イ・チェサン記者 2022/01/29







尹美香国会議員の日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯(正義連)関連裁判が国庫補助金不正受給問題をめぐって熾烈な攻防を継続している。検察の度重なる問題提起にも証人らは国庫補助金の人件費はこれを受領した人の自由意志で使うことができると対抗した。

 



こうした攻防は28日午後2時ソウル西部地方法院刑事合意11部(部長判事ムン・ビョンチャン)審理で開かれた9次公判でも同様だった。この日の公判には女性家族部(女家部)職員と戦争と女性の人権博物館職員が検察側証人として出廷した。


 


 尹美香公判証人ら、「国庫補助金の人件費寄付は自分の判断」


この日証人として出廷した女家部職員に対して政府の日本軍「慰安婦」被害者支援事業に対する挺対協の国庫補助金支援に違法行為があったのかどうかに集中した。

 だが、この日の尋問過程で挺対協の被害者支援事業はよく実行されたし、違法行為は発見されなかったという内容が確認された。

 


 女家部職員は2014年挺対協が提出した「日本軍『慰安婦』被害者治療事業の最終結果報告書」について「事業計画のとおり良くやった」と述べた。

検察は挺対協が国庫補助金の支援を受けながらまともに事業を遂行しなかったとにしようとしていた。


2014年の最終結果報告書には挺対協は全国巡回日本軍「慰安婦」被害者訪問事業を国内外生存者56名に対して計122回訪問相談、441回電話相談、中国居住生存者3名に対して計3回の訪問相談、地域ボランティア活動家と連携して89回の支援などを遂行したとして記録されている。




 当該事業のために挺対協の常勤職員1名が国庫補助金から人件費を受けとったが、これを挺対協に寄付したことが確認された。


この職員は検察の調査当時「本来の挺対協業務もして女家部支援事業の仕事もして、人件費を追加で受けたものだ。私が受けた人件費は挺対協に寄付した」として「尹美香代表や職員が寄付をたくさんする姿を見て寄付することに決めた。自分ひとりで決めたことであり、誰かと相談したことはない」と陳述した。



 これについて女家部職員は「補助金法違反という結論を出すことはできない」として「(国庫補助金)人件費が適正に決めたら、それが実際に執行されたかどうかを確認し、それ以降に寄付したかどうかまでは判断する部分ではない」と話した。



そして「担当者が(国庫補助金)給与をどのように使うかは担当者の役割であって女家部が関与することではないのではないか」という弁護団の質問に「はい」と答えた。 



裁判所も「人件費が正当に支給されたのか、不正受給の有無は遂行対象者が事業計画書に合わせて労務を提供したかどうかを確認するのではないのか。労務を提供したのであれば国庫補助金で人件費を支給すれば終わりであって、そのお金がどの口座に入るのかどうかは不正受給と言えないのではないか」と尋ねると、当該職員は「はい」と述べた。



 すなわち、挺対協が女家部から支援された日本軍「慰安婦」被害者保護施設運営事業、日本軍「慰安婦」被害者治療事業などは当該職員が忠実に業務を遂行したなりに人件費の支給も正当で、人件費を他の用途に使用した不正受給ではないということだ。


戦争と女性人権博物館職員の人件費「返還」表現をもって検察が食い下がると、裁判所が取りまとめることも。



 国庫補助金詐欺として推し進めようとしていた検察の論理は証人として出廷した戦争と女性人権博物館職員の答弁で突き崩された。



2014年から現在まで戦争と女性人権博物館に勤務中である職員は、文化体育観光部が韓国私立博物館協会を通じて支援する教育人力事業として人件費を受けたことがある。この職員は博物館から給与を受けとっていたし、国庫補助金からも人件費を受けとり、「給与二重支給」と判断、国庫補助金の人件費を博物館にまわしたという。



検察は当該職員が人件費を回したことを「返却」あるいは「返還」と表現して、国庫補助金を不正に受給するためのものだと嚙みついた。



しかし職員は「私の月給は180万ウォンだ。それ以上あるいは他のお金が入ってきたときそれを私の給与だと考えたことはない。それで博物館に渡した」としながら「一旦、給与を二重に受けとったものであり、一方は当然博物館に戻さなければなければならないと考えた。寄付だと言われれば寄付だ。私なりの判断だ」と強調した。



それでも検察は不正受領だという主張を継続し、職員は「違う」と強弁すると裁判所が質問を整理することもあった。


裁判所は「人件費として申請し、補助金を給与とすれば良いことだ。ところで1月と2月に国庫補助金の人件費が支給されてないが、本来博物館が給与を与えなくてもいいが証人が毎月給与を使わなければならないので(博物館が)あらかじめ給与を渡したのではないのか」として「(博物館の給与支給以後)補助金が出てきて戻したのではないのか」と尋ねた。


また「1,2月にも国庫補助金として受けとった人件費を博物館にまわすために3月からもそのまま継続したのではないかと尋ね、証人は「はい」と答えた。




 この日の公判では今後公判に出てくる証人をめぐっても舌戦が繰り広げられた。 

検察側は韓国私立博物館協会前会長を新たに証人として申請したが、弁護団と裁判所は怪訝な反応を見せた。すでに公判過程で数回同じ立証趣旨で証人らを呼んで審理してきたうえに、直前公判に出てきた証人尋問でも確認された事案を理由にしたためだ。 


次回第10次公判は2月25日に開かれる。



(訳 方清子)