青い空と気持ちのよい風を感じることができない人々が同じ空の下にいます。
安らかなベッド、きれいな水、暖かい食べ物が想像の中にだけに存在する人々がいます。
親切な応対、親しみのこもったふれあい、尊重と尊厳が何であるのか、可能であるかどうか推し量ることさえ難しい人々が私たちのそばにいます。 

 







来る619日は「紛争における性的暴力根絶のための国際デー」です。


2008年、国連は性暴力を戦争の道具として使用することを禁止する国連安保理決議案1820号を採択して、2015年にこの日を記念して、紛争下の性暴力根絶の日を宣布しました。






性暴力が真の平和構築のための障害物であることを直視し、全世界の性暴力被害者と生存者を賛えて、性暴力を終息させるために勇敢にも命を捧げ、命を絶ったすべての人々に敬意を表わすために制定されました。

 




「紛争関連性暴力(conflict-related sexual violence)」とは紛争と直接・間接的に関連した強かん、性奴隷、強制性売春、強制妊娠、強制堕胎、強制不妊、強制結婚および女性、男性、少女と少年に加えられるその他のすべての形態の性暴力を意味します。

性暴力や搾取を目的に紛争下で行われた人身売買も含みます。




風の前の灯のように、生存の脅威の中で恐怖と文化的烙印が加わり、被害者は申告さえできません。

沈黙させられ、記録されず、実状把握が難しいのです。

やっとの思いであげた声まで黙殺され、なかったことのように無視されて消えるのが常です。




日本軍性的奴隷制の歴史もそのように埋められてきました。

その重いカーテンを突き抜けて1991814日、金学順被害生存者の勇気ある公開証言がありました。

以後、全世界の生存者が立ち上がり、1992年黄錦周の国連人権小委員会証言、1993年金福童のウィーン世界人権大会証言が続きました。

国際社会は初めて日本軍性奴隷制をはじめとする戦時性暴力問題に目覚め、加害者の責任を問い始めました。

真実と正義のための被害生存者らと活動家の努力のおかげで国際社会の各種決議案と勧告案採択が続き、世界の戦時性暴力追放の日も制定されました。



それでも世界のいたるところで、武力紛争と葛藤は絶えまなく続いて、女性と児童、市民に対する暴力も強行されています。真実、正義、賠償、再発防止という被害者の権利が保障されておらず、加害者不処罰の慣行は相変わらず私たちの社会に残されています。

最も基本的な日常の安全さえ保証されない人々が私たちの周辺に限りなく存在しています。




 

30年余りもの間、あきらめないで叫び続けた日本軍性奴隷制生存者の名誉回復も遅れています。

犯罪事実認定と心のこもった謝罪どころか、一進一退、約束に背いて居直り、被害者を非難して歴史を歪曲する加害者、あたかも植民地の人間に対するように傲慢な姿勢で一貫し、反韓感情助長を通じて政権維持を試みる加害者、自国の戦争犯罪を隠すために国際社会で女性の人権と平和を叫ぶ厚かましい加害者、まさにその加害者のために被害者は再び苦痛受けています。




 

それでも正義連は揺らぐことなく戦時性暴力のおぞましい実状を知らせ、問題解決のための国際人権基準樹立と再発防止のための努力を全世界に促してきました。

「再び私たちのような被害者が生まれてはいけない」という日本軍性奴隷制被害者の叫びを継承しようと、コンゴ、ウガンダ、コソボ、ベトナム、パレスチナの被害生存者らと手を結びあってきました。

戦争ない平和な世の中、少数者と弱者の権利が無視されない世の中、女性の人権が尊重される世の中を願い、連帯してきました。

行くべき道が遠くとも全世界の市民がさらに多く、ともにしてくださることを信じます。



最後に、蔑視と排除、差別と暴力、死の脅威と恐怖に震えて天国に旅立ったすべての被害者のご冥福を祈ります。


その無慈悲な闇の泥沼を渡って生存されたすべての方々に敬意を表します。



 

2021616


正義記憶連帯 理事長 李娜榮(イ・ナヨン)


(訳:方清子)