ベルリン市長およびベルリン市ミッテ区長あての手紙 「平和の少女像」を撤去しないで下さい。ー私たちがこの碑を大切に思い、安定的な設置を求める理由
ベルリン市長 カイ・ヴェーグナー 様
ベルリン市ミッテ区長 シュテファニー・レムリンガー 様
日本では最近、ベルリン市ミッテ区モアビットに建立された「平和の少女像」について、ミッテ区が撤去を求める意向だと報道されています。
私たちは日本の市民として、この「平和の少女像」の撤去に反対します。私たちがこの碑を大切に思い、安定的な設置を求める理由は以下のとおりです。
1.「平和の少女像」は、日本軍の「慰安婦」にされた女性たちを記憶し、今も世界中で起きている戦争下、紛争下で性暴力の被害に遭っている女性たちを力づける碑だからです。
第2次大戦下で日本軍の性奴隷にされたサバイバーたちは、戦後半世紀を経て名乗り出て、戦時性暴力が撲滅されるべき戦争犯罪であり、被害者に癒しがたい打撃を与える行為であることを全世界に訴えました。
「二度と同じような被害が起きてはならない」
全身全霊でそう訴えて亡くなっていったサバイバーたちを記憶することは、戦時性暴力ひいてはあらゆる暴力を抑止する上で非常に重要です。そのような意味で、単に日本軍「「慰安婦」を記憶するだけではない、きわめて普遍的かつ現代的な意味を持つ碑なのです。
2.日本軍「「慰安婦」が性奴隷であったことを認めず、記憶することさえ許さない日本政府の姿勢は間違っています。
日本政府は、日本軍「「慰安婦」問題は「解決」しており、「慰安婦」は性奴隷ではなかった、強制連行はなかったと主張しています。しかし、真の解決は自らの加害の歴史を直視し、それを記憶・教育し、歴史の中で教訓を生かしていくことです。それは、ナチス・ドイツの過ちを反省し、繰り返し謝罪し、教育している貴国では熟知されていることだと思います。
私たちは、日本政府もドイツ政府のように、過去を直視して記憶・教育し、過去の過ちを繰り返さないための取り組みを積極的におこなうよう願っています。残念ながら、現在の日本政府の言動は、それとは真逆の、記憶することさえも許さない、自らの加害を歴史から抹消しようとするものです。そのために、平和を祈願する像がまるで日韓の対立を煽るものであるかのように喧伝しています。しかし、日韓の間に対立があるのだとしたら、それは自らの加害を率直に認めず、被害者を貶めるような言動を繰り返す日本政府が引き起こしている摩擦です。
平和を愛する私たち日本の市民は、このような日本政府の行動を危惧し、恥ずかしく思っています。
どうか今一度、サバイバーたちの壮絶な生と、切なる思いに心を寄せてください。この像が持つ多面的で深い意義を思い返してください。心からお願いします。
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