猛烈な暑さの夏、世界は混沌としています。中東での緊迫した情勢にはハラハラするばかりで、アメリカではトランプ大統領が次に何をやり始めるかと思うと気が抜けません。


ロスアンゼルスの学生たちが「No Kings!(王様はいらない!)」のプラカードを掲げたデモをしていますが、全米各地でも行われているようです。これには共感します。



日本では天皇が広島や沖縄を訪問するということで、広島市では小学生に歓迎の行列を作って参加させようという声かけが始められ、市民からは「戦前や戦中のように、子どもたちまで動員して天皇を賛美するのか」という批判の声があがっています。

 


2025年は日本の敗戦から80年ということで、いろいろな節目を迎える年。

「慰安婦」問題で深く関わってきた韓国と日本の市民団体では「日韓条約60年」を問う動きがあり、620日には日韓の市民が内閣府へ問題解決を申し入れ、21日には韓国の活動家を多数迎えて集会が開かれます。

私たちが加わっている「日本軍『慰安婦』問題解決全国行動」(略称「全国行動」)も、韓国の新しい大統領に「慰安婦」問題にどう取り組んでいくのかを問いかけています。ただ、日本政府は相変わらず「慰安婦」問題には耳を傾けてくれません。日本では安倍政権時代から、「慰安婦」問題を訴える声は押し留められるばかりで、右翼や歴史修正主義者たちが喜ぶ方向に抑えられてきました。



先ほど「水曜行動」の準備をしていたら、通りかかった中国人留学生が「あなたたちはボランティアですか?」などと質問をするので対応していると、「感動しました」と言っていました。中国では「慰安婦」問題はあまり報道されないため、このような日本の市民の動きも知らなかったようです。



ところが日本では612日、外交防衛委員会で自民党議員が、世界各地の30カ所に建てられている「平和の少女像」を撤去させよう・・・と発言しました。「平和の少女像」とは、韓国・ソウルの日本大使館前に「慰安婦」被害者や支援者の人たちが建立した「慰安婦」のシンボルのような少女像で、各国では「戦時性暴力をなくしていこう」というシンボルにもなっています。これに対して日本政府は、相変わらず撤去を求める姿勢を崩していません。全く恥ずかしいかぎりです。

 


参考:https://www.youtube.com/watch?v=uf5bOA0iRwE



5月から6月にかけては、沖縄の女性たちからも声があがりました。

在日米軍の基地が集中している沖縄では、米兵による性暴力事件が後を絶ちません。大阪では614日に沖縄の「基地・軍隊を許さない行動する女たちの会」の源啓美さんが「軍隊と性暴力・沖縄戦からの教訓~武器によらない平和を求めて」を講演しました。


●源啓美さんのお話の詳細は下記アドレスから日本軍「慰安婦」問題・関西ネットワークのHPを参照して下さい。

https://www.ianfu-kansai-net.org/cgi-bin/sfs6_diary/sfs6_diary.cgi?action=article&year=2025&month=06&day=14&mynum=233



615日には「希望のたね基金」の連続講座で、「今年ほど「戦前」という危機を感じたことはなかった」と言う元沖縄タイムス記者の謝花直美さんが現在の沖縄を語りました。



私も活動に参加している「山西省・明らかにする会」では、614日の年次総会の後、女性史家の宋連玉さんに「植民地『公娼制』に帝国の性政治をみる」を語っていただき、日本軍「慰安婦」制度の背景と構造など、様々なことを考える機会になりました。



戦後80年も経ち、日本軍による性暴力被害者の大半はすでに亡くなられています。山西省でも、日本政府を相手に損害賠償請求訴訟を闘った女性たちは全員が亡くなり、娘さんや息子さんたちがその遺志を引き継いでいます。次の世代にこの問題をどう継承していくのか、どうしたら日本人の理解者を増やしていけるか・・・は大きな課題です。

 


523日には、中国海南島の被害者を支援してきた「ハイナンnet」の米田麻衣さん制作のドキュメンタリー映画『あぽの四季』の上映会があって、盛り上がりました。


614日には横浜で、日本人「慰安婦」被害者・城田すず子さんを描いた一人芝居『マリアの賛歌~石の叫び』の上演がありました。私は昨年6月の公演を観ていますが、脚本を書いた くるみざわしん さんによると、更に稽古を重ねてブラッシュアップしているとのこと。721日に埼玉の吉川市で行われる公演には観に行きたいと思っています。


また、沖縄に残留した「慰安婦」被害者を撮り続けてきた在日朝鮮人2世の朴寿南さんの娘・朴麻衣さんが、フィルムを復元してドキュメンタリー映画『よみがえる声』を完成させました。64日に試写会があり、84日から公開されます。これも楽しみです。


ところで今、映像を記録してきた者たちの間では「磁気テープ 2025年問題」が深刻な話題になっています。VHSやミニDVなどのビデオテープの寿命が尽きて、再生機器の製造も終わり、それを扱う技術者も高齢化しているため、大事な映像が消えてしまう・・・という問題です。私も今、大急ぎでビデオのデジタル化に取り組んでいます。

 


男女雇用均等法の制定から40年の今年、女性差別問題がしばしば取り上げられていますが、日本はジェンダーギャップ指数で世界148カ国中118位、G7の国の中では最下位です。


男女平等の遅れは、「慰安婦」問題が未解決であることと深くつながっていると思います。女性の人権が尊重されて男女平等が実現し、女性が暮らしやすくなる社会の実現が急務です。明日619日は「紛争下における女性への性暴力根絶の国際デー」です。今日はこの後、上智大学の田中雅子さんに「『慰安婦』問題と現代」を話していただくので、是非お聴き下さい。


 日本軍「慰安婦」問題は、まだまだ終わっていません。

ご通行中のみなさまも是非、お配りしているチラシを受け取って読んでいただき、この問題をご自身の問題として向き合うようになっていただきたい・・・と願っています。