久しぶりに熟睡しました。
遅めに起きてノソノソ動こうとしましたが電話が来ました。
涙声を後に、一枚ずつ服を着て運転席につきました。
私が今どこへ行くのか、何をするのか、自分でもよく理解できませんでしたが…。

一応、行かなければ。






正直言って今も、一日中私が何をしたのか良く分かりません。
所長のために家を出たけど、一日中所長に会えませんでした。
人々がこう言うんです。
何時もハルモニを支えていた、あのしっかりした姿を
お前はもう再び見ることができないだろうって…

人が人を援けるのは、考えるより容易ではありません。

自分の父母でもないのに、何も言わずに一日に何回も
ハルモニの排泄を片付け、お風呂に入れ、持病の世話まで全部しました。
上手にやり繰りしてシムト(シェルター)を運営しながら、ハルモニ宛に出される支援金、あれ。みんなが欲しがる、あれ。一ウォンでも多く集めてあげようと、一人で頭をひねって工夫しました。

そんな真心を込めてあげても、その真心を一つも記憶できないことが大部分で、
時には何処から現れたかハルモニの周辺の人たちが、互いに争そうかのように所長が集めてあげたその真心を当然のように、干柿でも取って食べるように全部食べてしまった後、ひょっとして残ったものはないかと、所長にしつこく迫って消えても…

所長は、何がそんなに済まないのか、口癖のように何時も「済まない」と言いました。

余りにイライラして、「所長、何がそんなに済まないのか」と責めると、
私がもっと良くしてあげられないから…息子は何時除隊するんだろう…
何時もそうでした。そんな人でした。そう、じれったい人でした。



ハルモニが行く所には、何時も孫英美所長が必ずついて行きました。
所長はハルモニたちの分身のような方で、すべての後始末を引き受けた方でした。
手足のような所長がいなくては、ハルモニたちが移動するのは不可能に近かったです。

所長で、活動家と言えば聞こえはいいが、
シムトの責任者として孫英美所長は
「飯炊き」のような人生を自らすすんで送りました。

誰も注目しない位置…誰も構ってあげない位置…

孫英美所長がハルモニの保護者を自任して、「飯炊き」のような人生を送ったから、
正義連が動けました。ハルモニたちが人権のために闘いを続けることができました。
金福童ハルモニと吉元玉ハルモニが病魔と闘いながら、最後まで水曜デモを守れたのは、
完全に孫英美所長の功績でした。


世の中には並外れて心根が美しく脆(もろ)い人たちが存在する…そう言います。本当にそうなのか?
過ぐる数週間、正義連とシムトに浴びせられた、悪意ある関心と圧迫は想像を超えるものでした。
一度もこんな状況を経験したことがない所長は、本当に苦しみました。

軍事独裁やその残党たちの統治下でも決して経験できない侮辱と羞恥、圧迫を、ロウソクが生み出した民主政権下で受けたのです。
何の過ちもないのに…

根拠もなしに毎日反復して注ぎ込まれる疑惑記事と無理な取材攻勢…
ユーチューバーだと言って昼夜鳴り響くベルの音、此処から出て行けと叫ぶ罵声…
担当者でもなく何の関係もないのに、唐突にかかってくる検察の電話…

そしてその中で…
何ら事実確認もなしに吐き出される社会と人々の冷笑…



そういう人たちにとっては何てことなかったのでしょう…何でもなかったのだと思います。
いま自分たちが歪曲してねつ造し、疑いながら、ゴシップとして扱っている、まさにそれが誰かの誠実な人生そのものだったということを、その人たちは勿論知らないのでしょう。
でなければ認めたくないとか…あるいは他の意図があるとか…



そんな悪意ある関心と圧迫にも堪えるのが正常ですか?でなければ、その前で崩れ落ちるのが正常ですか?
もしかしたら世の中に並外れて脆い人たちが存在するのではなく、正常とは言えないくらい図太くなってしまった私たちが存在しているのではないですか?私たちが、図太すぎるのではないでしょうか?
皆さんなら、ある日突然絞め付けてくる罠をどうしますか?耐えられますか?
定められた法に従っていましたし、領収証も全部ありました。しかし、誰も報道しませんでした。
疑惑のための疑惑が再生産され、無慈悲な反復報道が続いただけでした。



