の中、家と家族を失い、全身血まみれになったウクライナの人たちの凄惨な姿が毎日メディアを埋めます。爆発音と砲声が満ち、煙が立ち込める渦中で子どもを抱え、道路を駆けて駅で足を踏み鳴らし、防空壕に潜む人たちの姿が画面を埋めます。「青空をまた見せてくれ」、「家族と平和な日常を送らせてくれ」と戦争中断を切実に訴えるウクライナの人々の姿が胸を打ちます。




 戦争は、画面の遠い所、名もない他者のことではなく、歴史の中の私たちの体験であり、私たちの傍に常にあります。



 ミャンマー、バングラディシュ、スリランカ、シリア、イラク、アフガニスタン....アジアの各所で数多くの人たちが苦痛の時を送っています。数えきれない女性と女児がこの瞬間にも、集団強姦、強姦、人身売買、暴力と殺害の危険にさらされています。



 勝利や勝機をつかむ戦略として、敵軍の情報確保のため、軍人の士気高揚のため、単純に敵軍を侮辱するため、時には男らしさ誇示と性欲処理のため、強制妊娠と強制堕胎、強制労働が伴う性暴力と性拷問、性的虐待と性的搾取が行われています。戦争と紛争状況ではもちろん、拘禁状態やかろうじて脱出して到着した難民キャンプ、甚だしくは味方の中でも女性は安全でありません。男性と男児、性少数者も悲惨な性暴力と性拷問の被害を受けます。




 性を組織的、体系的に戦争の道具化する歴史は根深いです。性差別、人種差別、階級差別、少数者・弱者を差別する社会が軍国主義、帝国主義、植民主義、戦争と出会う時、悲惨に行われ拡大します。

戦時性暴力は、被害者に洗い流せない肉体的損傷と深刻な精神的傷跡を残すだけでなく、共同体全般に不安と恐怖を引き起こし、ジェンダー秩序を再編したり、強化する役割を果たします。

人間の尊厳性を根こそぎ踏みにじり、根本的に破壊し、地域共同体と国民国家を超えて人類全般に害悪を及ぼします。だから国連などの国際社会は、すでに戦時強姦がジェノサイドの一環であることを確認しています。




 3月24日は、日本軍「慰安婦」被害者が日本国と日本軍の反人権的な戦時性暴力の責任を糺すために提起した損害賠償請求訴訟の控訴審第1回口頭弁論が開かれます。加害者に責任を問い、加害者不処罰の歴史を終わらせ、被害者の名誉が回復されるよう、そして今も起きている戦時性暴力と深刻な人権蹂躙行為が中断されることを心から望みます。



正義は、私たちが最終的に追求すべき重要な価値です。

記憶は、私たちにとって非常に重要な抵抗の手段です。

連帯は、私たちの非常に大切な力です。



 私たち全員が被害者を記憶し、加害と被害の歴史を直視し、戦時性暴力根絶のために連帯し、恒久的な平和のために行動しましょう。その道に正義連は揺るがず、皆さんと共にします。



 2022年3月23日

 正義記憶連帯 理事長 李娜榮(イ・ナヨン)



(訳 権龍夫)