金昌錄(キム・チャンノク)

     慶北大法学専門大学院教授、正義記憶連帯法律諮問委員



さる8月30日は、大韓民国の憲法裁判所が日本軍「慰安婦」問題に関して、不作為違憲決定を宣告してから満9年になる日でした。大韓民国政府は2005年の「韓日会談文書公開 後続対策関連 民官共同委員会」の決定を通じて、日本の「国家権力が関与した反人道的不法行為」である日本軍「慰安婦」問題は、1965年の「請求権協定によって解決されたと見ることはできず、日本政府の法的責任が残っている」と宣言しました。しかしそれ以降、(韓国)政府は、日本政府の法的責任を問う積極的な処置をとらず、したがって憲法裁判所は2011年8月30日、その不作為が違憲だと宣告しました。

ところが朴槿恵政権は、日本政府の法的責任を問うどころか、被害者と全世界の市民が30年間の激烈な努力で成し遂げた成果まで大きく傷つける「2015年(韓日)合意」を結んでしまいました。それから安倍晋三政権は、その合意を口実にして「すべて終わった。これ以上口にするな」と頭ごなしに叱りつけました。



再度確認します。日本軍「慰安婦」問題は、被害事実の明確な認定、それに基づいた謝罪と賠償、持続的な真相究明と歴史教育と慰霊、そして責任者処罰がなされる時に始めて解決されるものです。これが1990年に韓国挺身隊問題対策協議会が発足した時から掲げた方向であり、国際社会の数多くの人権文書を通じて確認された原則です。問題の本質と歴史を知らない(韓日)両国政府の密室談合で(原則を)消し去ることができるものではありません。



文在寅政府は、『「2015年(韓日)合意」検討TF』を通じ、この合意が間違ったものと確認し、「2015年合意は日本軍慰安婦被害者問題の真の問題解決にならない」と宣言しました。そして韓国政府の予算として、日本政府が支出した10億円に該当する103億ウォンを女性家族部の両性平等基金に支出し、「和解・治癒財団」を解散する処置をとりました。しかし、日本政府の法的責任を問うための積極的な処置はとっていません。したがって現在も、2011年に憲法裁判所決定が宣言した「不作為違憲」の状態は継続しているのです。



ちょうど安倍政権が幕を下ろすことになりました。日本の新しい政権は、今からでも真の解決の道に進むべきでしょう。また文在寅政権は、日本政府の法的責任を積極的に問うべきです。


2020年 9月 1日

日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯

                               (日本語訳:権龍夫)