イ・ソヒョン記者  (法律ドットコム2022.12.24)

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ソウル 西部地方法院




23カ月目で本人尋問...吉元玉ハルモニの寄付の意志の質問には「ハルモニ本人の決定尊重」


 

 

 補助金不正受領等の疑いで裁判中の尹美香議員が23カ月目にして検察及び弁護士による尋問を受け、「吉元玉ハルモニの寄付の意志は明らかだった」とし、自身も30年間、挺対協及び正義連の役職員として受け取った印税や講演料、賞金などを寄付したことを明らかにした。




 ソウル西部地方裁判所刑事合議11部(部長判事ムン・ビョンチャン)で23日、尹美香議員ら日本軍性奴隷制問題解決正義記憶連帯(正義連)に対する第25回公判が開かれた。



 この日の公判では、尹美香議員が法廷で陳述する機会が与えられた。 



 検察の横領容疑の主張とは異なり、尹美香議員は韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協)常任代表及び正義記憶連帯理事長を務める過程で横領をする理由がなかったことを明らかにした。 



 尹議員の陳述によると、1992年に挺対協幹事として日本軍性奴隷制問題解決運動を開始した。月給は30万ウォン(約3万円)だった。1998年に挺対協の事務局長として退職する際の月給は70万ウォン(約7万円)だった。 


 尹議員は2002年に挺対協共同代表団の提案を受けて挺対協の事務処長として復帰し、月200万ウォン(約20万円)を受け取った。2007年に常任代表になって230万ウォン、2020年の退職時には月300万ウォンを受け取っていた。


 尹議員は「挺対協の常勤事務局長として70万ウォンを受け取っていた時にも、金額が少ないとは思わなかった。他の実行委員たちはボランティアだったし、私もボランティアの代表団から幹事として給与もらっていたため」だとし、「給与は多くなくても、誠実に働こうと努力した」と述べた。


 時間外手当、休日勤務手当及び一般の企業で代表に支給される活動費や対外協力費など公務に必要な経費を受け取ることはあったのかという弁護人の質問には「代表も、事務処長も、幹事も、別途の給与項目を追加して渡すことはできなかった」とし、「市民団体なので初めから運動をおこなうという気持ちで働かなければならないと考えて働いた」と強調した。


 尹美香議員が挺対協常任代表在職当時、常任代表の月給引き上げについて議論されたことがあったが、尹議員が固持した事実も確認された。


 尹議員は「私がいない場で実行理事会によって給与が決定され、代表者会議で予算を承認する際に決定されることになる」とし、「私の給与に対する引き上げの話が出たので拒否した。これを反映して実行理事会が決定した」と述べた。


 弁護人が「本人の給与決定時には決定の対象主体が抜けるということか」と尋ねると、尹議員は「そうだ」と答えた。


 尹議員は自身の本の印税や講演料、賞金なども挺対協だけでなく、草の根市民団体などに寄付したと陳述した。


 2015年に義巖朱介(ウィアムジュノンゲ)賞を受賞した時、尹議員は賞金1千万ウォン(約100万円)を挺対協と他の市民団体に分けて寄付したと述べ、「賞金は私の活動を評価して与えられたものだが、『慰安婦』問題の解決だけでなく、公益活動に対する評価だと考えて、賞金をもらうわけにはいかないと思い、全額寄付した」と述べた。李愚貞(イ・ウジョン)平和賞、ヌッポム(晩春、文益煥)統一賞で受け取った賞金も寄付したと付け加えた。


 検察は、尹議員の地方出張講演時に交通費、駐車料金などが挺対協の経常費から支出されたこと、事務所の職員7名に夏の休暇費として各20万ウォン(約2万円)が支給されたことを示して反論した。

 尹議員は「ガソリン代、交通費などは私費で出すこともあった」と述べた。

 

 尹議員は挺対協の予算計画にない特別事業をおこなう際、自身の個人口座を使って募金したことについては「緻密でない面はあったが適用に記載した」と強調した。また「募金額は目的に合わせて使われ、残ったものは挺対協の公的活動に全額支出した」と強調し、「むしろ私的な費用が公的な仕事に支出されることの方が多かった」と述べた。

 


「ハルモニに趣旨など伝えた上で意志を尊重して寄付を決定」 

 

