東近江市議会議長 市木徹 様




「元慰安婦等による日本政府に対する損害賠償請求訴訟に関する韓国ソウル中央地方裁判所の判決に対し断固たる措置を求める意見書」可決に抗議します!





私たちは、3 月15 日に東近江市議会本会議に標記の意見書が提出されたことを知り、内容や提案理由のあまりの無責任さに大変驚き、そのようなものを採択されないようにという「要請書」を、すでに3 月17 日に送付しています。




その後、東近江市や滋賀県内に止まらず、この「意見書」への関心は広く市民の間で高まり、多数の抗議の声が寄せられたにも関わらず、3 月25 日、恥ずかしげもなくこの「意見書」を可決されました。長年、各国の被害者たちとともに日本軍「慰安婦」問題の解決を求め続けている私たちは、大きな怒りを禁じ得ず、抗議いたします。




重ねて述べます。

日本軍「慰安婦」問題は、日本が女性の人権に対して重大な侵害を行った問題です。日本政府も1993 年の河野談話で、「長期に、広範な地域で慰安所が設置され、数多くの慰安婦が存在した」「慰安所での生活は強制的な状況で痛ましいものだった」と認めており、「慰安婦」問題の歴史を歪曲し、なかったことにするために策動を続けた安倍前政権でさえ、2014 年に「継承する」という検証結果を出しているものなのです。

しかし、「意見書」にはこの問題は「戦後に生み出された『従軍慰安婦』という言葉をもとに作り上げられた政治問題」等と書かれています。それは、河野談話を継承する日本政府の認識とも違うし、そう述べられる根拠も一切示されていません。誤った認識に基づき、そのうえ女性の人権を一顧だにしないこの「意見書」は、どこにも出す価値のない、恥ずべきものだと私たちは断言します。そのようなものに賛成し、議会の歴史に大きな汚点を残した議員の責任は、厳しく追及されるべきものです。




さらに付け加えるなら、日本軍「慰安婦」問題は、今なお被害者の権利に重大な影響を及ぼし続けている深刻な人権問題なのです。このような「意見書」が出されること自体が、今も被害者を再び傷つける人権侵害行為だとお気づきでしょうか。1 月8 日のソウル中央地裁の判決は、被害者自らが尊厳回復のために闘った結果です。9 カ国410 名もの法律専門家も共同声明を発表して、「国際法の未来を切り開く歴史的な判決」と賞賛しています。それを「常軌を逸したもの」等と言葉を極めて非難しているのは、日本政府と滋賀県議会と東近江市議会です。世界の流れは「国益よりも人権」へと変わっていっていることを、まず知るべきです。人権侵害のこの「意見書」は、直ちに撤回されるべきです。




現在、日本軍「慰安婦」問題の解決と、平和が実現され戦時下の性暴力で苦しむ人がいなくなるようにという願いが込められた少女像や碑が、世界各地で増え続けています。




日本政府はこうした動きに対して、建てさせないことを外交方針にし、執拗な妨害活動を重ねています。しかし、ドイツのベルリン市ミッテ区議会は、区の許可を得た市民たちが昨年9 月に公有地に建てた少女像を、「像は日韓問題の次元を超え、軍事紛争と女性に対する暴力という根源的な問題を表現している」と認め、永久設置を実質的に決めました。ドイツ東部にあるドレスデン国立博物館は、ナチスのユダヤ人虐殺等とともに日本軍「慰安婦」被害も含めた「言葉にできない-大きな声の沈黙」という企画展を、会場の内外に少女像を1 体ずつ展示しながら、現在行っています。これが世界の現実なのです。




3 月25 日の本会議で、「この問題を、世界に羽ばたくかもしれない子や孫の世代に背負わせたくない」と「意見書」賛成の意見を述べた議員がおられましたが、もし本心でそう願っておられるのなら、「慰安婦」被害者の声や、「被害者中心アプローチ」での早急な解決を求めている国連の人権促進のための諸委員会からの日本政府への勧告にこそ、耳を傾けるべきです。国際社会の声を無視し続けている日本政府の意見を丸写ししてきて垂れ流す等、決してあってはなりません。




東近江市議会で「意見書」に賛成された議員のみなさん!



日本政府が「最終的かつ不可逆的に解決済み」を振りかざし続ける限り、世界の人々の日本軍「慰安婦」問題解決を求める声は大きくなっていくのです。



日本政府に「被害者中心アプローチ」で解決するように求める「意見書」こそ、可決すべきです。




今回の恥ずべき「意見書」は早急に撤回されますよう、強く抗議いたします。


2021 年4 月29 日

日本軍「慰安婦」問題解決全国行動

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HP:http://restoringhonor1000.info

日本軍「慰安婦」問題・関西ネットワーク

E-mail:info@ianfu-kansai-net.org

HP:http://www.ianfu-kansai-net.org