1993年の今日、日本政府は「慰安婦関係調査結果発表に関する河野内閣官房長官談話」を発表した。いわゆる「河野談話」は、最初に慰安所設置、管理および慰安婦移送に関する日本軍の直接・間接的関与を認定、二番目に、募集と移送の強制性を認定、三番目に、苛酷な慰安所の状況を認定、四番目に以上の過程で当事者の名誉と尊厳を傷つけたことを認定、五つ目に、再発防止のための歴史研究と歴史教育を約束、最後に謝罪と反省が表明されている。

 





募集に関する業者の役割を強調して、主導ではなく関与という曖昧な表現で責任の所在と不法性をぼやかし、体系的真相究明と法的賠償に対する言及がないなどの限界があるものの、事実上強制性と法的責任を認めて、歴史研究と歴史教育を通した再発防止を約束したという点で意味がなかったとは言えない。

 


しかし、日本政府は「河野談話」以後、「慰安婦問題に関する補償問題」は1965年韓日「請求権協定」により「完全に、そして最終的に解決」されたと主張して、法的責任を回避するために1995年「女性のためのアジア平和国民基金」いわゆる「国民基金」を発足させた。被害者を分裂させ、韓日市民を大きく傷つけた国民基金以後、日本社会全般に歴史否定論が手のほどこしようもないほど拡がっていった。

 


そしてついに2007316日、安倍内閣は「いわゆる強制連行を直接表わす記述は発見されなかった」として事実上「河野談話」を否定する閣議決定を敢行した。2021427日、菅内閣もまた「軍によって強制的に連行されたという誤った認識を与える」「従軍を取って慰安婦と書かなければならない」という閣議決定を行った。

 


安倍内閣と菅内閣もまた、口では「河野談話」を「再検討するつもりはい」、「全体として」「基本的立場として」継承すると言いながら、狭義と広義で分けるまれな論法で事実上「強制連行」を否認して「性的奴隷」を根拠なく否定し、「請求権協定」と「2015韓日合意」をあげて問題が「最終的・不可逆的に解決された」という主張を繰り返している。表面的継承と事実上の否定を通じて日本政府は自ら「河野談話」を徐々に削って根元から危険にさらしてきたのだ。

 

来る814日は金学順の公開証言から30年になる日だ。もうこれ以上は歴史を否定するなと、もうこれ以上は被害者を冒とくするなと、堂々と加害者の犯罪事実を明らかにし、責任を要求した勇敢な一声があった日だ。今からでも日本政府は自ら認めた強制性と法的責任を幼稚な言葉遊びで否認せず、「河野談話」をまともに継承する方案を提示しなければならない。日本政府が組織的に抹消したり隠したりした数多くの資料を直ちに公開し、体系的な真相糾明に寄与しなければならない。 約束した歴史研究と、あるべき歴史教育を通じて未来世代に大きな教訓として残さなければならない。「このような問題を長らく記憶にとどめ、同じ誤りを絶対に繰り返さないという固い決意」の具体的な実践内容と方案が何であるかを提示しなければならない。何よりも、事実認定と再発防止の約束に基づいて被害者に繰り返し謝罪しなければならない。

 


誠意ある謝罪の心が実践につながり、全世界に共鳴を呼んだとき、被害生存者がその心を確認して心から受け入れることができた時、はじめて日本軍性奴隷制問題は歴史の問題として位置づけられるだろう。その時こそはじめて窮屈でみすぼらしい皮を脱ぎすて、21世紀の平和と人権を指向する民主主義国家として日本に似合った地位が歴史に深く刻まれるだろう。

 


202184

正義記憶連帯理事長 李娜榮(イ・ナヨン)


(訳 方清子)