 この日の公判で尹美香議員は、吉元玉ハルモニが自分の意志で寄付したと述べた。これまでの裁判過程で出た証人たちの陳述と一致する。


 尹議員は「吉元玉ハルモニは対話やインタビューによく応じていた。私たちと活動する時、主体的に決定し、お金の管理も本人が直接した」とし、「誰かの決定ではなく、本人の決定で活動した」と強調した。


 2017年、女性人権賞の賞金1億ウォン(約1千万円)のうち、吉元玉ハルモニが5千万ウォンを寄付したことについて、検察は「いつ、どのように吉ハルモニの寄付の意志を知ったのか」と質問した。


 尹議員は「賞金を受け取る前からハルモニは寄付の意志を明らかにしていた」と答えた。


 裁判所も同様の質問をした。尹議員は「ハルモニは1億ウォンを全額寄付すると言ったが、金福童ハルモニと相談した上で5千万ウォンを寄付することになった」と述べた。 さらに「平壌からいらっしゃった吉元玉ハルモニのために『吉元玉女性平和賞』をつくってその5千万ウォンを積み立てた。ベトナム平和活動家、性搾取被害女性の支援などをおこなった受賞者にハルモニが直接、賞金を手渡した」と強調した。受賞者の選定過程も吉ハルモニに説明したと尹議員は付け加えた。


 この他にも、吉元玉ハルモニが北に豆乳の機械を支援する団体、日本の地震被害者支援、在日の朝鮮学校支援などに寄付したことを指摘し、「積極的に自身の意志で(寄付)した」と述べた。


 ハルモニに寄付を提案したが拒絶されたこともあり、挺対協代表だった尹議員が世論がよくないことを伝えて懸念を示したにもかかわらずハルモニが意志を曲げずに寄付したこともあったことなども紹介された。


 背任の容疑を受けている安城(アンソン)ヒーリングセンターの売買についても、尹議員は「ソウル市内の全域をまわって敷地20数カ所を物色した」と述べた。10億ウォンという限られた金額でソウル市内に敷地を見つけることは難しく、外郭に目を向けることになったという立場だ。


 10億ウォンを指定寄付した現代重工業と、指定寄託業務を遂行した社会福祉共同募金会とも敷地について協議し、最終的な承認を受けて安城ヒーリングセンターを売買したと強調した。


 この日、2016年に検察が、挺対協の寄付金品法違反容疑について不起訴処分にしていた事実が再確認された。


 尹議員は「挺対協は後援会員を募集して、後援金を集めた。正義記憶財団は全国各地の個々人から団体まで含めて募金活動をおこなった。不特定多数に対し募金活動をおこなったので寄付金品の募集だった」と陳述した。つまり、正義連は始まり自体が2015日韓合意に反対して日本が(「慰安婦」被害者個々人に)支給するとした1億ウォンを受け取らなくてもいいように、国民が募金しようという趣旨で始まったので、結局、募金対象が全国民となり、寄付金品の募集をしたのだと説明した。




 次回第26回公判は202316日に開かれる。



※「寄付金品の募集」に関する補足

20009月の尹美香議員への起訴容疑の中に「寄付金品法違反」がある。


寄付金品法(寄付金品の募集及び使用に関する法律)とは、不特定多数から寄付を募る場合には行政に事前に登録(届け出)することを義務づけた法律だが、「法人、政党、社会団体、宗親会、親睦団体等が定款、規約または会則等に従って所属員から加入金、会費またはその構成員の共同利益のために集めた金品」は除外される。


挺対協はこの寄付金品法上の登録をせずに後援金を集め、正義記憶財団及び正義連は寄付金品法上の届け出をおこなって寄付を集めてた。


つまり、検察は挺対協が寄付金品法上の届け出をしていなかったことを問題にしているのだが、これについては2016年にも挺対協はじめ様々な市民団体に対して告発があり、取り調べの結果、検察自身が挺対協についても容疑なしで不起訴とした経緯がある。


つまり、挺対協は後援者の後援金で活動が維持されており、それは法に抵触しないと判断したのである。


ところが今回、自らが一度は不起訴とした容疑を復活させた形だ。


この日の公判で尹議員は、「挺対協は特定の後援者の後援金によって支えられていたから同登録の必要がなかった。正義記憶財団および正義連は、寄付金募集の対象が初めから全国民(不特定多数)だったため同登録をおこなった」と、両組織の違いについて明確にした。


      

(翻訳・補足 梁澄子)