きたる8月4日は「河野談話」発表から30年になる日だ。国内外の被害者たちの証言が相次ぎ、動かせない歴史的証拠が表出して、もはや真実を否定することが困難になった日本政府は、199384日、「慰安婦関係調査結果発表に関する河野内閣官房長官談話」を発表する。


 

いわゆる「河野談話」には、第一に、慰安所の設置、管理および慰安婦移送に関する日本軍の直接的・間接的な関与を認め、第二に、募集と移送の強制性を認め、第三に、過酷な慰安所の状況を認め、第四に、以上の過程で当事者の名誉と尊厳を傷つけたことを認め、第五に、再発防止のための歴史研究と歴史教育の約束、最後に謝罪と反省が表明されている。


日本軍と官憲の横暴、本人の意思に反する徴用・移送・管理、軍慰安所内での強制性を認め、歴史研究と歴史教育を強調したという点で、意義は少なくない。

 


しかし「河野談話」は、募集に関する業者の役割を強調し、日本政府と軍の「主導」ではなく「関与」という曖昧な表現で責任所在と違法性を曖昧にし、体系的な真相究明と法的賠償に言及しないなど、根本的な限界がある。法的責任を否定しているため、責任者の処罰も期待できない。

 



何よりも、その後の日本政府の行動は二枚舌の典型を示している。

日本政府は「慰安婦問題に関する補償問題」が1965年の日韓請求権協定によって「完全かつ最終的に解決された」と主張し、法的責任を回避するために1995年に市民募金に基づく「国民基金」を発足させた。

被害者を分裂させ、日韓市民に大きな傷を与えた国民基金以降、日本社会全般の歴史的退行も深刻に深化してきた。


 特に2007316日、安倍内閣は「軍や官憲によるいわゆる強制連行を直接明らかにする記述は発見されていない」と事実上「河野談話」を否定する閣議決定を行い、20129月の自民党総裁選で「河野談話」の検証に言及した。歴代内閣のほとんどが口では(河野談話)継承を言明しながら、事実上「強制連行」を否定し、「性奴隷」を根拠なく否定し、各種閣議決定を通じて「河野談話」を根底から揺るがしてきた。

世界中の「平和の少女像」撤去のために他国の政府・議会・自治体・大学・市民団体を全面的に圧迫し、「記憶を通じた再発防止」の約束を手のひらを反すように覆した。

 



このような事態に、尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権の屈辱的な対日外交は刮目すべきものがある。大統領就任当初から「2015日韓合意」精神の遵守を表明し、ついに強制動員の「第3者弁済案」を出し、韓半島の植民地支配、強制動員、日本軍性奴隷制をすべて否定する日本右翼の宿願を率先して解決してあげている。日本との軍事協力のために歴史を忘却し、韓半島を戦争の危機に追い込むのに積極的に取り組んでいる。



 

このような困難な状況下で今日、正義記憶連帯は「河野談話」30周年を迎え、日韓シンポジウムを開催する。「河野談話」が事実上形骸化され、韓日両国が歩んできた軌跡を振り返り、今後進むべき方向を模索する。これを通じて、暗澹とした暗い時代にも希望の松明を輝かせた被害生存者と先輩活動家たちの勇気を再び私たちの胸に刻みたいと思う。連帯の力で、愛の力で、正義の共同体、記憶の共同体を絶えず刷新し、力強く前進しようと思う。この道に共に歩んでくださったすべての方々に改めて感謝する。

 


202382 

正義記憶連帯 理事長 李娜栄(ナヨン)



(訳 権龍夫)

 



「国民基金」:「女性のためのアジア国民基金」が正式名称で、1995年7月に発足した。略称は当初、「国民基金」だったが、後に「アジア女性基金」となった。(訳者注)