きたる1210日は1948年国連総会で世界人権宣言が採択された日です。

 第2次世界大戦終戦後、全世界は再び「人類の良心に反する野蛮な行為」が起きてはならないとの自省から人間の尊厳性を守る最小限の制度を整えることにしました。そしてすべての人間は性別と人種、皮膚の色、信条、宗教などの違いにかかわりなく自由で平等だと文書で明示することに合意しました。すべての人が持っており、誰も奪われない権利と自由の30項目が明示されたこの世界人権宣言は、自由と平等に関する世界の指針書であり、国際人権法の礎になりました。

 



 それから74年が過ぎた今日、絶望的なことに私たちは、人権と正義が後退し、真実と尊厳が否定されるのを不断に目撃しています。

 



 女性たちを強制的に動員して奴隷状態に陥れて性暴力と性搾取を犯し、残酷に拷問して非人間的に侮辱、遺棄、殺害した者たちは無反省に歴史を否認し、被害者を再び蔑視して法的救済を妨げ、司法判断を無視しています。人権を侵害して真実を破壊する目的で活動する者たちを煽り、増長させ、正義を目ざして歩む勇気ある女性の歴史を記憶しようとする全世界の市民たちの平和碑の建立活動を稚拙な方法で脅し、露骨に妨害しています。

 帝国主義と軍国主義の亡霊を復活させる再武装化に本格始動をかけ、旭日旗をなびかす自衛隊軍艦の留まることない行動は、韓半島の喉元まで迫ってきました。これは世界人権宣言の根本精神を揺るがし、汚し、否定する行為です。

 



 これに積極対応して被害者たちの権利と自由を保護すべき韓国は加害国にすがり、媚びへつらい、懇願し、人権を取引き材料にしています。

「法律」を叫んで国民を脅しつけて統制し、問題が生じたら知らぬ顔で責任回避、責任転嫁に汲々としています。史上類を見ない大規模10.29惨事(梨泰院惨事)にも誠意ある謝罪と責任をとるどころか、否認、尻尾切り、ネガティブキャンペーン、国民分裂などの小細工ばかりに没頭しています。

メディア、労働、政治、経済、治安などすべての分野で民主主義と人権が退行し、韓半島の平和は風前の灯火同然です。差別禁止法制定は期待できず、女性家族部は廃止の岐路にあり、極右歴史否定勢力から日本軍「慰安婦」被害者たちの人権を保護するための法改正案は上程すらできません。

 


 実に惨澹たる有様です。

 


 しかし私たちは再度決意を固めます。

 


 「すべての人間は生まれながらにして自由であり、且つ尊厳と権利について平等である」と明示された世界人権宣言文の1条が単純な象徴宣言にならないために努力します。日帝強占期と軍部独裁体制を終息させるため、私たちの先達・先輩が懸命に闘って培った人権と民主主義の大切さを忘れません。自らの尊厳を守るために勇気をもって立ち上がった被害生存者たちの叫びと行動を記憶し、真実と正義の原則で日本軍性奴隷制問題解決のために再度力強く前進することを確認します。

 


2022127

正義記憶連帯 理事長 李娜榮(イ・ナヨン)



(訳 権龍夫)