内閣総理大臣  菅 義偉 様 

内閣官房長官  加藤勝信 様


加藤官房長官のドイツの「慰安婦像」撤去発言に抗議する


 9月29日の記者会見で、加藤官房長官は、ドイツに設置された「慰安婦像」について、「日本政府の立場やこれまでの取り組みとは相いれない」「政府としては撤去に向けてさまざまな関係者にアプローチ」すると述べました。



 今回、ベルリンに設置されたのは、ソウルの日本大使館前の像と同じ「平和の少女像」で、平和を願い、戦時下の性暴力の再発防止・女性に対する性暴力の根絶のために建てられたものです。



28日の像の除幕式には世界各地から、現在の戦時下の性暴力の被害者団体や支援団体、人権団体が参加し、「平和の少女像は、現在の戦時性暴力被害者も象徴している」「戦時下の女性に対する性暴力根絶に向けて、連帯しよう」と訴えました。(ハンギョレ新聞)


ベルリン市の関係者もTBS放送とのインタビューで「少女像の設置を許可したのは女性に対する性暴力に反対するメッセージを伝えるため」と語っています。


「平和の少女像はあらゆる形態の暴力から保護するための約束である」(フランクフルト平和の少女像)、「戦争によるこのような暴力と犯罪が繰り返されないように」(シドニー平和の少女像)、「世界中での性暴力や性的人身売買を根絶するために建てられたものです」(サンフランシスコ「慰安婦」像)など、世界各地に建てられている日本軍「慰安婦」メモリアルも同じです。



 このような「慰安婦」像設置が「日本政府の立場と相いれない」というのは、日本国憲法の平和主義に反し、日本は女性の人権を無視しているととられても仕方がありません。 


 性暴力の被害者を責め、差別する社会のなかで、勇気を奮って、「こんなことが二度とあってはいけない。戦争は絶対あってはいけない」と被害事実を証言した日本軍「慰安婦」被害者を、再び冒涜しています。



 また、他国の「慰安婦」メモリアルに、加害国日本が撤去を要求する権利が、どこにあるのでしょうか。


さすがに、今までは「慰安婦像の設置などの動きは日本政府の立場と相いれない」ので、「日本の立場を説明する取り組みを行う」(外交青書など)と糊塗していましたが、今回の「撤去」発言で、日本政府の本音が露わになりました。


10月1日、フランスを訪問中の茂木外務大臣が、ドイツのマース外相との電話会談で、撤去に向けた対応を求めたことでも、いよいよ、菅政権の本質が明らかになってきました。


 私たちは、日本軍「慰安婦」制度・戦時下の性暴力・女性に対するあらゆる性暴力に反対し、再発防止と平和を願う立場から、今回の加藤官房長官発言に強く抗議し、発言の撤回を求めます。


日本政府に対して、被害者への公式謝罪や賠償とともに、「日本軍」慰安婦問題の歴史的事実を記憶し継承する取り組みを行うことを求めます。日本が真に女性の人権を尊重する国になることを求めます。


2020年10月9日


日本軍「慰安婦」問題解決全国行動 

Email:i_zenkokukoudou@yahoo.co.jp

http://restoringhonor1000.info


〈構成団体〉

過去と現在を考えるネットワーク北海道  

日本軍「慰安婦」問題の解決をめざす北海道の会

日本キリスト教協議会(NCC)女性委員会

希望のたね基金

「慰安婦」問題の解決を求める北摂ネットワーク・豊中 

戦時性暴力問題連絡協議会 

フィリピン人元「従軍慰安婦」を支援する会

川崎から日本軍「慰安婦」問題の解決を求める市民の会

「戦争と女性への暴力」リサーチ・アクションセンター(VAWW RAC)

「慰安婦」問題解決オール連帯ネットワーク 

 中国人「慰安婦」裁判を支援する会

山西省における日本軍性暴力の実態を明らかにし、大娘たちと共に歩む会

フィリピン元「慰安婦」支援ネット・三多摩(ロラネット)

台湾の日本軍性暴力被害者・阿嬤たちを記憶し、未来につなぐ会

コリア・プロジェクト@富山

旧日本軍による性的被害女性を支える会 

日本軍「慰安婦」問題を考える会・福山

日本軍「慰安婦」問題解決ひろしまネットワーク 

日本軍「慰安婦」問題を考える会・尼崎

日本軍「慰安婦」被害女性と共に歩む 大阪・神戸・阪神連絡会

「慰安婦」問題の解決を求める北摂ネットワーク・吹田 

日本軍「慰安婦」問題の解決を求める奈良ネット

日本軍「慰安婦」問題・関西ネットワーク

「慰安婦」問題を考える会・神戸

日本軍「慰安婦」問題解決のために行動する会・北九州