G7サミットがまもなく広島で開かれる。原爆が多くの市民の命を無残に奪った場所だ。

尹錫悦(ﾕﾝ･ｿｸﾖﾙ)大統領は岸田首相と一緒に原爆犠牲者慰霊碑に参拝するようだ。不当に亡くなった霊魂を想起し、被爆して今もで苦しんでいる生存者と子孫を慰労する考えなら一見して妥当だ。

 


しかし、広島が岸田首相の選挙区という事実、19世紀末から続いた日本帝国主義の50年戦争が広島原爆でようやく終結した事実、果てしない戦争魔の野望のために無数のアジア・太平洋の民衆が血を流したという悲惨な真実を覆い隠すショーであるなら極めて不当である。

 


無実の罪で連行され、原爆の犠牲者として散花した数多くの植民地朝鮮の労働者に対する責任認定と賠償はおろか、真相解明すらされていないという真実を誤魔化し、韓半島の不法占領、民間人虐殺の歴史的事実を覆い隠す仮面舞踏会なら、強制動員と労働搾取、 性的搾取の被害者に対する謝罪も反省もない者たちが、自分たちを平和主義者に塗り替えるためのショーの舞台なら、表向きは核兵器のない世界を叫びながら核汚染水の排出を強行し、平和を叫びながら平和憲法を形骸化し、再軍備の道に入った偽善的な所業を隠蔽するための華やかな包装紙なら、あまりにも不気味だ。

 


よく仕立て上げられた日本政府の舞台に主演俳優を自任し、操り人形のように与えられた脚本を読み上げる尹錫悦大統領を考えるとさらに恐ろしい。主権者である大韓民国国民が命じた任務は忘却したまま、視察団を名乗って福島原発の汚染水放流を容認し、分断体制の根本原因である日本、認定も反省もしない戦争犯罪者に肝胆すべて渡した彼の所業を見るなら、これから目撃する場面も予測可能だ。もしかしたら、韓米日軍事協力の名目で領土主権も経済主権もすべて放棄し、ついに歴史の時計を19世紀末に戻すのではないかと不安でならない。

 


私たちは要求する。

日本政府は軍国主義と侵略の歴史を心から反省し、強制動員、日本軍性奴隷制の被害者に法的賠償すること。植民地不法占領の被害者である在日朝鮮人に対する抑圧と差別を直ちに止めること。原爆被害者に対する真の慰霊のためにも、朝鮮人被爆者に対する正確な実態調査と体系的な補償計画を立てること。

 

もし今回の広島G7首脳会議というショーの舞台が、このすべての厳しい歴史的真実を踏みにじったまま、帝国主義者たちが捨てきれなかった軍国主義の鎧の最初のボタンを再びはめる手順であるならば、中国・北朝鮮・ロシアを牽制するという名目で、戦前のファシストの露骨な復活を知らせる合図であるならば、古い冷戦イデオロギーをテコに再び朝鮮半島を火の海にする策略の本格化であるならば、私たちは平和を守るアジア太平洋民衆の名前で強力に対処することを警告する。

 


明日は5-18民主化運動43周年だ。不当に犠牲になった霊魂の冥福を祈り、今もトラウマに苦しんでいる多くの被害者に慰労の心を送る。過去を忘れてこそ未来があると考える人、加害者を代弁して被害者を邪魔者扱いする人が大韓民国の大統領という悲惨な現実にも、私たち国民は国家の過ちを最後まで記憶し、真実を明らかにし、同じことが繰り返されないように正義と民主主義の土台の上に大韓民国を再びしっかりと建てることを誓う。

 


2023年5月17日

正義記憶連帯 理事長 　李娜榮(ｲ･ﾅﾖﾝ)



（訳　権龍夫）