生涯を捧げました。

傷ついたハルモニたちが、少しでもより良い人生を送ることを望みながら…
そうすれば全世界の人権が、もう少し向上すると信じて…
自ら「飯炊き」の人生を選びました。


人生を、一瞬で全部否定される心情を想像できますか?
ハルモニがシムトに居られるのがハッキリしているのに、協力を約束しているにも拘らず、
家宅捜索が敢行され、記者たちが押しかけて、ユーチューバーの罵詈が飛び回りました。
そういうことをしておいて、「本当に残念だが、何故こうなったのか分からない」と言います。
相変わらずメディアは悲しみに沈んでいるシムトを取り巻いたまま、
行きかう人を全部捕まえて、いまシムトの雰囲気はどうか、尹美香は中にいるのかと問いただします。
自分たちが何処まで残忍になれるのか見せつけたいのでしょうか?でなければ…

吉元玉ハルモニは今もシムトにいらっしゃいます。
ハルモニは所長が亡くなられた事実を理解できないでいます。
いくら説明をしても、「何を言ってるの。所長は何処? 早く来るように言って」と繰り返しています。
そして今、ハルモニがいらっしゃるその家の外では
自称保守ユーチューバーが押しかけて下品な悪口を並べています。


どうしましょうか…所長が逝かれる道をどうしたら良いのか…吉元玉ハルモニをどうしたら…

ボーっと一日を過ごして家に戻り、「トレーダース(traders)」に入りました。白いシャツが一枚必要で。
所長を送るのに、新しい服を着て送りたかったのです。
でも家に帰ってみたら、ズボンが見当たりません…
新しく買ったシャツは長そでで…

ハルモニたちは大切です。
でも…活動家たちもハルモニ位に大切です。
ハルモニたちを人権活動家にしたのは、活動家たちでした。
正義連の活動家たちをもう少しだけ…本当にもう少しだけ愛して欲しいと思います。
大切にして欲しいと思います。

初めて李容洙ハルモニの記者会見を見て、私の妻が言った言葉を思い出します。
自分たちの人生が丸ごと否定されて、いまあの人たちはどんな気持ちだろうと
尹美香代表や正義連活動家たちの側に早く人を付けなければいけないと言っていたんです。

まさか…と思いました。
私もやはり、正義連活動家たちは、戦士か何かだと思い込んでいたようです。
そして今日、私は孫英美所長を失いました。

私が孫英美所長を失ったのでしょうか?
それとも、皆さんが孫英美所長を失ったのでしょうか?
孫英美所長がどれほど大切な方だったか、人々は果たして理解できるのでしょうか?

ハルモニたちは正義連が捕らえていた人質ではありません。
ハルモニたちの自由意思でシムトにいらっしゃったのです。
所長が亡くなられて、吉元玉ハルモニを家族が世話すると言います。
ハルモニはそのことを知りません。理解できないというのが正確でしょう。

そうしたら、正義連が運営してきたシムトである「平和のウリチプ」は歴史の中に消えるでしょう。
あの見境のないメディアとエセ保守は、それをもってまた正義連解体を云々するでしょう。計画通りに進めるでしょう。
彼らは正義連が歩んできた人権と言う道を全く理解できません。お金の話ばかりです。

皆さんはどうされますか?正直に言います。助けて下さい!

今日も彼らはハルモニの家の前で罵声を吐き出して、ユーチューブをして、
今日も彼らは、「孫所長が、尹美香議員と電話で話した後に亡くなったのではないか」などと聞きました。
そして今日も彼らは、「残念だけど孫所長がなぜ亡くなったのか分からない」と言いました。

彼らが吐き出し犯している奇行と悪行を記録して、正義連へ送ってください!
整理は正義連ができます。しかし集めることはできません。正義連活動家は何人もいません。
皆さんが助けて下さい。お願いします。闘おうと思います。助けて下さい!

                          (訳:権龍夫)
        「タンジ日報の自由掲示板 より(写真も)」(2020.6.08)


原文:http://www.ddanzi.com/free/626599737


(注)文中の「飯炊き」を孫英美さんの働きを表現する日本語に訳することが難しく原文通りにしました。
孫英美さんは、福祉を専門的に学び、「金福童希望」の仕事もこなしていました。FBの管理もし、正義連の会議にも定期的に参加、所長としての役割をしっかりやっていた活動家でした。