オーマイニュース 2021.4.27 



[現場] 131団体、第2次損害賠償請求訴訟 却下決定

閔聖喆(ミン・ソンチョル)裁判所」'糾弾声明





▲日本軍「慰安婦」被害者の日本に対する損害賠償請求訴訟で、主権免除を理由に原告の訴えを却下した裁判所を糾弾する記者会見が27日午前、中間日本大使館前で「日本軍性的奴隷問題解決のための正義記憶連帯(正義連)」主催で開催された。参加者閔聖喆裁判長が世界人権史に「汚点」を残したとするパフォーマンスを行っている。

 


「131」

日本国に対する慰安婦被害者の損害賠償訴訟を却下したソウル中央地方裁判所第15民事部の閔聖喆裁判長を糾弾するために集まった団体数だ。正義連をはじめとしてナムヌの家、全国女性連帯、韓国天主教男性修道会連合会、全国教職員労働組合、アメリカとカナダ、オーストラリアなどで活動する海外12団体も名前を連ねた。

 



判決後わずか数日で集まった数字だ。韓京姫(ハン・ギョンヒ)正義連事務総長は27日、ソウルの「平和の少女像」前で開催された記者会見で、「閔聖喆裁判長が被害者の人権を冷遇した。司法府の存在理由が問われる判決を下した。歴史上最悪の判決を下した裁判長を糾弾するために多くの市民が集まった」と説明した。

 



421日午前、ソウル中央地方裁判所第15民事部(部長判事・閔聖喆)は、日本軍性奴隷制被害者の日本に対する損害賠償訴訟で原告の請求を却下し、訴訟費用は原告が負担するとした。閔裁判長は判決文で、「外国の主権的行為に対し、損害賠償請求をするのは許されない」と述べた。

 






1.8判決では被害事実を判決文に詳細に列挙し、「2015韓日合意で、慰安婦被害者は損害賠償請求権の行使を韓国政府に委託していない」、「別途の委任や法令の規定なしに個人の権利を国家が処分できないので、原告の損害賠償請求権が最終的・不可逆的に解決したと断定できない」と明らかにした。 あわせて1.8判決では、「2015韓日合意は、慰安婦問題に関して国家間の政治的合意を宣言したに過ぎない」と結論づけている。



 

日本軍「慰安婦」被害者の日本国に対する損害賠償訴訟で、主権免除を理由に原告の訴えを却下した裁判長を糾弾する記者会見が27日午前、駐韓日本大使館前で正義連主催で開かれた。参加者が閔聖喆裁判長が世界人権歴史に「汚点」を残したと判決文に墨を塗るパフォーマンスを行った。

 



「日本政府の主張と何が違うのか」

 


この日の記者会見で発言に立ったキム・ジョンス「平和をつくる女性会」常任代表は怒りに満ちた声で、「ハルモニたちの涙は誰が拭ってあげるのか」、「日本軍慰安婦被害者ハルモニたちが30年間にわたって日本に誤りを認めて謝罪せよと叫んできたが、裁判長はこれを聞き入れなかった。彼らは法律技術者でしかない」と批判した。

 


閔聖喆裁判長が引用した国際慣習法が何に基づくのかよく分からない。日本軍性奴隷制問題は戦時性暴力そのものであり、人道に反する犯罪であり、不処罰は許されないことが規範として明確に認定されるのが国際的流れだ。

 


閔聖喆裁判長は判決文で、国際司法裁判所(ICJ)がイタリア人強制労働に関する損害賠償裁判で、主権免除を主張するドイツ政府へ勝訴判決を下した判例に言及し、「裁判所が国際慣習法の一部を否定するのは難しい」と主張した。これは、第2次世界大戦当時ドイツの軍需工場で強制労働をさせられたイタリア人がドイツ政府を相手に起こした損害賠償訴訟で、イタリア大法院がドイツ政府の損害賠償を命じるや、国際司法裁判所は2012年に「主権免除」を主張するドイツ政府勝訴の判決を下した。(フェリーニ裁判)

 



これは日本政府が主張してきた「主権免除」と同じ内容だ。日本総理の菅義偉は201911月、官房長官当時、「慰安婦問題を含めて韓日間財産請求権問題は1965年日韓請求権協定で完全かつ最終的に解決された。慰安婦問題に対しては2015年日韓合意でも最終的で不可逆的解決を日韓両国が確認した」、「国際法上の主権免除によって、日本政府は韓国の裁判権に服することを認めてはならず、今回の訴訟は却下されるべきだ」とマスコミに発言した。



「裁判所は国際規範から勉強しなおせ」

 


この日キム・ジョンス常任代表は「戦時性暴力問題と関連して赦免と不処罰はすでに国連決議等を通して禁止されている。それが国際規範だ」、「大韓民国裁判所と閔聖喆裁判長は国際規範をあらためて勉強をしなおすべきだ」と指摘した。

 



キム常任代表の言葉通り、すでに国連では198511月、「犯罪と権力乱用被害者のための正義の基本原則宣言」を採択している。これを通じて基本的な人権と自由に重大な侵害を受けた人は賠償を求める権利があるという法原則が樹立された。

 


これ以後、1996年国連人権委員会女性暴力問題クマラスワミ特別報告官と1998年国連人権委員会ゲイ・マクドゥーガル特別報告官の報告書では、「日本軍慰安所運営は奴隷制度および奴隷取引き行為であり、戦争犯罪である強姦だけでなく、人道主義に反する犯罪」と規定された。

 

 

1.8判決で裁判所はこの国際規範を認めて、「日本帝国によって計画的、組織的に広範囲に強行された反人道的犯罪行為として国際慣習規範に違反したものであり、当時日本帝国によって不法占領中であった韓半島内で大韓民国国民などに対し強行された。たとえそのような行為が国家の主権的行為だったとしても主権免除を適用できない」と明らかにした。一言でいうなら日本軍「慰安婦」強制動員は国際法上の強行規範に違反したので日本国も裁判結果を受け入れるべきだという意味だ。


 

日本軍「慰安婦」被害者の日本国に対する損害賠償訴訟で主権免除を理由に原告の訴えを却下した裁判所を糾弾する記者会見が27日午前、駐韓日本大使館前で正義連主催によって開かれた。

 


一方、この日少女像前に集まった131の団体会員は記者会見後、「閔聖喆裁判長」と書かれた衣装を着てその判決文に「墨」を塗るパフォーマンスをみせた。



この判決文には改めて「裁判所が被害者の尊厳と人権を無視して主権免除と2015韓日合意を口実に加害国側に立って原告の訴えを却下した」と書かれた。正義連などの諸団体は「近日中に控訴する」と明らかにした。

 (訳 方清子)


<原文>

http://www.ohmynews.com/NWS_Web/View/at_pg.aspx?CNTN_CD=A0002738883