1991814日、金学順さんが国家の関与を否定する日本政府への怒りを抑えきれず、日本軍性奴隷制被害を告発したことは世界を揺るがす歴史的な出来事でした。そして、アジアをはじめ各国の被害者が立ち上がり、戦時性暴力にようやく目が向けられるようになりました。




19938月、日本政府は河野談話を発表し、「本人たちの意思に反して集められた事例が数多くあり」「官憲等が直接これに加担した」とし、「慰安所における生活は、強制的な状況の下での痛ましいものであった」ことを認めました。しかし、それから30年を経た今、河野談話の見直しを掲げて登場した安倍政権は歴史事実の歪曲、加害責任の否定を行い、その後の政権もこれを強固に継承しており、惨憺(さんたん)たる状況です。私たちは、日本政府がまず河野談話に立ち返ったうえで、「軍の関与」ではなく「軍が主体」であったこと法的責任があることを認めるよう強く求めます。




アジア太平洋戦争で、日本軍によって夥(おびただ)しい数のアジアの女性や子どもたちが凄惨(せいさん)な性暴力被害を受け、命や人生を奪われたことは厳然たる事実です。しかし、この事実に向き合わないどころか、責任を被害者に押し付け、政治・外交的決着をはかろうとする日本政府に対して、日本軍性奴隷制被害当事者と各国の支援者らは世界中を回って解決を訴え続けてきました。日本が批准する国連各人権機関は1990年代から日本政府に対して繰り返し勧告を行っています。昨年11月には国連自由権規約委員会が日本政府に対して調査や証拠の開示、加害者の訴追と賠償、歴史教育などを求めるとともに、被害者を中傷し、事実を否定するあらゆる試みに非難を表明しています。




国際社会は国家から個人中心の人権尊重へと進化していますが、日本は大きく立ち後れています。2023ジェンダーギャップ指数は、ついに世界最下位レベルです。家父長的・構造的女性差別は綿々と引き継がれ、ミソジニー(女性嫌悪)を背景とした攻撃が強まる中、性暴力に抗して声をあげた被害者に責任を押し付け、侮辱するヘイトが止まないことはジャニーズ性加害問題をめぐっても明らかです。国会では外国人やLGBTQの人たちについての排他的な立法が続き、もはや国家レベルのヘイトクライムと言える事態です。




ロシアのウクライナ侵攻から1年半、戦場での性暴力も伝えられる中、だれもが一刻も早い停戦を望んでいます。しかし、日本政府はこの状況を利用して安保関連3文書を閣議決定し、敵基地攻撃能力の保有、軍事費の増大など軍事政策を大転換し、沖縄にさらなる負担を強いながらアメリカとともに進む軍事大国を目指しています。戦争や暴力のない平和な社会を訴え続けた日本軍性奴隷制被害者の声を踏みにじり、戦争への道をひた走る日本政府に断固抗議します。




私たちは、日本軍性奴隷制被害者の一人ひとりを記憶し、日本政府の加害責任を問い続けます。戦争に反対し、あらゆる暴力を許さず、世界の人々と連帯しながらともに歩んでいきます。


 

2023814

日本軍「慰安婦」問題解決全国行動