本日、619日は「紛争下の性暴力根絶のための国際デー」だが、ウクライナをはじめ世界各地の紛争地で性暴力被害は続いており、日本のようにかつての戦争における日本軍の性暴力が未解決のままの国もある。

 それどころか日本では、「慰安婦」制度をなかったことにしたい日本政府や歴史修正主義の勢いは増すばかりで、事態は一層深刻になってきた。 

 



5月に訪日したベルリン市長が上川外務大臣との会談で、ベルリンに設置された平和の少女像の撤去を示唆したとして抗議の声があがった。ベルリン・ミッテ区と友好提携を結んでいる東京・新宿区では、この夏、区議たちがベルリンへ派遣される時の少女像問題についての議論が巻き起こっている。




 こうした中で、皇国史観に立つ令和書籍の中学歴史教科書が文科省の検定に合格するという驚くべきことが起こった。「『慰安婦』の強制連行の証拠はない」「女性たちは報酬を得ていた」といった虚偽情報が満載の教科書である。これについては後ほど、詳しい報告があります。



 しかし、「慰安婦」をめぐるこの1カ月余りを振り返ると、このような暗いニュースばかりではなく、「慰安婦」被害者の証言を読んだり映像記録を聴いて、その証言を語り継いでいこうとする若い世代の熱心な取り組みも、各地で行われてきた。高齢となった「慰安婦」被害者の訃報が相次ぎ、生存者がわずかになってきた現在、記録と記憶の継承運動はなくてはならないものになっている。



「希望のタネ基金」の若者たちは5月まで、台湾の被害者の証言の継承を行ってきたが、6月からは中国山西省の性暴力被害者の証言に取り組む計画を立てている。「山西省・明らかにする会」では若者たちとのワークショップや試写会に参加して、全面的に取り組んでいくことになる。



 一方で、韓国の金福童さんの記録映画や、在日朝鮮人・宋神道さんを描いた映画『オレの心は負けてない』が各地で上映されているのも、心強い動きである。615日には横浜で、日本人「慰安婦」だった城田すず子さんを描いた一人芝居『マリアの賛歌~石の叫び』の公演があった。私も駆け付けたところ、この素晴らしい演劇に満席の会場は大いに盛り上がった。今日の水曜行動には、この一人芝居を制作した劇作家のくるみざわしんさんが参加されて、後半ではお話をしてくださるので、実に楽しみです。ぜひ、お聴きください。



この水曜行動では、毎月誰かの訃報を報告してきたが、今日は530日に94歳で亡くなったアルゼンチンのノラ・コルティーニャスさんのことを話したい。軍事政権下で息子を失ったノラさんは、「五月広場の母たち」の一人として行動する人権活動家だった。覚えている方も多いと思うが、201810月には日本にやってきて、各地で講演をされた。1017日の水曜行動には参加してスピーチを行い、私たちと交流してくれた。すでに80代後半という高齢だったにもかかわらず実にお元気で、生き生きとした表情が忘れられない。その訃報に接して心から追悼の意を表するとともに、ノラさんが語ってくれた思いと軍事政権との闘いについては、私たちも忘れることなく語り継いでいきたいと思う。