本日(2020年10月1日)、新内閣に対して日本軍「慰安婦」問題解決全国行動は下記の要請書を提出しました。

  


要請書を全文読み上げた上で、私たちの訴えたいことを述べました。

特に、加藤官房長官の記者会見(9月29日)における、ベルリンに設置された「平和の少女像」を「撤去させる」という発言は、外交青書などで述べている「日本政府の立場と相いれない」という表記からさえ逸脱した、エスカレートした発言であり、抗議するということを強く述べました。

約30分の要請行動ですが、必要なことは述べることができたと思います。

 

この行動は、憲法第16条で保障されている「請願権」に基づくものですが、対応した担当者は、これはあくまでも「請願であって、返答をすることはできない」ということを述べていました。

しかし私たちが述べたことを筆記したものについては、担当のところに必ず渡すということでした。





内閣総理大臣 菅義偉 様

【要 請 書】


 1991年8月14日に韓国の金学順さんが、日本軍「慰安婦」被害者として名乗り出て以来、すでに30年近くが経っています。その後、韓国だけではなく、フィリピン、インドネシア、東チモール、オランダ、台湾、中国、朝鮮民主主義人民共和国などからも、多数の日本軍性奴隷被害者たちが声をあげ、かつての日本の植民地支配、侵略戦争による人権侵害の歴史的事実が明るみになりました。



 しかし日本政府は、特に安倍政権は、「性奴隷はなかった」「強制連行はなかった」と消せない歴史的事実そのものを否定してきました。そして海外で建立されている「慰安婦」像・「慰安婦」追悼碑・「平和の少女像」などについて、碑文の中の「強制連行」「性奴隷」「慰安婦20数万人」の記載が史実に基づいていないとの理由で、碑そのものを撤去させるという暴挙を行ってきました。



9月29日の加藤官房長官の記者会見では、ドイツ・ベルリンに設置された少女像を「撤去させる」と発言していますが、それは被害者たちへの更なる冒涜であり、女性の人権、平和を求めて記憶の継承を諦めることなく行っている世界の市民に対する冒涜です。許されることではありません。



また2016年12月に韓国の「慰安婦」被害者たちが日本政府に対して起こした損害賠償請求訴訟に対して日本政府は「国家(主権)免除」を理由に無視し続けてきました。重大な人権侵害に対しては、「国家(主権)免除」論は適用されません。



 「私が生き証人だ」とアジア各地から勇気をもって立ち上がった被害者たちの、「いい仕事があるとだまされたり、脅されたり、拉致同然に道端や家から連行されたり」「慰安所や強姦所で兵士の性の相手を強要され、拒むとその傷が生涯残るほどの身体的暴力を受け、逃げることもできなかった」という証言(出典:国内での「慰安婦」裁判10件のうち、8件の判決により認定された被害事実。また、政府収集のバタビア裁判等BC級戦犯裁判、東京裁判資料)は、日本軍慰安所制度が強制連行・性奴隷そのものであったことを明らかにしています。



被害者が何人であれ、アジア太平洋戦争当時の日本軍の占領地や植民地のいたる所から被害者が名乗り出ている事実を消すことはできません。被害者一人ひとりが受けた性暴力の苦しみは消えるものではありません。また被害者を置き去りにした2015年の日韓「合意」でも、被害者への公式謝罪は行われず、そのため国連の人権機関は、日本軍「慰安婦」問題は“人道に反する犯罪”として、日本政府に、度々、誠実な対応を勧告してきました。これを無視し続けてきた安倍政権は、人権無視の政権であったと言われても仕方ありません。新政権も、安倍政権継承内閣を打ち出しています。私たちはあらためて日本政府の責任を問い、以下を要請します。


 1.日本軍「慰安婦」被害事実の認定と真相究明

 2.被害者に対する心からのゆるぎない謝罪と法的賠償

 3.二度とこのようなことが起きないための記憶の継承と歴史教育 


2020 年 10 月 1 日

日本軍「慰安婦」問題解決全国行動 

Email:i_zenkokukoudou@yahoo.co.jp

http://restoringhonor1000.info