日本軍「慰安婦」被害者の願いを無視し、

「被害者中心主義」の流れを後退させた421判決を糾弾する!

 



421日、日本政府を訴えた日本軍「慰安婦」被害者と遺族による第二次訴訟において、韓国・ソウル中央地裁が18日の第一次訴訟とは真逆の判決を下したことに、私たちは失望と怒りを押さえることができない。



どちらの判決でも、日本政府を韓国の裁判所では裁けないという「主権免除」の壁を超えられるのかどうかが争点となった。18日の第一次訴訟判決は、「慰安婦」問題を人道に反する重大な人権侵害事件と認定し、被害者が最終的手段として選択した民事訴訟にまで慣習国際法上の規則である「主権免除」を適用することは裁判を受ける権利を保障した韓国憲法および国際人権規範に符合しないとして、人権救済を優先する「人権例外」を認めて原告に勝利をもたらした。国際人権法上の「被害者中心主義」を積極的に反映した歴史的判決だ。

 



これに対して今回の第二次訴訟判決は、「現在の慣習国際法とこれに関する最高裁判所の判例によって」と主権免除を適用し、その結果、日本政府の責任を問うという訴訟そのものが成立しなくなり、原告の訴えを「却下」した。「慰安婦」被害者の尊厳回復に一切言及せず、「韓国の外交政策と国益に潜在的影響を及ぼす事案」として国益を優先させ、「人権の最後の砦」としての責務を放棄した司法の責任は大きい。「慰安婦」問題の解決を後退させる最悪の判決である。



 さらに、第二次訴訟判決で「日韓合意」(201512月)を「女性らへの救済手段として今も有効」であると指摘したが、これを断じて受け入れることはできない。第一次訴訟判決では「日韓請求権協定と日韓合意は、被害を受けた個人に対する賠償を包括できない」としており、真っ向から対立する判断だ。合意の検討を行った文在寅政権は、「慰安婦問題の真の解決にはなり得ない」という政府方針を発表している。国連人権委員会も声明「日韓合意は重大な人権侵害に関する国家責任の基準に合致していない」(2016.3.11)を出し、様々な国連人権機関も「合意」の問題点を指摘していることを無視してはいけない。



また、判決は韓国政府に「追加的な外交交渉を円滑に行う」ことを求めているが、まず司法自らが人権を中心とする新しい国際法の流れの歴史に一歩を印す判決を出し、政府が毅然として被害者中心主義で問題解決を実行できるようにその役割を果たすべきであった。日本政府は「慰安婦」問題の歴史を歪曲し、「最終的かつ不可逆的に解決した」と強硬に主張し続け、ベルリン・ミッテ区で見られたように外交方針として少女像設置妨害にやっきになっている。第一次訴訟判決に激しく反発した日本政府をとりなすかのような判決は、到底受け入れられるものではない。

 



私たちは、第一次訴訟判決が切り拓いた「主権免除の人権例外」の流れを強く支持する。これまで不可視化され不処罰のまま放置されてきた、紛争下で国家による性暴力被害を受けた少女や女性が勇気と希望を手にする日が早く来ることを願う。9ヵ国410人の法律専門家も第一次訴訟判決後、共同宣言「国際法の未来を切り開く歴史的な判決」を出した。国際秩序の流れは国家から人間へと変化しつつあるし、止められないのだ。

 

私たちは、日本軍「慰安婦」問題解決の当事者である日本政府が歴史を否定する恥ずべき行為を直ちに中止し、被害者に対して不法行為の責任を前提とした謝罪と賠償手続きを直ちに履行するよう求める。

 

韓国では、名乗り出た240名の日本軍「慰安婦」被害者のうち、生存者は15名となった。今回の裁判の原告で、生存被害者は4名である。多くの被害者が積み重ねてきた30年におよぶ訴えと努力が一日も早く実現するよう、私たちはあきらめることなく前に進む。

 

2021428

 

日本軍「慰安婦」問題解決全国行動