尹錫悦(ユン・ソンニヨル)大統領当選者は去る247人で構成された韓日政策協議団を日本に派遣した。

 



彼らは25日の林外相面談に続き、26日午前、岸田首相に会った。「過去の歴史を直視して未来指向的関係を構築していこうという金大中-小渕宣言の精神を継承発展させよう」という趣旨の尹当選者親書も伝達したという。鄭鎮碩(チョン・シンソク)団長は記者たちに「2015慰安婦合意精神、被害者の名誉と尊厳の回復、心の傷の治癒精神に従って両国で解決策を準備する外交努力を傾けようと話した」と明らかにした。

 



今回の訪問が金大中-小渕宣言の精神を引き継いで日本軍「慰安婦」被害者の名誉と尊厳回復に両国の実践的努力を牽引するならば歓迎しよう。だが、「未来指向的韓日関係」「改善」のために必ずなさねばならない前提条件が削除されたまま美辞麗句だけが乱舞しており、深く憂慮するばかりだ。

 



重要なことは、過去を直視して未来に進むために最も大きな障害物が日本政府だったという事実を忘れている点だ。「植民地支配によって韓国国民に莫大な損害と苦痛を与えたという歴史的事実を謙虚に受けとめる」と言った金大中-小渕宣言の精神を継続的に違反したのは日本政府だ。河野談話も継承するというのみで、強制性を否認する閣議決定と教科書歪曲で事実上繰り返し違反してきたのも日本政府だ。日本軍「慰安婦」のユネスコ登載妨害行為はもちろん、植民地強制動員の歴史を消したまま軍艦島と佐渡金山のユネスコ登載を推進したのも日本政府だ。「2015韓日合意」直後にも韓国政府を国際社会で誹謗し、性奴隷ではなかったとして過去を否認して「日本が失ったものは10億円だけ」としながら被害者を侮辱したのも日本政府だ。 

 



植民地支配責任、戦争責任、強制動員と日本軍性奴隷制という犯罪事実を持続的に否認して歪曲し、むしろ被害国を脅かし、嘘つきに追いやり、突き上げてきた日本政府の反省と謝罪が優先されないまま、どうやって金大中-小渕宣言の精神を継承発展させることができるというのか。

 



次に、「2015韓日合意」の問題点がまともに評価されないままその「精神」に従うというのも話にもならない。「2015韓日合意」は被害者中心原則違反、平和の少女像撤去と「最終的・不可逆的解決」宣言など屈従的裏面合意の問題で、2017年大統領選挙当時国民の力の前身であるハンナラ党を含む与野党すべての候補らが白紙化ないし再交渉を主張した。何より国家間合意にもかかわらず、日本軍「慰安婦」問題が解決されたのではないという点を大韓民国政府も明確に明らかにしたのだった。 




それでも韓日関係を決定的にもつれさせた「2015韓日合意」の主役たち、「2015韓日合意」を積極的に支持して賛同した者たち、龍山惨事を陣頭指揮した張本人でありソウルで開かれた天皇誕生日祝宴に堂々と参加した彼らが「合意精神」を云々する。被害者の名誉と尊厳回復に関心を傾けるどころか大釘を打ち込んで傷を深めた人々が、自分たちの誤りは忘れたまま「韓日関係改善」の先駆者として復活している現実をどうやって理解しろというのか。尹当選者は彼らを韓日政策協議団に加える前に当時の合意の全過程を公開して評価する作業からあたるのが道理ではないのか。




 

大韓民国の国益よりは日本の国益に忠実で植民地分断冷戦体制永続化に大きく寄与してきた人物が屈辱的韓日関係の復活を改善だと考えるならば真に嘆くべきことだ。

 



正義連は共存と共生にもとづく未来指向的韓日関係を心から望む。過去の過ちを直視して再び繰り返さないという、言葉ではなく真実性のこもった実践が伴う関係改善を望む。恒久的平和と民主主義という基礎の上に「共同の利益」が追求されることを願う。祖先の過ちによって継続される政治的責任が未来世代にとって荷物にならないよう心から願う。そのために両国政府が歴史的真実を直視して具体的に責任を負う姿勢を見せるよう強く要請する。

 


2022427

正義記憶連帯 理事長 李娜榮(イ・ナヨン)


(訳 方清子)