〈報告〉戦時性暴力問題連絡協議会 第77回水曜行動in新宿 令和書籍の教科書、絶対に生徒に渡せません!
戦争中に逆戻りしたような皇国史観、「慰安婦」記述もウソばかり、
令和書籍の教科書は絶対に生徒に渡せません!
■ 1,初めて合格した令和書籍の教科書はどんな内容?
(令和書籍が市販した『検定不合格』本=第5版を持参し、表紙の「検定5か年」、「ほぼ合格の完結版」「あと少し」などを紹介し)苦節7年の必死さがにじみ出ているが、執筆陣に研究者が1人もいない当然の結果である。研究成果に基くべき教科書として、検定を通ったこと自体が不可解です。竹田恒泰氏は明治天皇の玄孫とか。作家で、代表作は『日本はなぜ世界でいちばん人気があるのか』という。
次に、合格本の表紙を拡大カラーで紹介し、いかにも日本的なデザインと書名「国史教科書」を確認。
「国史」は戦前・戦中の教科書名で、戦後すぐ廃止された用語です。他の教科書は、『日本の歩みと世界の動き』、『中学歴史未来をひらく』、『ともに学ぶ人間の歴史』とか、世界と日本を考え、過去から学んで未来をひらこうという若い人にマッチしています。
令和教科書は神話から始まり、実在ではない神武天皇が初代天皇として即位し建国、126代が現天皇と系図も記載、2月11日は「建国記念日」で、今も残滓が残る? 皇国史観は1930年代から猛勢を極め「天皇は現人神として…」戦争に突入、敗戦。
しかし、これが当時、強制され教育され、世に浸透していたことは、敗戦後すぐ、昭和天皇が「人間宣言」したことでも証明されます。宣言の中で、天皇は「天皇を神とし、また日本国民は他より優れた民族だとして世界の支配者となる運命があるかのような」(皇国史観を)「架空の観念」であると否定したのです。
しかし、最近、教育勅語の容認などあやしい気配です。昔に戻そうという教科書は絶対に容認できません。
■2,「慰安婦」問題はどう記述されているか?
スペースの都合でチラシに書けなかった点は、請求権協定で解決済みなのに韓国は蒸し返している。また、世界に宣伝され、韓国から賠償を請求されるのは吉田清治の嘘と朝日新聞のせいであるの2点。
これらも間違い・ウソである。
■3,それらがウソだという証拠は何ですか
チラシ以外に話したことは、
①については、強制連行の定義についてで、実態調査に基づいてまとめられている「河野談話」が一番真っ当だと思う。
つまり、甘言・詐欺による連行であれ、暴力的強制連行であれ、本人の意思に反していることが本質的な定義であることを示していると説明。
③は、チラシと同じ
(チラシはhttps://www.restoringhonor1000.info/2024/06/77in2024619_27.html)
②は、朝鮮人女性は、自由意思で「慰安婦」になり金儲けのために働いていたのだから「性奴隷ではない」、「日本政府の責任はない」と言いたいのが本音だろう。
それには、右派が担ぐ、ラムザイヤーの論文を紹介して反論した。
簡単に言うと「慰安婦」は業者と契約して働いていたという内容だが、日本の研究者も、特に批判しているのは、契約書一枚も資料として提示されていないことです。
(吉見義明:『世界』2021年5月号。参照。ネットにもありました。https://kawausokc.blog.ss-blog.jp/2021-06-02)
その後、ハンギョレ 登録:2021-02-27 「慰安婦論文書いたハーバード大教授、根拠の朝鮮人契約書を見ていないと認めた」という。これで完璧ですね! https://japan.hani.co.kr/arti/international/39261.html
朝鮮の女性は、多くは騙されて連行され、直接海外の慰安所に配属されてしまったので、契約など交わす余裕もなかったし、日本軍にとってはその必要もなかったと思います。
以上の結論として3点にまとめられます。
■,日本国憲法に反し、歴史的事実に反する嘘を教える教科書は決して採択されてはならない。
■,この教科書を検定合格させた文科省は令和書籍以上に批判されるべきである。なぜ、合格させたのか? 「慰安婦」問題に関していえば、政府(文科省含め)自体が令和書籍と同じ事実認定であるからだ。(外交青書)
以下は、トークでは触れなかったが、補足として記す。
「外交青書」2020年~2023年〈慰安婦問題についての日本の取組〉「このような日本政府の真摯な取組にもかかわらず、「強制連行」や「性奴隷」といった表現のほか、慰安婦の数を「20万人」又は「数十万人」と表現するなど、史実に基づくとは言いがたい主張も見られる。」(2017年から同様な表現)。
■,この教科書を検定合格させるということは、「慰安婦」制度の被害者の「魂を汚す」二次加害であり、断じて許されない!
トークでは、以下を簡単に説明し、最後の一句を紹介しました。
高校教科書記述の「未成年の少女を強制的に慰安婦とした」を批判した板垣正を金相喜(キム・サンヒ)さんが「私が生き証人だ」と言って、抗議の面会をした時の記事(一部)、最後の言葉を紹介します。その場には私も同席していました。
(以下は、朝日新聞1996・6・5 の一部より
金さん:「兵隊と一緒に前線を回った。
板垣:「おカネの支払いは?」
金さん:「一切ない。あなたは生死をさまよう前線には行っていないだろう。私には体中に傷がある。」
板垣:「その8年間に一銭ももらわなかったの」
金さん:「生死の境を乗り越えた者に、本当か、本当じゃないという話をどうしてするのか。かつて戦場で私の体を汚し、50年たって、今度は、私の魂まで汚すのか! 断じてない!」
以上