本日(2023920日)、ソウル高裁13部は尹美香議員に懲役16月、執行猶予3年を、共謀したとされる挺対協・正義連活動家に罰金2000万ウォンを言い渡した。この不当な判決に私たちは大きな怒りをもって強く抗議する。 



 まず高裁判決は、戦争と女性の人権博物館の登録書類を虚偽で提出しソウル市から不正な方法で補助金の交付を受けたとする地方財政法違反及び詐欺、吉元玉ハルモニの心身障害を利用して財産上の利益を得たとする準詐欺、安城ヒーリングセンターを不当に高値で買って挺対協に損害を与えたという業務上背任、安城ヒーリングセンターで違法な旅館業を運営したとする公衆衛生管理法違反については原審通り無罪とした。



 しかし以下の3点につき一部有罪を言い渡した。その不当性について以下に要点のみ述べる。


 

1.国庫補助金管理法違反


 裁判所は、文化体育観光省と女性家族省から受けた国庫補助金のうち、女性家族省から受けた補助金のみ欺罔・不正があったとした。


しかし、いずれの補助金も問題とされたのは人件費の部分で、これは人件費として支給された給与を職員自らの意志で挺対協に寄付したものであることが、当該職員たちの証言や証拠資料で明らかにされている。


とりわけ今回有罪とされた女性家族省の補助金で人件費を受け取った職員は一審の法廷で「月に150万ウォン(約15万円)の人件費を補助金から受け取り、これとは別途、挺対協からもほぼ同額の給与をもらっていたので、被害者支援の担当者として補助金からもらった分は自分の意志で挺対協に寄付した」「尹美香代表が講演料などをそのまま挺対協に寄付するのを見ており」「10年以上の活動家や代表が低賃金で献身的に働く姿を見て尊敬の念を持っていた」ため、自分だけが余計に給与をもらうのは申し訳ないと思い、自分の意志で寄付したと証言している。



 判決は文化体育観光省の補助金と女性家族省の補助金には事業の目的に本質的な違いがある等と言っているが、これは到底理解しがたく、恣意的な判断と言わざるをえない。

 


2.寄付金品法違反


 高裁判決は、検察が寄付金品法違反として上げた挺対協・正義連への後援金、ナビ基金、金福童の希望への後援金など各種後援金については団体の後援会員から受け取ったもので寄付金品法違反とは見なせないとして原審通り無罪とした。しかし、金福童ハルモニの市民社会葬の弔意金募金については寄付金品法違反と判断した。



 原審も、この弔意金募金については寄付金品法上の寄付金に当たるとしながら、しかし葬儀という特性から事前に募金計画を立てて寄付金登録の申請をおこなうことができない点や、実際の運営方式の公正性などから刑法の正当行為に当たると見なして無罪とした。ところが高裁判決は集まった弔慰金のうち葬儀に使って余った金員を市民団体への寄付、市民団体活動家の子女に対する奨学金などに使ったことを上げて、事実上、市民社会葬の名目で事業支援金を集めたも同然で、これを正当行為と見なすことはできないとした。



 しかし、女性人権運動家として社会の尊敬を集めた金福童ハルモニの死を悼む市民の思いを受け止めるための口座は開設されてしかるべきもので、そこに集まる弔慰金が葬儀費用を上回るかどうかを事前に予想することは不可能だ。そこで、余った金員について葬儀費用の内訳を公開した上で故人の生前の意志を汲んで全額、葬儀委員会の審議を経て公益目的に支出したことは、極めて妥当な行為だったと言える。一銭たりとも尹美香議員個人や正義連の組織運営のためには使われておらず、全額、金福童ハルモニの思い、その死を悼む市民の思いに沿った形で使われたことは明白である。

 


3.業務上横領 


 これは一審で唯一、一部有罪とされた容疑だが、二審では有罪とされた金額が大幅に増えた。


一審で有罪とされた約1700万ウォンについて二審で精力的に証拠資料を補充し説明を尽くした結果、一審で有罪だったものが逆転無罪となったケースが複数ある一方で、一審で無罪と判断されたものが数多く有罪に転じた。その代表的なものが故孫英美所長の個人口座である。これはあくまでも個人口座であるにもかかわらず、裁判所は挺対協の公金口座であると断定して、そこでおこなわれた尹美香議員との個人的な金員のやりとりまで横領と見なしたのである。



 この故孫英美所長の個人口座は、挺対協・正義連のシムト(シェルター)に居住するハルモニたちが看病人に支払う費用などを、ハルモニたちが行政から受け取る支援金から一時的に預かって送金する業務を、故人が代行して処理するために使われていた口座である。


高裁判決は、2014年まではこのような業務を挺対協口座でおこなっており、その後、孫英美名義の口座でおこなうようになったのは「形式的な変更」と見なして、この孫英美口座を公金口座と断定している。その上で、挺対協口座で管理していた時には挺対協の帳簿に明細が記載されていたが、孫英美口座になってからは挺対協の会計帳簿に明細が記載されていないことを問題視し、「それ自体が横領の故意と違法な用途の意思を内部的に発揮している」と述べる。


しかしこれは全く逆だ。挺対協の口座は後援者たちの後援金を管理する口座であって、そこにハルモニたち個人から看病人個人に支払われる費用などを混ぜ込むことは本来あってはならないことに気づいて以来、挺対協はシムト所長である故人にハルモニたちのお世話の一環としてこの業務を担うように依頼したのである。つまり、それが挺対協の会計帳簿に記載されることの方が間違っていたという判断から、より原則的な運営に改善された結果だった。 



 このような個人口座で尹議員と孫所長の個人的な金銭のやりとりがあった。

例えば、ハルモニたちと海外に行く際、高齢のハルモニたちの座席をビジネスにグレードアップした結果、付き添いの尹議員や孫所長の席までビジネスになる。その時、尹議員と孫所長は自分たちの座席グレードアップに挺対協の後援金を使うことはできないとして、尹議員がとりあえず2人分の費用を出した。そして後に孫所長が自分の分を尹議員に振り込んだ。一例を挙げればそんな金銭のやりとりである。この部分の横領金額が約3800万ウォンと判断された。

 

 このような判決を受けて、尹錫悦政権の圧力を感じずにはいられない。一審判決の後、韓東勲法相は「新しい検察で最後まできちんと捜査して明らかにしなければならない」と発言した。新たな証言や証拠もないまま一審判決を覆したこと、二審でもむしろ検察側証人が尹議員らに有利な証言をしたことなどに鑑みて、結論ありきの判決だったと思わずにはいられない。



 上告審では政権の圧力を意識することなく、公正な判断が示されなければならない。日本軍「慰安婦」問題解決のため、甚大な被害を受けて心身に深い傷を負った被害者たちの人権回復のため、私利私欲なく献身した活動家たちが無実の罪で罰せられるようなことは、絶対にあってはならない。韓国司法の正義と良心を示してもらいたい。


 

2023920

日本軍「慰安婦」問題解決全国行動