まず、8月29日、日本軍「慰安婦」問題の正義なる解決を生前に見ることなく天に召されたイ・マクタル ハルモニのご冥福を祈り、苦痛のないところで安らかに憩われますようお祈りいたします。

8月30日は、大韓民国の憲法裁判所が日本軍「慰安婦」問題に関して、不作為の違憲決定を宣告してから9年目となる日でした。


2011年8月30日、憲法裁判所は、韓国政府が日本軍「慰安婦」被害者の賠償請求権にかかわる具体的な解決努力をしないことは、被害者の基本権を侵害するものとして違憲であると宣告しました。

これは2006年7月5日当時、日本軍「慰安婦」被害者の生存者109人が「日本政府に法的責任があるにもかかわらず、外交通商部が韓日請求権協定の解釈と実施にともなう紛争を解決しないでいることにより、被害者たちの財産権、人間としての尊厳と価値及び幸福追求権、外交的保護権を侵害した」として、憲法訴願審判を請求*したものに対する宣告であり、約5年をかけてなされたものです。 (*事件名:2006憲マ788、大韓民国と日本国間の財産及び請求権に関する問題の解決と経済協力に関する協定第3条不作為違憲確認)


しかし朴槿恵(パク・クネ)政府は、日本政府の法的責任を問うどころか、被害者たちと世界中の市民が一緒に成し遂げた運動の成果を本質的に揺るがす「2015韓日合意」を敢行しました。

以後、安倍晋三政府は、10億円は「賠償ではない」と釘を刺し、被害者たちにお詫びの手紙を送ることは「毛頭考えていない」と述べ、少女像の撤去、国際社会での非難・批判の自制、最終的・不可逆的解決という枠から「1ミリたりとも動かすつもりはない」と主張してきました。


これに市民のキャンドル革命によって誕生した文在寅(ムン・ジェイン)政府は、「『2015年合意』検討タスクフォースチーム」を通じて、「2015年の合意は、日本軍『慰安婦』被害者問題の真の問題解決になり得ない」と宣言し、和解・治癒財団を解散する措置を取りました。しかし、日本政府の法的責任を問う積極的な措置は取られていません。結果的に、2011年の憲法裁判所の決定が宣言した「不作為違憲」の状態は続いているのです。


今や韓国政府に登録された日本軍「慰安婦」被害者のうち16名の方だけが生存しておられます。犯罪の深刻性、被害の持続性、被害者たちの高齢化による緊急性を踏まえるならば、韓国政府はこれ以上被害者たちと民間団体に日本軍「慰安婦」問題の解決に向けた努力を転嫁してはいけません。


おりしも、歴史問題において否認と歪曲で綴られた安倍政権も歴史の裏道に去ることになりました。ポスト安倍政権時代を迎え、被害者の方々に正義を取り戻す真の問題解決の過程を韓日両国ともに期待します。


2020年9月2日

正義記憶連帯 理事長 李娜栄(イ・ナヨン)


(日本語訳:正義連)