金ウンギョン(オーマイニュース22.07.16 )




日本軍性奴隷制被害者の故・李順徳(イ・スンドク)ハルモニの子女が、韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協)が運営した「平和の我が家(シェルター)」の孫英美(ソン・ヨンミ)所長について、「本当にありがたい方」だと述べた。



 ソウル西部地方法院刑事合議11部(部長判事;文ビョンチャン)は15日、尹美香(ユン・ミヒャン)議員ら正義記憶連帯(正義連)関連の第15回公判を開いた。





  ソウル西部地方法院玄関 金ウンギョン




 この日の公判には、2017年に100歳で別世した故・李順徳ハルモニの娘のAさんが証人として出廷した。

李ハルモニは2005年から挺対協が運営するシェルターで生活し、生前、日本軍性奴隷制問題解決のために積極的に活動した。



 Aさんは、「所長はハルモニたちの性格や趣向まで一人ひとりに合わせて食事を準備した。吉元玉(キル・ウォノク)ハルモニは糖尿があったが、そうしたことまで完璧に神経を使って世話した」、「実の子供でもそこまで世話できないのに、本当にありがたかった」と述べた。



 そして、「李順徳ハルモニは始めナヌムの家へ行ったが、そこは少し窮屈だったようだ。長くは過ごさなかった」、「挺対協シェルターとナヌムの家とは完全に違っていた」と言い、「李ハルモニは挺対協シェルターで穏やかに生活した」と証言した。




 この日の公判で検察は、「孫英美(ソン・ヨンミ)所長が李順徳ハルモニの通帳を管理、流用したのでは?」という趣旨で重ねて尋問した。これに対してAさんは、「お母さんは私と暮らしていた時も、お金を下ろさせて直接管理していた」と証言した。



 Aさんはまた、「支援金が出る日は、全額引き下ろした」、「お母さんはお金が出る日は必ず全額引き下ろさせて、現金で持っていた。生活費として使い、残りはお母さんが使った」と述べた。Aさんがシェルターのお母さんに会いに行けば、タンスからお金を直接出してくれた」と説明した。



 「ハルモニが、孫所長からお金を受取らなかったなど、問題があったと話したことはあるか?」という弁護人の質問には、「なかった」と答えた。検察が、「孫所長が引き出して渡したと聞いたのであって、直接見たのではないだろう?」と聞くやAさんは、「見ていない」と答えた。



 この日の審問でAさんが、「和解治癒財団の慰労金1億ウォンは謝罪なしでのお金だから拒否した』とする陳述をするや検察は、「お母さんが和解治癒財団の慰労金1億ウォンを娘のために受領できたのではないか?」と繰り返し訊ねた。



 このような検察の質問が続くと傍聴席からは、ため息が漏れた。


 なぜなら、李順徳ハルモニが映画「ヒストリー」を通じて知られた「関釜裁判」、日本軍性奴隷制被害者と女子勤労挺身隊被害者が日本政府を相手に賠償を請求した訴訟に参加し、毎週、水曜デモに参加するなど、健康が悪化するまで日本政府の法的賠償を要求する活動の先頭に立っていたからだ。




 李順徳ハルモニは、2015年韓日合意以降、日本政府が拠出した和解治癒財団の慰労金を拒否した。それで正義記憶財団はこの慰労金を拒否したハルモニたちのために「女性人権賞」を授与し、各自1億ウォンの募金を集めて支給した。




 しかし李順徳ハルモニは、「女性人権賞」授与時、すでに死亡していた。これに正義記憶財団は、李ハルモニが女性人権賞決定当時に生存していた点などを考慮、遺族に2千万ウォンを支給することに決定、これをAさんへ手渡した。



 一方、この日の公判には、吉元玉ハルモニを診察していた医師が証言に立った。しかし証人の非公開審問要請を受け、裁判部が公開しなかった。




(訳 権龍夫)


次回第16回公判は、2022年8月12日です。





〈原文〉

고 이순덕 할머니 딸 "정대협 쉼터 소장님 감사한 분" - 오마이뉴스 (ohmynews.com)