今日、私たちは韓国で金学順さんが日本軍「慰安婦」被害者として初めて公開証言を行った1991年8月14日から30年を迎えました。



日本軍性奴隷にされて人生を奪われた記憶に苦しみながら、長く深い沈黙の中で生きていた金学順さんは、「『慰安婦』は、民間業者が軍とともに連れ歩いていた」という日本政府の虚偽答弁に怒りを抑えられず、立ち上がりました。

名乗り出た時、「私はこのことのために今日まで生きてきた」と語ったように、この時から金学順さんの勇気ある闘いが始まりました。重い持病を抱えながらも、73歳で亡くなるまでの6年間、繰り返し日本を訪れ、裁判闘争や数々の証言集会、国会前での抗議行動など、あらゆる行動を起こしました。



そして、アジア各国とオランダの日本軍「慰安婦」被害者たちだけでなく、ボスニア・ヘルツェゴビナなど、世界の紛争地で性暴力の被害に遭った女性たちもまた、金学順さんの告発に続きました。#Me Tooの声が世界にこだましたのです。



しかし、あの日から30年の歳月を経た今も、金学順さんたち被害者の願いはかなえられないままです。


日本政府による一人ひとりへの謝罪の言葉も受け取れず、すでに多くの被害者が亡くなられました。

この間、数多くの資料や新たな証言・証拠が発見され、日本軍性奴隷制度の実態が明らかになったにも関わらず、日本政府は歴史的事実に向き合うことなく、「日韓合意」ですべて解決済みと幕引きを図ろうとしています。



多額の国家予算を投入し、政府の立場を世界に広報する一方、各国市民による「平和の少女像」や「メモリアル碑」の設置の妨害・撤去を外交方針としています。

韓国の被害者たちが最後の手段として自国の政府に訴えた裁判やその判決に対しても、日本政府は激しい非難を続けました。


「河野談話」さえ空洞化させようという企みは止むことがなく、教育内容にまで介入し、都合の悪い歴史をなかったことにしようとしています。



これらのことはすべて、日本政府による「慰安婦」被害者への現在も進行している二次加害であり、断じて許すわけにはいきません。さらに、権力を監視すべきメディアも、政府に忖度し、その立場に追従していることは重大な問題です。



私たちは、ジェンダー平等や個人の人権アプローチへと変化しつつある国際法や世界の流れと逆行する日本社会の根強い女性蔑視と構造的暴力の再生産にストップをかけなければなりません。



「娘たちよ、しっかりしなさい!」という、水曜集会での金学順さんの叫びを想い起こしましょう。

多くのサバイバーたちが、「二度と同じことを繰り返させてはいけない」「私と同じような目に遭う女性が出てきてはいけない」と訴えたことを心に刻みましょう。



私たちは、日本軍性奴隷制被害者の一人ひとりを記憶し、日本政府の責任を問い続けます。今も続く紛争下での女性に対する暴力や、日常における女性への差別・抑圧やあらゆる暴力を許さず、世界の人々と連帯しながらともに歩んでいきます。



2021年8月14日

日本軍「慰安婦」問題解決全国行動