イ・スンフン記者 2021.11.26

 


2015年ソウル麻浦区戦争と女性の人権博物館内に慰安婦被害者ハルモニたちが残したものとみられるメモが刻まれている

 



検察は尹美香無所属国会議員が過去に「戦争と女性人権博物館」を運営して国庫補助金を不正に受け取ったとし、ソウル市の公務員を証人として立てたが、むしろ当該博物館が国庫補助金関連評価でずっと優秀な成績を収めていたという点だけが強調された。補助金の支給前、適正性評価のために委嘱されたソウル市評価委員が現場実態調査後に当該博物館に対して「優秀だ」と評価していたことがあふれ出た。ソウル市はこれを根拠に補助金を支給したが、検察は尹議員側が不正な方法で補助金を受け取ったとした。




また、検察が「学芸員が常時勤務しない博物館だったので補助金を不正受給したもの」としながら提示した博物館登録審査基準で「学芸員が常時勤務しているかどうか」は様々な評価項目中、参考にする事案であって必須要件ではないということが文化体育観光部指針書に記されていた。裁判の結果はもう少し見守るべきだが、関連疑惑に対する証人尋問が行われるたびに検察の無理な起訴だったという点だけ際立つというわけだ。



優秀評価があふれて…すべて検察が確保した証拠資料

40点満点のうち40点…「30余りの博物館のうち5ヶ所だけ」

意見書に書かれた評価「学芸員はいないが、コンテンツは優秀」



26日ソウル西部地方法院刑事11部(裁判長ムン・ビョンチャン)は尹議員などの補助金管理法違反・詐欺などの疑惑に関する公判を進めた。尹議員は韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協)代表として仕事をした2013年から2020年まで「戦争と女性の人権博物館」を運営し、文化体育観光部などから合計3億ウォン程の国庫補助金などを不正受領した疑惑を受裁判に持ち込まれた。




この日の公判には検察側証人としてソウル市公務員Aさんが出てきた。Aさんは2020年から博物館登録および補助金支給業務を担当しており、2013年「戦争と女性の人権博物館」が学芸員および博物館資料などの要件を備えて文教体育省とソウル市に登録する時の状況については全く分からないと話した。したがって、Aさんは現在の業務処理方式を基準として証言した。




尹議員側の弁護人が提示した証拠資料はすべて検察が確保したソウル市の資料だった。




これらの資料を見れば、戦争と女性の人権博物館は補助金支給に関連した各種評価で毎回高い点数または優秀だという評価を受けている。特に、審査委員は学芸員が常勤していないことを知りながらも「女性人権コンテンツが優秀だ」等の評価で高い点数を与えた。




これらの意見はすべて補助金支給に関連した評価であった。補助金支給に関連しては学芸員常勤の有無が絶対的な基準ではなかったと見られる項目だ。




ソウル市評価団は2019年、戦争と女性の人権博物館が「平和市民らとともに叫ぶ平和」という事業で補助金を申し込んだことに対して現場実態調査をして「斬新だ」として40点満点で40点を与えた。尹議員側弁護人はその年、私立博物館審査表を提示して「34個の(博物館)うち現場実態調査で満点を受けたところは5ヶ所しかないが、そのうちの1ヶ所が戦争と女性の人権博物館」だったと強調した。また、配点項目を提示して「学芸員常勤の有無を見て評価する項目はない」と指摘した。




これ以外にも弁護人は2018年特化事業関連現場実態調査結果30点満点に30点を与えて総合意見で支援が適正だと評価した意見書、2018年ソウル市私立博物館活性化事業評価で100点満点で90点余り(文字が曇って「9」の後の数字はよく見えない)を受けた書類、「学芸員不在が憂慮されるがコンテンツが優秀だ」という意見が書かれた評価団意見書などを提示した。




特に、検察は尹議員が戦争と女性の人権博物館に学芸員が常時勤めているかのようにだまして補助金を受けたと見ているが、補助金を申請する時学芸員が常時勤務しているということを証明しなければならないという明示的な法規定や関係部署指針はなかった。文教体育省が各地方自治体に送った「博物館および美術館登録業務指針」に倣っても学芸員が博物館常勤者なのかどうかの評価項目は「政令評価」ではなく、「正性評価」事案だった。




「定量評価指標」欄には「学芸員を1人以上置かなければならない」とだけ記されている、常勤の有無に対する内容は記されていなかった。尹議員側によれば戦争と女性の人権博物館は2013年博物館登録当時学芸員1人から博物館学芸員になってくれるという同意を得た。これに対し挺対協は関連書類を備えて博物館登録手続きを完了したという。




ただし、証人Aさんは今回の尹議員事件で学芸員常勤の有無が議論になるとすぐに現在は補助金支給前評価の時学芸員の常勤の有無を確認できる4大保険書類を提出させており、常勤学芸員がいない場合、6ヶ月位の再採用の機会を与えていると話した。




一方でAさんは「常勤学芸員がおらず、博物館・美術館登録が取り消しになった事例」について「知らない」と答えた。




尹議員側弁護人は登録された博物館現況が詳しく記載されたソウル市資料で学芸員人材が表記されなかった○○ミュージアム、○○○○博物館などの私立博物館を提示したりもした。弁護人は「このような事例は各区庁が市にまともに報告しないので表示されないものか」と尋ね、Aさんは「よく分からない」と答えた。 「これに対する是正措置を要求したことがあるか」という弁護人質問にも「思い出せない」答えた。




引き続き弁護人は国立博物館として登録された博物館として範囲を広げればより多くの博物館が出てくると指摘し、「ソウル市が当該国公立博物館に是正措置を要求したことがあるか」と尋ね、Aさんは「ないと思う」と答えた。実際の弁護人が提示した国公立博物館のうち学芸員人材表記が記されていなかったり、最初からないと表記されたところなどが明らかになった。








判事「はっきりと規定を見たことがあるか」...証人「ない」

法も規定もないのに検察はなぜ?



判事もこの部分を明確にしようとAさんに尋ねた



判事は文教体育省指針資料内容をついて「定量評価指標最小要件は必ず備えなければならないもので、普通定性評価要件は様々な評価項目を合わせてその点数をもって評価するのではないか。それでは「4大保険内訳など常勤の有無確認資料」は定性評価補完基準要件に過ぎず、必ず備えなければならない条件ではないようだが、どのように考えるか」と尋ね、Aさんは「現在の基準だけで言うならば、常勤かどうかの確認をしている」とだけ答えた。




また、判事の「補助金事業に関連して明らかに学芸員がいなければならないという要件を見たことがあるか」という質問にAさんは「ない」と答えたし、「学芸員が(博物館)等録要件として(法に)規定されてはいるが、中間に学芸員がいなくなったという時、取り消しの有無は法的評価を受けてみなければならないことで、また、登録取り消しが下される前まで登録は有効なのではないのか」と尋ねた質問には「そうだ」と答えた。




(訳 方清子)


〈原文〉