〈報告〉戦時性暴力問題連絡協議会 第80回水曜行動in新宿 月間報告(池田恵理子)
石破新政権が始まったと思ったら、すぐさま衆議院を解散して総選挙。こうなると私たちの周りは選挙報道一色に染まり、政治とカネ、裏金問題、アメリカ追従の安保体制・・・
といった腹立たしい話題に満ち満ちてきます。
そんな一方で、半世紀近くを獄中に拘束されて死刑囚とされてきた袴田巌さんに9月末、無罪が確定しました。この経緯をみるにつけても、日本の裁判所も検察も警察も、一体どうなっているのか!と、怒りと恐怖がつのってきます。
他方、日本被団協がノーベル平和賞を受賞するというビッグ・ニュースが飛び込んできました。世界各地で戦争が勃発し、核兵器の使用が危ぶまれる中での今回の受賞が、核廃絶に向かう力となることを願うばかりです。
このような大音量のニュースの傍ら、「慰安婦」問題をめぐる動きも様々ありました。韓国の日本大使館前に設置された「平和の少女像」ですが、この像はすでに韓国内では146ヵ所、世界各国では33ヵ所にも建立されてきたと言います。
ところがドイツのベルリンに建てられた「平和の少女像」に対してミッテ区が撤去を命じたので、私たちは撤去しないよう要請書を書いて署名を集め、ベルリン市長やミッテ区長に送り、ドイツ大使館にも持って行きました。
「少女像」はオーストラリアのメルボルンでも撤去されているので、11月にはベルリン・メルボルン・日本を結んだイベントを開催する予定です。9月18日には台湾の台南市で、2018年に建てられた「少女像」が撤去されてしまいました。
いずれも、「慰安婦」問題をなきものにしたい日本政府の思惑と強引な妨害工作による結果です。私たちはこんな日本政府に対して抗議し、首相や外相に要請書を提出してきました。
詳しくはこの後、保田さんの報告がありますので、お聴きください。(https://www.restoringhonor1000.info/2024/10/in.html)
また、去年、韓国の「慰安婦」被害者や遺族たちが日本政府を訴えた韓国での裁判で勝訴判決が出たのに続けて、中国でも山西省と湖南省の被害者や遺族たちが、中国の裁判所で日本政府を訴える裁判を起こしました。山西省では何の動きもなく、湖南省では残念なことに受理されませんでしたが、日本の私たちはこれらの裁判支援と日本政府への訴えを続けています。このような問題では、国境を越えた市民同士の共感と連帯は深く、温かいものがあります。
日本では物価高とそれに伴う収入減、非常勤労働者の苦境などから、今後一層加速する高齢化、少子化と人手不足が案じられていますが、政治家たちは民衆の暮らしに向き合おうとしないのではないでしょうか。
明日は国連の女性差別撤廃委員会で8年ぶりに日本のジェンダー平等を審査する会議が行われます。ジェンダーギャップ指数では、日本は世界146カ国の中で118位という後進国に落ち込んでいます。女性が差別されて不平等のままに置かれ、人権侵害がいまだに横行しているこの日本に対して、どのような審査が行われるのか、是非注目して見守っていきたいと思います。
10月になってからは、中国の女性運動家やロシア、北朝鮮の女性運動の活動家や研究者たちが集まって語り合うイベントがありました。国家の体制が異なる社会で、女性たちの現状はどうなっているのかを語り合う機会は珍しく、有意義な出会いと発見がありました。率直な話し合いを通して、どの国でも未だに実現していない男女差別や人権問題には真剣な取り組みがあることがわかってきたのです。このような話題をメディアが取り上げることは滅多にありませんが、私たちは女性同士の交流を続けて、これからも理解し合い、連帯を続けていきたいと思います。