5月18日、戦時性暴力問題連絡協議会は、第52回目の水曜行動in新宿を行いました。



日本軍「慰安婦」問題解決全国行動は、〝歴史の否定から未来志向は生まれない~「日韓合意」による「慰安婦」問題の幕引きを許さない〟という声明を発出し(4月26日)、官邸への申し入れ・集会を実現してきましたが、定例の水曜行動in新宿では、その大きな横幕をバックにアピールを行いました。




 以下、概略を報告します。




◆韓国大統領が保守の尹氏に変わり、今後の「慰安婦」問題の解決が危ぶまれている中、戦後の日韓関係の中で、日本の植民地支配の問題、歴史認識を問わないで来たことが、今に至っていると指摘。被害者の人権回復のない国交正常化が進められてきたこと、被害者中心主義から外れた2015年日韓合意の問題を様々な視点から批判しました。


  




◆5月15日は、ナヌムの家で暮らした朴玉蓮(パク・オンリョン)さんの命日であり、その人生を心に刻み、記憶をつなぐために、朴玉蓮さんのことを伝えました。



借金を返すために「看護師」になれると軍が選んだ業者にだまされてラバウルに連れてこられたハルモニの体験を聞いて、姜徳景さんがその絵を描きました。



柔和で穏やかだった朴玉蓮さんが、激しい怒りをみせたことがありました。それは日本政府がアジア女性基金をつくり、「慰労金」を受け取れと言ったときです。



2011年に「平和の少女像」が建立する半年前に亡くなったハルモニを想い、心に刻みました。





朴玉蓮さんの体験を描いた姜徳景さんの絵を掲げながら。




ナヌムの家で暮らした朴玉蓮さん(1919年4月~2011年5月)。
いつも穏やかでもの静かな人だった。




「ラバウル慰安所」
ラバウルへつれていかれた朴玉蓮さんの話を聞いて姜徳景さんが描いた。




●朴玉蓮さんについて




◆「復帰50年」の沖縄では、米軍基地によって事件事故が頻発し女性への性暴力・性犯罪が今もなお起きていること、その沖縄には多くの慰安所があったことが報告されました。



◆中国の被害者支援をする仲間からは、アジア各国に被害者がおり、日韓問題にしてはならないことを訴えました。





 ◆さらに、日本軍「慰安婦」問題を解決していないことが、現代の性暴力問題につながっていること、現在の刑法の条項の問題をアピール。



日本政府は「強制連行はない、性奴隷ではない、20万人はウソ」というが、これ自体がウソであることを被害者たちの証言で明確になっているが、それを日本政府は証拠にならないと否定している。



しかしこの日本政府の立場は国際法違反であること、人道に対する罪には時効がないと強く訴えました。








 


★当日配布のリーフ







★リーフ内容★


「慰安婦」被害を受けた女性たちが訴えた言葉、「戦争をしてはならない」

◆1945年8月15日、広島・長崎に原爆がアメリカによって投下された後、日本は敗戦をむかえました。わずか77年前のことです。戦争を生き延びた祖父母や家族たちは食べるために苦労してきたことはいろいろな記録に残されています。祖父母・両親・兄弟たちはすべてを失ったなかから復興への道を歩んできました。しかし、私たち日本人は原爆が投下された意味を長い間考えることなく、自分たちの辛く、苦しかった「被害」だけを語りついできました。日本が侵略したアジアの人々の苦しみに思いが至らず、「加害」の事実に思い至らなかったのです。

◆ 沖縄が日本本土に「祖国復帰」して今年の5月15日で50年目です。日本本土が「復興への道」を歩んでいるとき、沖縄は、アメリカの占領下にありました。沖縄は「日本」ではなく、パスポートが必要な外国だったのです。1972年5月15日、沖縄は平和憲法のある本土へ、ようやく「祖国復帰」できることを喜びました。米軍基地がなくなると信じたからです。しかし、復帰50年の現実をみると、本土で基地の縮小・整理が進んだ分、全国の70%が沖縄に集中し、沖縄の負担が大きくなっています。基地があるがゆえに生じる問題のために(たとえば多発する女性へのレイプ事件、辺野古の埋め立て問題等)闘いを続けています。平和憲法のある祖国へ復帰したのではなく、その後も「日米地位協定」下の負担はとくに沖縄に強く強いられているのです。

◆ 日本が敗戦後、平和憲法のもとで自由・平等・平和という民主主義への道を歩んでいると安堵しているとき、実は、早くも冷戦体制の中で日本はいわゆる逆コースに足を踏み入れ、再軍備の準備が着々と進められてきていたことを知りました。

 現在、ロシアとウクライナの戦争が第3次戦争へつながらないようにと祈る思いです。しかし、この機に乗じて  自民・公明政権は憲法改正をもくろみ、安倍晋三氏は声高に中国敵視戦略をメデイア等で語っています。それだけではなく、学校教育・教科書にも政府が露骨に手を突っ込みはじめました。もはや水面下ではなく、露骨に堂々と「平和憲法」を踏みにじろうとする状況が目にみえるようになってきています。

◆ アジア・太平洋戦争下、日本軍「慰安婦」被害を受けた女性たちは自分たちの身に起きた事が「これからの女性たちに再び起きるようなことがあってはならない」「戦争はいけない」と訴え続けています。「慰安婦」被害を証言した女性たちの声は、「歴史」はもちろん現在の「政治」にも無関心であってはならならないと教えてくれました。私たちは被害者の声に応えて、平和を手放すことがないよう、行動していかなければならないと思っています。



●次回は、6月15日(水)12時半~13時半を予定しています。