11 月 23 日、ソウル高等裁判所は、日本軍「慰安婦」被害者と遺族 16 名による日本国に対する第二次損害賠償請求訴訟で一審の棄却判決を取り消し、1 人あたり約 2 億ウォン(約 2300 万円)を賠償するよう日本政府に命じた。



被害者らの訴えに真摯に耳を傾け、「人権の最後の砦」としての責務を果たしたソウル高等裁判所の判決を心から歓迎する。



これに対し、外務省は直ちに尹徳敏(ユン・ドンミン)駐日韓国大使に抗議、韓国政府に国際法違反を是正するために適切な措置を講じるよう求めた。さらに 11 月 26 日、日韓外相会談の席で上川陽子外務大臣は「極めて遺憾」と強く抗議した。



2021 年 4 月のソウル地裁判決は、焦点となっていた「国家は他国の裁判権に服さない」とする国際慣習法上の「主権免除」についてこれを適用し、原告の訴えを却下した。今回の判決は日本軍性奴隷制被害のような反人道的犯罪行為の場合、人間としての尊厳と価値、裁判請求権と普遍的人権尊重の原則を国家免責の抗弁よりも優先させるべきであるという明快な判断によって「主権免除」を適用せず、日本政府の行為を断罪した。



その上で、2015 年日韓合意を救済手段として今も有効とした一審判決とは異なり、被告日本政府が弁論しなかったため、日韓合意自体が本件の争点にはならないと明言した。



「主権免除」に対する国際法体系は個人の人権及び裁判請求権の保護を重視し、制限的免除へと変更、発展している。すでに 2021 年 1 月の日本軍「慰安婦」被害者らによる第一次訴訟でソウル中央地裁は「主権免除」を適用せず、原告勝訴判決が下され、確定している。その際、日本政府の国際法違反という非難に対して、国際法違反どころか発展しつつある国際慣習法に合致した未来を切り拓く優れた判決であるという各国専門家らによる評価の声も上がった。



原告をはじめ、殆どの被害者が亡くなられ、現在韓国の生存者は 9 名となった。解決を求めて立ち上がった被害者らの 33 年の歳月を思うとき、あまりにも遅すぎたと言わざるを得ない。日本政府はこれ以上歴史を否定し、二次加害を繰り返してはならない。



今回の判決は韓国のみならず、日本軍の戦争犯罪によって踏みにじられ、生涯にわたって苦しみを背負い続けたアジアをはじめ各地の被害者、同様に今なお世界の紛争地で侵略や戦時性暴力に苦しむ人々に勇気と希望を与えるものだ。



日本政府が判決を受け入れ、被害者と遺族に直ちに謝罪し、賠償するよう求める。


2023 年 11 月 27 日

日本軍「慰安婦」問題解決全国行動