〈報告〉戦時性暴力問題連絡協議会 第77回水曜行動in新宿(2024.6.19)
猛暑の中、コンクリートからの照り返しにも耐えて、約1時間、充実したアピール行動を行いました。チラシは200枚を配布。
以下、発言順に紹介しますが、詳しくは添付のリーフ書面をご覧ください。
1. 月間報告 池田恵理子さん。
6月19日は「紛争下の性暴力根絶のための国際デー」だが、ウクライナをはじめ世界各地の紛争地で性暴力被害は続いており、日本では戦争における日本軍の性暴力が未解決のまま。それどころか日本では、「慰安婦」制度をなかったことにしたい日本政府や歴史修正主義の勢いは増すばかりで、事態は一層深刻になってきている。
他方、被害当事者が高齢となる中、若い世代へのバトンも着実に手渡していること、また金福童さんの記録映画や宋神道さんの「オレの心は負けてない」の上映会も行われていること、さらに日本人「慰安婦」の城田すず子さんを描いた一人芝居『マリアの賛歌~石の叫び』が上演されたことも大きな意義であった。
(報告の詳細は、https://www.restoringhonor1000.info/2024/06/77in2024619_9.html)
2. 「サバイバーを記憶する」 梁澄子さん
~安点順(アン・ジョムスン)さんのこと~
吉見義明さんと一緒に聞き取りをした経験を語りました。
アンさんは、1993年に被害者登録をしたときの記載では「人間忌避症」とされていたこと、「慰安所」の生活について「獣の生活」という表現をしたこと、支援者の方々と交流を深める中で人権活動家となり変わっていったことを話しました。
水原市家族女性会館1階に設けられた追悼空間「安点順、記憶の部屋」では、安さんの生涯を記憶するとともに、人権活動家として活動した安さんの姿を収めた映像や写真などが展示されている。
是非、行ってみてください。
(安点順さんについて詳細はhttps://www.restoringhonor1000.info/2024/06/77in2024619.html)
3. 「皇国史観の令和書籍教科書を採択させてはならない」
①日本国憲法に反し、事実に反する嘘を教える教科書は教科書ではない。②この教科書を検定合格させた文科省は令和書籍以上に批判されるべきである。
なぜ、合格させたのか。
それは「慰安婦」問題に関していえば、政府(文科省含め)自体が令和書籍と同じ穴のムジナであるからだ。(参照「外交青書」)
③このウソの事実認識を政府が合格させるということは、被害者の「魂」を汚すことである。「慰安婦」制度の全被害者への二次加害であり、断じて許されない!と、金相喜さんの怒りの発言を紹介しました。
●最下段の添付リーフを参照。
報告の詳細はhttps://www.restoringhonor1000.info/2024/06/77in.html
4.一人芝居『マリアの賛歌~石の叫び』 くるみざわしん さん
最後に特別発言として、一人芝居『マリアの賛歌~石の叫び』の劇作家・くるみざわしん さんが発言。精神科医でもある。
90年代の初めに金学順さんの告発があり、「慰安婦」問題が世の中に知られるようになり、これから日本も戦争加害の過去と向き合い、アジアの国々と新しい関係を作ると思っていたのに、安倍氏ら政治家の圧力によって、その流れがねじ曲げられてしまった。このままではいけない。芸能界や学校、病院での性加害が明らかになってきている。「慰安婦」問題は国と軍隊が戦争のために行った性加害。これも明らかにしていかないといけない。
性は個人にとって大切な領域なのだから、国が勝手に入り込んではいけない。なのに戦争を理由に入り込んで、一人ひとりの性を国の持ち物のように扱う。「慰安婦」問題ではそれがおきている。被害者が泣き寝入りするのを見越して、制度が作られている。泣き寝入りしないですむ社会を作るために、「慰安婦」問題を知る必要がある。私たちの力で、この社会をかえたい。泣き寝入りしない社会をつくりたい。
『あの少女の隣に』というお芝居は、日本にはまだない「平和の少女像」をどうやったら作れるのかを考えて書いたお芝居(8月3日、8月31日ギャラリー古藤)。
『あの瞳に透かされる』は、ニコンが主催する写真展が排外主義者の抗議を恐れて中止になった事件を元にしたお芝居(9月4日~8日、シアターグリーン)。
是非、観に行ってください!
