イ・ミヌ記者(2021.11.20)


 

検察側の補助金不正受領の証人、「団体が人件費を強制的に奪ったかのように」検察が説明……無理な起訴が明らかに



検察が尹美香議員のいわゆる「国庫補助金不正受領容疑」を立証するために立てた証人が、返って検察の無理な起訴を明らかにする陳述をして注目されている。



尹美香議員

 


19日午後、ソウル西部地裁刑事11部(部長判事ムン・ビョンチャン)は尹美香議員らに対する第4回公判を開いた。この日の公判では、検察側の参考人として聴取を受けた文化体育観光省の職員キム某氏と、国立中央博物館の職員シン某氏が証人として出席した。



 尹美香議員が韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協、現日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯)在職時に補助金を不正受給して流用したというのが検察の見方だが、すでに検察の取り調べの過程で人件費を支給された職員が自発的に寄付した事実を陳述していたことも分かり、検察の無理な起訴がさらに明白になった。



 公判で検察は、尹美香議員が挺対協に勤務していた2013年から2020年までの間に、戦争と女性の人権博物館で国庫補助金を不正受領したという容疑を立証するため必死だった。しかし証人尋問の過程で、検察が聴取した際の陳述が覆され、検察が無理な起訴をおこなった状況が明らかになった。



 検察は、キム氏を参考人聴取した当時、「文化体育観光省から補助金を不正受領し、このうち人件費等は再び挺対協等に返納させて挺対協の運営費として任意に使用したことが確認されているが、これに対して文化体育観光省の補助金担当者としてどう思うか」と質問した。


これに対してキム氏は「もしそのような事実を補助金申請時に事前に知っていたら絶対に補助金を交付しなかっただろう」と答えていた。



 しかしこの日の公判でキム氏は、当時の検察の質問について「挺対協が主語だったではないか。(検察は)挺対協が個人の意思と関係なく強制的に奪ったことを前提にしていた。自発的にしたのなら話は別だ」と述べた。



 これに慌てた検察が「(参考人聴取の時の質問が)強制的に奪ったことを前提にしていると思ったのか」と質問すると、キム氏は「強制を前提にしていた」と返答し、「当時、検事が証人に挺対協が強制的に賃金を奪ったと質問したのか」と再度尋ねると、キム氏は「正確なワードは覚えていないが、そのように理解した」と答えた。



 キム氏は「参考人聴取の時に(検察が示した)取引き内訳を見た。その内容を見て判断し、個人的な自発的意思については知らなかった」とし、「個人がそのお金(国庫補助金で給付された人件費)を給与という形で受け取って、どう使うかは自由だ。(団体に寄付すること等も)個人の自由だ」と繰り返し強調した。



 また、検察は戦争と女性の人権博物館が2013年にソウル市に登録した当時、学芸員がいたにもかかわらず、これを虚偽だと主張し、国庫補助金を受領する資格自体がなかったいう主張を展開したが、証人として出てきたキム氏は自分の業務ではないので分からないとし、検察の主張は宙に浮く形になった。



 逆にこの日の証人尋問で、戦争と女性の人権博物館は文化体育観光省の支援事業の一つである「路上の人文学」事業をおこなって、2016年の文化体育観光省と韓国私立博物館協会が共同で授与する「最優秀博物館」に選定された事実が確認され、国庫補助金が問題なく執行されていたこと、事業成果が優れていたことが立証された。



 この日の公判に出席した証人たちは検察で参考人聴取を受けた人々で、検察は証人尋問を通して尹美香議員の容疑を立証しようとしたが、実際には当該業務を担当していなかったり、当該業務期間が異なる部分もあることが確認された。



 国立中央博物館の職員シン某氏から検察は戦争と女性の人権博物館の学芸員登録が虚偽だという答弁を引き出そうとしたが、シン氏は学芸員制度事業と経歴認定対象博物館に関する業務について知っているだけで、これに該当しない戦争と女性の人権博物館関連の質問には「分からない」「博物館の登録は私の業務ではない」「私の業務に該当することしか答えられない」等と返答した。



 本件の第5回公判は11月26日に開かれる予定だ。


(訳 梁澄子)


〈原文〉

http://www.newspeak.kr/news/articleView.html?idxno=356954