[時論] 誰が『2015合意』を召喚するのか 慶北大学法学専門大学院 金昌禄教授
◆金昌禄・慶北大学法学専門大学院教授
この5月7日に開かれた日本軍”慰安婦”被害者 李容洙さんの記者会見を口実に尹美香(元韓国挺身隊問題対策協議会代表・元正義記憶連帯理事長)共に民主党比例国会議員に対し、あちらこちらから各種「疑惑」らがあふれ出てくる過程で、慰安婦問題に関する2015年12月28日の韓日外相合意も召喚された。
メディアが「当時の外交当局者」の発言を引用して提起した疑惑は、尹元代表が日韓外相合意について「事前説明」を聞いたにもかかわらず、被害者にその内容を伝えておらず、合意発表後、反対の立場に転じたという。
2017年12月27日に外交部の「合意検討タスクフォース(TF)」が発表した報告書には、まず、朴槿恵政府の当局者が合意発表前に「15回以上の被害者及び関連団体との接触した」と書かれている。
ここで重要なことは、「事前説明」と「接触」の差である。 2014年4月に韓日局長級協議が始まった後、政府当局者は「全国の被害者団体、民間専門家など」に会った。 筆者もその一人だ。 筆者が出会った外交部東北アジア局長、青瓦台外交首席らは「どうすればいいか」と尋ね、筆者が提示した意見を聞いてすぐに「分かった」と席を立った。
「接触」の実状はこんなものだった。 韓日合意の内容を具体的に提示し、協議する「事前説明」はなかった。 『2015合意』が徹底的に密室で行われていたことは、TFの報告書によっても確認された事実だ。 また、TFの報告書には「韓国の方が取るべき措置があることに関しては、具体的に知らせなかった」と明記されている。
外交部が挺隊協など日本軍”慰安婦”「関連団体」に合意発表直前に通知したというのは、まさにその内容だった。 日本と韓国のメディアは、日本政府が拠出する金額に関しては1億円と報じ、10億円という金額は12月28日の記者会見で初めて提示された。 結局、尹元代表が被害者らにあえて伝えるべき内容もなく、伝えたからといって"2015合意"を事前に防げるものでもなかったというのが客観的な事実である。
何より重要なのは『2015合意』の核心は、朴槿恵政府が合意した部分という点だ。 つまり最終的・不可逆的解決、平和の少女像(平和の碑)に対する日本政府の憂慮を解決するための努力、国際社会での非難・批判自制がそれだ。 まさにこの部分のため安倍政府は「すべて終わった。 これ以上、口にするな。歴史教育も必要ない。」と主張できる口実を得た。
しかし、まさにその核心部分について、外交当局者は尹氏に通知すらしなかった。 その「当時の外交当局者」が今になって『2015合意』に関して尹氏に過ちがあるように話し、マスコミはこれを「書き取り」したのだ。
李容洙さんが感じる《もどかしさ》に対する第一義的な責任は、日本軍「慰安婦」問題に対する法的責任を拒否する日本政府と責任追及は正しくできないまま、間違った合意に巻き込まれた韓国政府にある。
その誤った合意に対して直接的な責任がある元高位外交官僚という人々が、市民団体代表が魔女狩りに遭う混乱に乗じて自分たちの過ちを密かに他人のせいにしようとする誤った『2015合意』をむしろ正当化しようとする歪んだ姿は、見ていて実に恥ずかしく惨憺たる気持ちだ。
(拙訳:北村めぐみ)
原文
[시론] 누가 ‘2015 합의’를 소환하는가/김창록 경북대 법학전문대학원 교수
金昌禄・慶北大学法学専門大学院教授 |