次回は次は、7月17日(水)です。暑さ対策をしてご参加下さい。
(報告 木瀬慶子)
●配布したリーフ
●リーフの内容●
今年3 月に文科省の検定に合格した教科書が発表され、社会(歴史)9 冊のうち令和書籍の『国史教科書』が大きな批判を浴びています。
■『国史教科書』とは、どんな教科書でしょうか?
令和書籍が市販した本を読むと、こんな裏話が載っています。ぜひ教科書を作りたいと竹田恒泰氏(社長)は大学生4 人と執筆に取り組んだが、4 回も検定に不合格になった。1、2 回は門前払い、3 回目は605 項目の欠陥場所を指摘され、…そして、教科書の特徴を「日本人による日本人のための教科書」として戦前の『国史』を模範に『国史教科書』と名付けた。権力者は途絶えるが、神話時代から万世一系(一つの血筋)で続いてきた朝廷(天皇)を中心に日本の歴史を語るべきである(皇国史観)。先の大戦も、我々は「勝ち目があった戦争と評価する」始末で学問無視もいいところです。
これは、もう天皇は現人神、国民は天皇に絶対服従の臣下、神国日本はアジアの盟主として侵略戦争を始め、死者は日本人310 万人、アジア他では2000万人ともいう大惨事を起こして敗戦。戦後、その思想を完全否定し反省して、日本国憲法を発布し、国民主権、個人(人権)尊重、平和主義、男女平等の民主主義国家になったのですね。それを昔に戻そうという教科書です。
■では、「慰安婦」問題はどのように書かれているでしょうか?
コラム「蒸し返された韓国の請求権」の中で、「①日本軍が朝鮮の女性を強制連行した事実はなく、また、②彼女らは報酬をもらって働いていました。また、日本軍が彼女らを③「従軍」させ戦場を連れまわした事実はありません。(これ以外にも反論すべき内容がありますが、字数のため略します)これらはすべて、事実に反する主張です。若い世代にウソを教える教科書です!
■それらがウソだという証拠は何でしょうか?
①は、朝鮮半島の多くの被害者は「いい仕事がある」などとだまされたり、中には暴力で連行された人もいます。日本政府自身が1 年半調査した結果をまとめた「河野談話」も「甘言、強圧(暴力)によって本人の意思に反して慰安所に集められた事例が数多くあり、警察も加担し(強制し)た例もあった」と意思に反した強制連行を事実と認めています。
③が事実でないことは宋神道さんの裁判の判決だけ見ても明らかです。「漢口から岳州、応山、長安、蒲圻…等の各慰安所に移された」と認定、文字通り戦場を連れ回されました。日本政府も調査報告の中で「慰安婦たちは戦地においては常時軍の管理下において軍と共に行動させられており、自由もない、痛ましい生活を強いられていた」と認めているのです。
②は、朝鮮人女性は“自由意思で「慰安婦」になって働き金儲けをした。奴隷ではない!” と研究書も証言集も読まず、勝手なウソを並べています。未成年も含む多数の被害者は、軍が性病防止等のため立案、設置、管理(業者に委託しても軍が管理)した軍の施設(慰安所)に連行され、拘束され、「連日のように朝から晩まで軍人の相手をさせられ、通過部隊がある時は特に数十人に達した」と判決で認定しています。想像して下さい! 拒否する自由はなく「性奴隷」そのものでした。お金を貰わなかったという証言も多く、たとえ貰っても甚大な人権侵害の中で、本質的な問題ではありません。
■私たちは、以上のような歴史否定の教科書に強く抗議するとともに、検定合格にした文科省に怒りを禁じ得ません。直ちに合格の撤回を要求します!!