安倍元首相は、1993年に憲法改正と戦争のできる国を目指して議員になった。同年、「慰安婦」制度への日本軍の関与と強制性を認めた河野談話が発表されたが、安倍元首相がこの河野談話の見直しに執念を燃やしたことはよく知られている。都合の悪い歴史的事実をなかったことにするため、国会で虚偽答弁を繰り返し、公文書の破棄・改ざんなど、やってはならない行為を重ねた。2000年の「女性国際戦犯法廷」を取りあげた番組「問われる戦時性暴力」を改ざんさせるため、NHKに恫喝をかけたことは象徴的だ。
安倍元首相は1997年、「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」の事務局長に就任し、教科書検定制度を利用しながら教科書攻撃を強めた。2006年首相に就任すると教育基本法を改定し、2007年には日本軍「慰安婦」問題について「強制連行を直接示す証拠はない」と発言し、閣議決定を行った。
安倍元首相は、2012年に再度首相に就任。中学歴史教科書から「慰安婦」記述がすべて消された。河野談話を傷つけるために、その作成過程を検証した。2014年、メディア支配を意図して、朝日新聞を激しくバッシング。過去に産経新聞なども取りあげた吉田清治氏の証言報道を理由に、朝日新聞こそが「慰安婦」問題を捏造、世界に広めて日本を貶めた元凶と右派論壇を使って喧伝。現在もメディアは「慰安婦」問題報道をタブー視し、右派論壇が幅を利かせている。
安倍元首相は、2015年8月に戦後70年談話を発表したが「慰安婦」の言葉は一つもなく、「子や孫に謝罪を続ける宿命を背負わせてはならない」とした。人々の記憶から都合の悪い歴史を消し去ろうとすることは、次世代への責任の放棄だ。同年12月、「日韓合意」が発表され、「慰安婦」問題の「最終的かつ不可逆的解決」を宣言。この時安倍元首相は朴槿惠大統領に電話で謝罪したと言いながら、国会で被害者への謝罪の言葉を何度促されても拒否し、謝罪の手紙について問われると「毛頭ない」とすかさず応答した。
日本軍性奴隷として人生を奪われながらも、勇気をもって名のり出たアジア各国の被害者の声に一度として耳を傾けることなく、事実を否定し、被害者を侮辱した。
安倍元首相は、「家族の絆」「家族の助け合い」を掲げてジェンダーフリーや性教育に対する攻撃を続け、女性の人権を踏みにじった。その背景に旧統一教会と自民党が一体となったジェンダーバッシングがあったことが明らかになってきた。
失われたものはあまりにも大きく、必ず検証されなければならない。
安倍元首相と旧統一教会の結びつきが明らかになっている今、岸田首相は徹底した調査を通じて安倍政治の過ちをすべて明らかにし、糾していかなければならない。
岸田首相は、国葬を止めて、市民の声に耳を傾けよ。
岸田首相が国葬を強行するなら、残された道は辞任しかない。
2022年9月21日
日本軍「慰安婦」問題解決全国行動