2023-09-13 

54回国連人権理事会 韓国NGO代表団


 

大韓民国政府が国連・真実正義別別報告者に 歴史問題に関する歪曲事実および不適切意見を提出した。


韓国政府、日本政府の謝罪を「慰安婦」「強制動員」被害者に対する公式謝罪として認定した。これに対して韓国NGO側は「被害者の尊厳を再度踏みにじる」と反発。


韓国政府、歴史問題に対して間違った答弁提出した..検察のねつ造スパイ事件について北朝鮮が加害者だと回答した。瑞山(ソサン)開拓団事件※1で朴正煕元大統領など政府関係者などを加害者として言及せず...


国連・特別報告者には歴史問題解決のための努力を誓った。...しかし、尹錫悦政権の歴史問題に関連した政策の逆行に関しては報告しなかった...

 


(1)国連の真実・正義・賠償及び再発防止促進に関する特別報告者(Special Rapporteur on the promotion of truth, justice, reparation and guarantees of non-recurrence, 以下「真実・正義特報」)ファビアン・サルヴィオール(Fabián Salviol)2023913-14日に行われる第54回国連人権理事会セッションで大韓民国訪問調査報告書を公式発表します。




一方、真実正義特報の訪問調査報告書とともに、韓国政府が提出した意見書も公開されました。政府が提出した意見書(以下「意見書」)の原文はリンク(https://undocs.org/en/A/HRC/54/24/Add.3)で参照できます。

 



(2)韓国政府は意見書で、現在進行中の歴史問題を韓国政府がほとんど解決した、または解決しているという趣旨を述べました。韓国政府は、救済のための法律がないため、真実の解明と賠償が難しいケース(瑞山開拓団、兄弟福祉院※2、仙甘(ソンガム)学院※3、朝鮮戦争時の民間人虐殺事件など)については、真実・和解のための過去史整理委員会(以下「真実和解委員会」)の調査で解決されると回答しました。 



しかし、現在、関連被害者のほとんどが真実和解委員会を通じて救済を受けるのは不可能です。現政府で被害者たちの救済のための申請期間及び調査期間の延長のための法改正の議論は行われておらず、真実と和解委員会も職権調査に消極的な状況です。 つまり、韓国政府は歴史問題を解決しているかのように事実を歪曲したのです。

 



(3)一方、政府は真実正義特使に日本政府が「慰安婦」被害者と「強制動員」被害者に対して公式謝罪をし、加害事実を認めたという衝撃的な回答を提出しました。 


国際社会もすでに認識しているように、日本政府は被害者に公式的な謝罪などしなかっただけでなく、反人道的犯罪を行った事実も否定しており、被害者に対する賠償請求権も否定しています。韓国政府が上記のように日本政府を代弁する趣旨の回答を国際社会に提出したこと自体が不適切な回答であり、「慰安婦」及び「強制動員」被害者の尊厳を再び踏みにじる反人権的な措置です。

 



(4)韓国政府は、一部の歴史問題について間違った回答もしました。

 過去に検察が犯した拉致帰国漁師のねつ造スパイ事件について、適切な処罰が行われたかという特別報告者の質問に対して、北朝鮮が拉致主体であるため、責任者を特定できないという間違った回答をしました。

瑞山開拓団事件の加害者が処罰されたかという質問には、明らかな加害者である朴正煕元大統領をはじめとする公職者を除いたまま開拓団団長と監督官が死亡し、関連警察官の行方が不明で処罰できないという回答をしました。

 

 

また、政府は過去の海外養子縁組で発生した人権侵害問題に関連して国籍取得を確認しており、養子縁組機関を定期的に監査及び点検していると回答しました。 しかし、上記の回答は法改正を通じて現在海外養子縁組の過程で行われている政府の措置を説明したものであり、過去の海外養子縁組の過程で発生した人権侵害に対する回答ではありません。

 

 

(5)韓国政府は国連の真実・正義特報に努力を継続すると表明しました。

しかし韓国政府はその態度とは相反する態度で歴史問題に対応しています。国家暴力トラウマ治癒センターに対する予算を削減し、「慰安婦」及び「強制動員」関連の歴史問題対応の予算も削減し、法改正及び公式謝罪など真実和解委員会が韓国政府機関に出した勧告もほとんど実行していません。韓国政府は上記のような歴史問題関連政策の逆行は、真実正義特報に報告していません。

 


(6)韓国NGO代表団は、2023913日から14日までの国連サイドイベント及び第54回国連人権理事会市民社会での発言などを通じて、上記意見書の不適切さを指摘し、韓国政府に対して歴史問題において、国際人権基準による義務履行を促します。

 


 

54回国連人権理事会韓国NGO代表団

4.9統一平和財団/民族問題研究所/民主社会のための弁護士の会 /

日本軍性奴隷制問題解決のための正義の記憶連帯 / カトリック人権委員会)

 

(訳注)1 瑞山(ソサン)開拓団事件:1960年代初に韓国政府が社会浄化政策の一環で忠南道瑞山地域に開拓団をつくって孤児や浮浪者1,700人を軍警が不法・強制的に逮捕して収容した。この大規模な人権侵害事件に対する真相調査や補償問題はなかなか進まない。


2 ()兄弟福祉院事件:1975-1987年まで釜山市北区にあった浮浪者の強制収容所で、年間7億ウォンの政府支援が出ていた。3,000人以上収容していたが、職員が収容者を撲殺したり、集団脱走者が出たりして、強制労働などの人権侵害が露呈した。「韓国版アウシュビッツ」と呼ばれた。真相究明、責任者処罰は不十分である。


3 仙甘(ソンガム)学園:京畿道安山に遭った少年収容所で、1941年に総督府が建て、200人ほど収容された。以降、1982年まで40年間運営された。収容された子供たちには虐待、拷問、重労働、殺害の人権侵害が待っていた。これも真相究明、補償、責任者処罰が明確に実現されていない。




(訳 権龍夫)



 〈参考〉ハンギョレ日本語版報道

尹政権、国連に提出した「日本は強制動員に公式謝罪した」との意見書で波紋

https://news.yahoo.co.jp/articles/436e85f9e5f760f8673bfc85007aaa93d3f79615