安倍晋三元首相が墓から生き返ったのかと思った。

先月24日、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は「100年前のことで、(日本に)『無条件にひざまずけ』と言うことを私は受け入れることができない」と語った。戦争犯罪の真実を明らかにし、加害者の責任を求めてきた歴史が「日本を屈服させようとする」行動であり、人間の尊厳と名誉回復のために闘争してきた被害者と市民が「日本を屈服させようとする」集団だということだ。



悲惨な歴史認識に基づく「足かせ」論理の無限進化の様相である。



悲惨な国民の心情はお構いなしに、大統領の言葉を擁護する名目で大統領府と政府与党が見せた肉弾防衛戦はもっと醜悪だ。最初は主語が抜けている内容の誤りだと言いながら、主語が含まれている録音記録が公開されると、真意を見なければならないと喚き散らす。 「大統領の歴史観の問題」ではなく、「フェイクニュース」だと言いながら、「日本が過去史問題ですでに50回以上謝罪し、」今、「過去史を乗り越えて前に進もうという意志を明らかにしたもの」だから、文脈的に読んでほしいと言い、「1998年の金大中大統領も似たような基調で発言した」など、あらゆる詭弁で強弁する。




口を開けば嘘、嘘がバレたら言い訳、言い換え、強引な捏造と逆襲、マスコミと野党、前政権のせい、国民に責任転嫁、それもダメなら別の事故で直前の問題をカバーするのが日常だ。



これにより、我々は改めてこの政府与党の絶望的水準を確認した。過去1年余り、国民が目撃した一連の状況は、突出した暴言、一過性の失言、無知に基づく暴言ではない。「無能外交」「屈辱外交」という批判のレベルも超えている。集団を敵と同志だけに分ける二分法的思考、「力による支配」という世界観、冷戦的イデオロギー、その裏側に隠れていた日本植民地史観と軍国主義史観の発現である。彼らが国内外の極右勢力、歴史否定論者の現実認識と要求を一貫して代弁するのは、悲しいことだが、もしかしたらあまりにも自然なことかもしれない。




解放78年が過ぎたが、韓半島の不法強占、帝国主義戦争犯罪を認めたり、被害者に法的賠償と公式謝罪をしたこともない日本に、彼らがそのように免罪符を与えようと躍起になっている理由はここにある。大韓民国の憲法秩序を破壊し、自主独立国家としての主権を毀損し、民衆が苦労して築いてきた民主主義も崩壊させ、ついに韓半島全体を戦争の危機に陥れようとするあらゆる反憲法的、反国家的行動の背景もこれだ。 



彼らの危険な行動を一時的にでも覆う傘はただ一つ、強大国の虚偽の承認である。傲慢な日本と自己の保身に余念がない米国がこれを知らないはずがない。 過去の日韓首脳会談で受け取った数多くの請求書、その後も続く日本政府の非があるのに開き直った妄言と歴史否定行為がまさにその証拠だ。

日本政府は強制動員被害者を朝鮮半島出身の労働者と呼び、「2015日韓合意」の遵守を要求し、独島領有権を堂々と主張した。福島の放射能汚染水の放流を予告し、佐渡鉱山のユネスコ登録を熱心に推進し、太平洋戦争A級戦犯が合祀された靖国神社に大規模に参拝した。



表向きは派手なアメリカのおもてなしに感激した尹錫悦大統領が背負って帰ってくる荷物はまた何だろうか。 今回の米国訪問が不安な理由だ。



改めて大韓民国国民が要求する。


平和安全危機、経済危機、民主主義危機をもたらし、国民の安全と幸福を害するいかなる行為も直ちに中止せよ。歴史正義と被害者の人権を無惨に踏みにじる行為を直ちに中止せよ。消そうとしても消えず、崩そうとしても崩れない歴史と正義、民主主義と人権の塔を築き上げた私たちは、これからもどんな弾圧と逆境にも屈することなく堂々と進んでいく。





2023年4月26日 

正義記憶連帯 理事長 李娜榮(ナヨン)



(訳 権龍夫)