6月10日は610民主抗争36周年です。全国で野火のように起きた反独裁・民主化運動で、ついに全斗煥(チョン・ドゥファン)軍事独裁体制を終焉させた世界史的な市民革命です。 これにより大韓民国国民は大統領直選制と憲法改正、政権改革案を勝ち取ることができました。ようやく形式的な民主主義が始まりました。

 



 この過程で命をかけた数多くの民主熱士が亡くなったり、体と心に回復できない傷を負いました。 この場を借りて朴鍾哲(パク・ジョンチョル)、李韓烈(イ・ハンニョル)烈士をはじめ、逝去された民主烈士のご冥福をお祈りします。大韓民国民主主義の巨大な歩みを進めたすべての方々に深い感謝の気持ちを伝えます。

 



 しかし36年が過ぎた今日、私たちは歴史は前進するだけではないという真実を改めて実感しています。

民主主義は獲得すべき目標でなく、間断ない努力と闘争で「民主化へ進む過程」であると痛感しています。普遍性と人権が除外された「自由」が、選択的・便宜的にだけ使われる時、何が起こるか私たちは目撃しています。労働者を打倒すべき敵、マスコミを支配すべき対象、市民団体を権力の足かせにしました。 法の外皮を被った者たちが憲法を蹂躙し、恣意的な法の物差しで無辜の市民を暴徒や破廉恥犯に捏造しています。人が傷つき、生計を失い、監獄へ行き、死んで行きます。36年前と余りにも似ています。 屠殺される寸前の民主主義が悲鳴を上げています。

 



 それでも私たちは希望の松明を再び掲げ、前途を照らさなければなりません。 歴史を売り、韓半島の平和を揺るがし、ついに地球村のすべての生命を危機にさらす者たちが目の前に立っています。認定も反省もないアジア民衆の虐殺者、韓半島の不法強占と収奪、強制動員と労働搾取、日本軍性奴隷制と性搾取の加害者たちが意気揚々と前進しています。彼らと結託して自国民衆を弾圧し、苦労して築き上げた民主主義の歴史を根こそぎ奪おうとする者たちが私たちの息の根を止めようとしています。様子ばかりうかがって守勢的な態度では自滅を早めます。義人が現れて私たちを導いてくれるのを待ってはいけません。絶望と挫折、冷笑と嘲笑ではなく、自ら義人となって決然と立ち上がらなければなりません。 互いに手を取り合って、互いに頼り合って暗いトンネルを抜け、暗闇の茨の道を歩まなくてはなりません。

 



 日本軍による強姦、搾取、様々な暴力の際限がない時間、九死に一生を得て帰国した母国で受けた軽蔑と冷遇、その気の遠くなる歳月を克服し、自らの尊厳を回復するために先頭に立った日本軍性奴隷制被害者たちの勇気を記憶します。被害者たちの遺志を受け継ぎ、自由で民主的に人間らしく生きるために、平和と人権の価値をしっかりと守り、大きく花咲かすため、正義記憶連帯は民主市民と共に連帯して最後まで闘うことを誓います。610民主抗争の巨大な歴史的うねりを再び起こし、大韓民国を民主主義の盤石の上に置くことを誓います。

 




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正義記憶連帯 理事長 李娜栄(ナヨン)




(訳 権龍夫)

 




※610民主大抗争;全斗煥(チョン・ドゥファン)軍事独裁政権は、大統領選挙制度を選挙人団による間接選挙にすることを宣言した。在野・野党はこれに対し、独裁政権延長を画策するものと激しく反発して街頭行動を展開した。韓国の市民・学生は街頭をデモで呼応し、特に610日には各都市がデモ隊列で埋められた。この過程で公安当局に連行された朴鍾哲君(ソウル大生)が水拷問で殺害され、李韓烈君(延世大)は催涙弾の直撃で死亡した。このため民主化を求める市民・学生のデモはさらに拡大し、商工人もデモ隊を支援し、国家機能がマヒするほどにデモは激化した。ここに至って政権与党は大統領直接選挙制を含む妥協案を受入れるに至った(6.29宣言)。これは、軍部による独裁統治に終止符が打たれた瞬間になった。(訳者注)