この1228日は韓日の外相が発表した「2015年韓日慰安婦合意」の10周年にあたります。



 「2015年韓日合意」は、形式、手続き、内容の面で問題のある政治的合意でした。それは「最終的かつ不可逆的」という言葉遊びで戦争犯罪に免責を与えた最悪の外交的惨事でした。賠償でも補償でもない小銭で被害者の声を封じ、世界中の「少女像」設置を全面的に阻止する権利、そして被害国が国際社会で日本軍性奴隷問題に言及することも禁じる権利を加害国日本へ与えました。



 これを口実にして歴史的否認と歪曲、被害者への侮辱と名誉毀損が制御不能になりました。日本帝国の反人道的な犯罪を否定する言説が政界、街頭、学界、学校、様々なメディア、SNSを通じて公然と拡大しています。韓国・米国・日本の極右・歴史否認勢力のネットワークによって歴史的事実は根底から揺らぎ、水曜デモは攻撃され、少女像は侮辱・テロの標的となりました。日本政府は閣議決定で従軍慰安婦から「従軍」という言葉を削除しました。なぜならそれは日本軍を連想させるからであり、国連などで「強制動員」や「性的奴隷制」を否定し、歴史教科書の歪曲を進めるためでした。


 

 非常に大きな問題は、責任履行の主体が日本政府ではなく韓国政府へ転嫁されたことです。韓国は加害国に責任を問う被害国ではなく、「韓日合意履行」の責任者扱いされ始めました。被害者が日本政府を相手に提起した損害賠償の請求訴訟で勝訴するたびに日本政府は法的責任履行を拒否し、逆に「2015韓日合意違反」とか「国際法違反」を云々して韓国政府を非難しました。甚だしくは韓日首脳会談の条件として「2015韓日合意の順守」を掲げもしました。

 


 しかし「2015韓日合意」はすでに失敗しました。

「韓日合意」以後、被害者たちは反発し、全世界に「少女像」建立運動が野火のように広がり、市民募金で正義記憶連帯が設立され、記憶と真実を守る市民運動も活発に闘っています。被害者たちは日本政府を相手にした3回の損害賠償請求訴訟で国家免除という壁を越えてすべて勝訴しました。国連などの国際機関は「真実・正義・賠償」の原則に反する「2015韓日合意」の問題点を継続して指摘しており、韓日両国政府に対して日本軍性奴隷制問題の根本的な解決と被害者中心原則に基づいた「合意改正」を勧告しています。


 

 韓国政府へ質問します。

「光の革命」で誕生した国民主権政府が「国家間合意の順守」をオウムのように繰り返すだけで良いのですか?「実用外交」を掲げて「歴史正義」と自国被害者たちが獲得した権利を無視するのが国民主権政府のすることですか?本当に大韓民国は被害者が全員亡くなるのを待つのですか?水曜デモと少女像の傍で日章旗を振り回して日本右翼の主張を繰り返す者たちをそのままにするのですか?歴史否定とヘイト、差別をエネルギーにして大韓民国の民主主義と人権を根本的に破壊する者たちをいつまで放置するのですか?


 

 韓国政府に強く求めます!

今から直ちに「2015韓日合意」に内在する問題点とこれによって派生した大きな不正義を認定し、「合意」が事実上破棄されたことを宣言してください。被害者たちが獲得した法的正義を実現するため、外交的努力を果たしてください。極右・歴史否定勢力の拡散を防いで歴史的真実と被害者たちの尊厳を守るための「被害者保護法」を直ちに改正してください。

 

 日本政府に警告します。

「二度とこんなことが繰り返されてはいけない」という日本軍性奴隷制被害者たちの希望は、同じ苦痛を与えて恨みを晴らす報復のためではありません。持続可能な平和、人間に対する尊重と平等を実現するため、過去を直視して共に前に進むことでした。万一、歴史から教訓を得られずに日本政府が植民地・戦争責任をすべて否定して軍国主義の戦争国家として再び進むのに熱中するなら、反省も責任も負わない鉄面皮なファシズム国家としてまたも世界史に足跡を残すだろうと強く警告します。

 


 いまや韓国の被害生存者は6名になりました。韓日両国政府には時間があまり残っていません。歴史にまたも汚辱にまみれた恥ずべき先人として記憶されるのか、遅まきながら正義の時間を被害者たちに返してあげるのか、いまや選択の時間です。

 


2025年 12月 24

正義記憶連帯 理事長 李娜榮(イ・ナヨン)



(訳 権龍夫)

yaku