〈報告〉戦時性暴力問題連絡協議会 水曜行動 In 新宿 日本軍「慰安婦」問題は、まだ解決していません(保田千世)
ここに写真を並べていますが、フィリピン、インドネシア、インドネシアの宗主国であったオランダ、東ティモール、中国、韓国、台湾、日本などアジア太平洋地域の女性たちが、日本軍の「慰安婦」として、日本軍の性暴力の被害者として、人権を侵害されました。日本軍「慰安婦」問題は、日本と韓国だけの問題ではありません。
日本軍「慰安婦」問題は、まだ、解決していません。
旧優生保護法に基づく強制不妊手術の被害について、10月7日に、「日本政府の責任を認め」「心から深く謝罪する」という決議が国会でなされました。10月8日には、旧優生保護法強制不妊手術被害者補償法が成立しました。被害事実を認め、国の責任を認めた上で謝罪し、補償することになったのです。
一方、日本軍「慰安婦」問題では、日本政府は「強制連行はなかった」「『慰安婦』は性奴隷ではない」と事実を認めず、日本政府の責任をあいまいにしたまのお詫びと反省で謝罪したとし、賠償ではなくて性格のはっきりしないお金を出したことによって、解決済みとしています。
これでは被害者は納得できません。被害者や遺族たちは、今も、日本政府を相手に謝罪と賠償を求める裁判を起こそうとしています、国連の人権機関からは、今も、日本政府に対して、「慰安婦」問題の解決を求める勧告が出ています。
私たち「日本軍『慰安婦』問題解決全国行動」は、未だ解決されていないこの問題に関して、10月7日にドイツ大使館にベルリンミッテ区の平和の少女像を撤去しないようにと申し入れを行い、10月8日には、石破新政権発足にあたり、歴史に向き合い、日本軍慰安婦問題の解決を求める要請書を提出しました。
10月7日のドイツ大使館訪問では、ベルリン市長とミッテ区長あての撤去に反対する公開書簡を参事官に伝達し、趣旨を説明しました。
書簡では、この像は、日本軍慰安婦を記憶するだけでなく、戦時性暴力などの被害女性たちを力づける普遍的な意味を持つとして、撤去の反対を訴えました。39団体と562名の個人の賛同署名も添え手渡しました。
ご通行中の皆さん、これがベルリンミッテ区に設置されている「平和の少女像」の写真です。
少女像の足元に碑文があります。この碑文には「被害者の苦難を記念し」「沈黙を破った被害者たちの勇気を讃え」「このような惨禍が世界中で二度と繰り返されないように求めるもの」だと刻まれています。
ところが日本政府は、この像は「永遠に日本を非難する象徴」だとして、4年前の設置直後から撤去を求め続けてきました。日本政府の圧力が功を成し、この9月30日にミッテ区がこの平和の少女像の撤去命令を出しました。
しかし、碑文からも分かるように、この少女像は、「永遠に日本を非難する象徴」ではなく、「性暴力の根絶と平和を願う」象徴です。
実際にこの4年間、移民が多いミッテ区で、この少女像はアリという愛称で呼ばれて人種差別反対の象徴、平和の象徴として愛されてきました。ミッテ区議会からは何度も永久設置の決議が出されています。
趣旨説明では、この像の持つ多面的な意義と「日本政府がするべきことは、きちんと反省して記憶し、教育することであり、像を撤去して記憶を消そうとするのは、とんでもないことだ」と訴えました。
10月8日に提出した日本政府への要請書では、日本軍「慰安婦」被害者への謝罪や賠償、再発防止とともに、ベルリンミッテ区の平和の少女像への撤去要請をやめることを求めました。
日本政府が世界各地の『慰安婦』に関する碑や像の撤去要請行ってきたことは、歴代内閣が継承することを閣議決定してきた河野談話に反していることを指摘しました。河野談話では「これを歴史の教訓とし」「歴史研究、歴史教育を通じて」「記憶にとどめ」るとなっていますが、これに反しています。
また、今では、日本軍「慰安婦」問題は戦時下の女性に対する重大な人権侵害であることが国際社会の常識になっていて、国連の多くの人権機関から被害者の人権を回復するよう何度も勧告がでています。日本政府がこの国連勧告を無視し続けていることを批判しました。
そのうえで、性暴力の根絶や平和と人権を求める国際社会で日本が名誉ある地位を確立するためにも、次のような5項目を要請しました。
読み上げて、紹介します。
1、日本政府は日本軍「慰安婦」(日本軍性暴力・性奴隷制度)による人権侵害の事実を認め、被害者に対
する公式謝罪、賠償、再発防止を行うこと。
2、日本政府はベルリンの平和の少女像など、世界に建立されている日本軍「慰安婦」の像や碑に対する設置妨害や撤去要請をやめること。
3、日本軍「慰安婦」を歪曲する教科書を認めず、歴史教育の中で事実を正しく伝えること。
4、2021 年 1 月のソウル地方裁判所、2023 年 11 月のソウル高等裁判所の判決に従い、被害者に損害賠償を行うこと。
5、国連の人権機関などの日本政府に対する勧告に従うこと。
特に直近の 2022 年 11 月の自由権規約委員会、2024 年の ILO 専門家委員会の要請に従うこと。
また、2024年6月の女性差別撤廃員会の韓国政府に対する勧告で「依然として日本軍『慰安婦』が適切な賠償を受けていないことに懸念を表明」していることに対して、日本政府として責任を果たすこと。 2024 年7月の拷問禁止委員会が韓国政府に対して「日本軍『慰安婦』問題が未解決であり、法的賠償の ために努力するよう」勧告していることを重視し、法的責任を果たすこと。
ご通行中の皆さん、日本軍「慰安婦」問題はまだ解決されていません。
この問題を解決することは性暴力をなくし、女性の人権を確立し、平和な未来を拓くことにつながります。私たちは、日本軍「慰安婦」被害者たちが望んできた性暴力のない世界、平和な世界を目指して今後とも活動を続けていきます。
ご通行中の皆さん、今、お話ししてきたことは、お配りしているビラに書いてあります。ぜひ、お読みください。
(ビラは ttps://www.restoringhonor1000.info/2024/10/20241016-in.html の最後の方にUPされています)
また、インターネットの日本軍「慰安婦」問題解決全国行動のホームページに、平和の少女像の撤去の中止を求めるベルリン市長とミッテ区長あての書簡や日本政府への要請書などの資料、日本軍「慰安婦』問題を巡る動きなどを載せています。よろしかったらアクセクしてください。
・ドイツ大使館への要請行動の報告は
https://www.restoringhonor1000.info/2024/10/blog-post_63.html
・内閣府への要請行動の報告は
https://www.restoringhonor1000.info/2024/10/blog-post_19.html