ドイツ・ベルリンの公共の敷地に「平和の少女像」が設置され、9月28日に除幕式がおこなわれました。ドイツで3基目ですが、公共の敷地に建てられたのは初めてです。これに対し、加藤勝信官房長官は29日の記者会見で「極めて残念だ。撤去に向けてさまざまな関係者にアプローチし、わが国の立場を説明するなど働き掛けていきたい」と発言。続いて10月2日(現地時間1日)にはフランス訪問中の茂木敏充外相がドイツのマース外相と電話会談し、「平和の少女像」の撤去を要請しました。


 日本政府の要請を受けて、10月7日(現地時間)、ベルリン市ミッテ区が設置者であるコリア協議会に撤去を命じる公文を出しました。公文には、14日までに撤去すること、撤去しない場合には強制執行をおこなう、その費用はコリア協議会に請求すると書かれてあり、「ミッテ区が韓国と日本の間の対立を引き起こし日本に反対している印象を与える」と書かれていました。


 これまでにもアメリカ、オーストラリア、中国、フィリピンなどで日本政府は日本軍「慰安婦」メモリアルの建立を妨害してきましたが、「政府の立場を説明する」と言うだけで、今回のように露骨に「撤去を要請」すると言ったことはありませんでした。菅政権の素顔が見えた思いです。


 何としてでも14日の撤去を食い止めなければなりません。コリア協議会は強制執行を差し止めるための訴訟も準備していると報道されています。全世界で撤去を食い止めようとする市民の動きが起きています。日本の市民として可能なあらゆる方法を講じたい思いです。


 日本政府への抗議文と、ベルリン市ミッテ区長への要請文に一人でも多くの賛同をお願いします。


個人賛同フォーム:https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSftxgO8FYuUkR0qWGTmXycHJE4umrQzO8TVxgHw0GGqw6pJ1g/viewform?usp=sf_link

団体賛同フォーム:https://docs.google.com/forms/d/1vN-Xk2FemNO_wIIRTVvS5WmNDBkggR--8XQyI2pIHtc/edit

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内閣総理大臣  菅義偉 様

外務大臣   茂木敏充 様

抗議文

 ドイツのベルリン市に設置された「平和の少女像」に対し、日本政府が再三の撤去要請を行い、これに応じてベルリン市ミッテ区が設置団体に対して撤去命令を出したことが分かりました。私たちはこの報に接して、恥ずかしく、腹立たしい思いを抑えることができません。

 日本政府はこれまで日本軍「慰安婦」被害者に対して「お詫びと反省の意」を表明してきたのではありませんか。反省とは、自らの行いを省みて誤りを正そうとすることではないのですか。「お詫びと反省」を口にする一方で、過ちを隠蔽し歴史から消し去ろうとする政府のこのような行為こそが、被害者および被害国の疑心と怒りを買い、日本軍「慰安婦」問題の解決を難しくしてきたのです。

 日本政府が日本軍「慰安婦」メモリアルの設置を妨害したのは今回が初めてではありません。アメリカ、ドイツ、オーストラリア、中国、フィリピン等で設置を妨害してきました。しかし、それらの碑の碑文を見ると、「平和の少女像はあらゆる形態の暴力から保護するための約束である」(フランクフルト平和の少女像)「戦争によるこのような暴力と犯罪が繰り返されないように」(シドニー平和の少女像)「世界中での性暴力や性的人身売買を根絶するために建てられたもの」(サンフランシスコ「慰安婦」像)など、性暴力の根絶と平和を訴えています。これに対して「日本政府の立場と相いれない」と言うことは、人権と平和の守護をめざす世界の流れに逆行する意思を表明しているようなものです。

 さらに、これまでは「日本政府の立場を説明していく」という表現に留め、妨害の事実についても認めようとしなかった政府が、菅政権になって初めての今回の碑に対しては、露骨に「撤去を要請する」と官房長官が言い切り、外相が当該国の外相に電話会談で撤去を要請したと臆面もなく発言することに恐怖すら感じます。

 今からでも、このような姿勢を正すべきです。日本軍「慰安婦」を生んだ加害国として、誰よりも事実を正面から直視し、心から反省し、この教訓を人類が生かしていくことができるよう、率先して記憶し教育し継承していく姿を被害者たちに、被害国に、そして世界に示してこそ、日本は尊敬され尊重される国となり、日本軍「慰安婦」問題も解決することができるでしょう。

あったことを無かったことにはできません。日本軍「慰安婦」問題を記憶することで性暴力のない平和な社会をめざそうとする各国市民の動きも止めることはできません。できないことに邁進するのではなく、なすべきことに力を尽くすよう求めます。

 

一、政府は、ベルリン市に建立された平和の少女像への撤去要請を直ちに撤回してください。

一、政府は、性暴力の根絶と平和構築のために各国で続けられている日本軍「慰安婦」問題を記憶・継承する運動への妨害を直ちにやめ、これらの運動を積極的に支持し応援する姿勢を示してください。


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ベルリン市ミッテ区長

Stephan von Dassel 様

要請書

 私たちは「平和の少女像」など日本軍「慰安婦」メモリアルの建立を支持する日本の市民です。このたび、ベルリン市の公共の敷地に「平和の少女像」が設置されたことを知り、たいへん喜んでいました。なぜなら「平和の少女像」は、日本軍の「慰安婦」にされた女性たちの被害を物語るだけでなく、二度と同じようなことが起きないよう願う被害女性たちの思いが込められたものだからです。「平和の少女像」は、今や性暴力の根絶と平和を願う象徴になっています。

ところがこのたび、ベルリン市ミッテ区が1014日までにこれを撤去するよう命じる公文を出したことを知り、大きな衝撃を受けています。また、そのような決定を迫ったのが日本政府であるという事実に恥じ入り、憤慨しています。加害国である日本は、日本軍「慰安婦」問題を記憶し未来への教訓とすることに最も真摯に向き合わなければなりません。にもかかわらず、むしろ事実が忘れられること、歴史から消されることを願って、世界中から日本軍「慰安婦」メモリアルを消し去ろうとやっきになっています。

平和の少女像は、「韓国と日本の間の対立を引き起こし日本に反対する」ものではありません。このような間違った認識を付与されたまま撤去されてしまったら、日本軍「慰安婦」という想像を絶する経験を、勇気を奮って証言し、性暴力の根絶と平和の実現を訴えた被害女性たちの尊い思いまで汚されてしまいます。被害者を再び傷つけ、国家間の対立を引き起こしているのは、事実に蓋をしようとする日本政府の行いなのです。

過去の加害事実を心から反省し、その教訓を未来へと生かすことこそ、平和への道だと信じる私たち日本の市民は、ナチスの犯罪を認め、謝罪と被害回復措置を重ねてきたドイツから学びたいと思ってきました。日本がドイツのように、過去を直視し、平和な世界を築く上で共に歩める国になれるよう、お力をお貸しください。

 

一、平和の少女像に対する撤去命令を撤回してください。

一、平和の少女像を積極的に守ってください。