日本軍「慰安婦」被害者をたたえる日を迎えて
日本軍「慰安婦」問題の正しい解決を要求する。




2022年8月14日は韓国が日帝の植民地支配解放から77年の節目を迎える日の前日にあたり、金学順さんが記者会見を開いて日本軍「慰安婦」被害者であることを初めて公の場で証言した日から31年となる日でもある。



1991年8月14日、金学順さんは解放後半世紀に渡って強いられてきた沈黙を破り、ご自身が日本軍「慰安婦」被害者であることを公の場で明らかにした。その勇気ある行動はさらなる勇気を呼び、韓国全域、さらには北朝鮮、日本、フィリピン、台湾、中国、インドネシア、オランダ、オーストラリア等世界各地の被害者も立ち上がるようになって、全世界の被害者と市民が共に連帯しながら日本軍「慰安婦」問題の解決及び戦時性暴力問題の解決に努めてきた。



2012年に台湾で開催された第11回日本軍「慰安婦」問題解決のためのアジア連帯会議の参加者らは、初めて沈黙を破った金学順さんの勇気をたたえ、毎年8月14日を世界日本軍「慰安婦」被害者をたたえる日に定めた。その世界日本軍「慰安婦」被害者をたたえる日は今年で早10年目を迎える。



大韓民国でも2017年12月に「日帝下日本軍慰安婦被害者に対する保護・支援及び記念事業等に関する法律」を改正し、毎年8月14日を日本軍「慰安婦」被害者をたたえる日に定め、2018年8月14日から国の公式記念日としてきた。



しかし、日本軍「慰安婦」被害者の求める正義は未だ実現されずにいる。日本の歴史教科書から「慰安婦」問題の記述は削除され、日本政府は韓国政府に対して被害者が受け入れを拒んでいる「慰安婦」問題をめぐる2015年の韓日合意の履行を督促し、また、韓日関係の改善を望んでいる韓国政府に解決策の捻出を求める等、被害者と加害者の立場が逆転したような発言を繰り返している。



韓国国民は忘れていない。
2015年の韓日合意後、日本の安倍元総理は「自分の口で謝罪する考えは毛頭ない」、「今後は慰安婦問題について話さない」、「慰安婦を性奴隷と呼ぶのは日本に対する誹謗中傷だ」、「女性らを強制連行したという証拠はない」、「2015年の日韓合意で慰安婦問題は最終的かつ不可逆的に解決した」等、被害者を傷付け、韓日関係を妨げる発言をすることをためらわなかった。それこそが2015年の韓日合意の本質である。



8月14日の日本軍「慰安婦」被害者をたたえる日を迎える大韓民国の国会議員である我々は、日本軍「慰安婦」被害者の沈黙を破った勇気と人権・平和運動家としての生涯をたたえる。そして、現在韓日間で行われている議論が2015年の韓日合意への回帰や復元ではなく、国際人権原則と規範に則って被害者の人権と名誉を回復させる内容のものになることを望む。我々は立法措置を含むすべての努力を行う考えだ。それこそが韓日間の真なる未来志向の関係を構築する道であり、韓日と世界の次の世代に平和な世界を譲り渡す道であると、我々は確信している。



我々は韓日両国政府と国際社会に対し、以下の通りに要求する。


.日本政府は被害者及び国連等の国際社会の要求通りに日本軍「慰安婦」問題の真実究明、正義の実現、賠償、再発防止措置を履行しなければならない。


2015年の「慰安婦」韓日合意は、2018年と2019年に韓国政府がはっきりと示した通り、日本軍「慰安婦」問題の解決策になり得ない。日本政府が拠出した10億円で設立された和解・癒やし財団も法的に解散され、すでにその効力が失われている。


日本軍「慰安婦」問題は日本軍によって組織的に行われた性奴隷犯罪かつ人道に反する犯罪であったということがすでに旧日本軍文書と連合軍文書で明らかになっており、女性に対する暴力に関する国連特別報告者等の国際機関の報告書からも確認されている。日本政府はこのような事実を認め、被害者の要求通りに公式謝罪と法的賠償、責任者の処罰と歴史教科書への掲載、追悼碑と史料館の建設等の責任を負わねばならない。



2.韓国政府は、被害者中心主義に違背し国際人権基準を無視している2015年の韓日合意は「慰安婦」問題の解決策になり得ないと発表した政府の公式的な立場を再確認し、被害者と国民に約束した通り、国際人権規範に則って日本軍「慰安婦」問題の正しい解決に努めなければならない。


2018年1月9日に韓国外交部は2015年の韓日合意の後続措置を発表して「2015年の合意は「慰安婦」問題の真なる解決になり得ない」と宣言し、「「慰安婦」被害者の名誉・尊厳回復及び心の傷のケアのために韓国政府がすべき努力をすべて行う」と述べた。
また、2019年12月27日には憲法裁判所が、2015年の韓日合意は法的拘束力を持つ条約ではなく、日本軍「慰安婦」被害者の被害回復のための法的措置でないことを明らかにした。
したがって、光復77周年及び日本軍「慰安婦」被害者をたたえる日を迎え韓国政府が行うべきは、2015年の韓日合意への復元ではなく、被害者中心主義に基づいた日本軍「慰安婦」問題の正しい解決である。


.世界各国の議会と政府は、これまで国際社会が勧告してきた日本軍「慰安婦」問題の真実究明、正義の実現、賠償、再発防止措置を日本政府が誠実に履行するよう促さなければならない。

この30余年間、国際社会は日本軍「慰安婦」問題の解決のために多大な努力を尽くしてきた。その甲斐あって国連をはじめとする国際人権機構やアメリカ、欧州連合等は日本軍「慰安婦」を性奴隷制と認め、日本政府に対し被害者の人権と名誉の回復に向けた法的措置を果たすことを勧告した。

残るは日本政府が国際社会の勧告通りに、反人道的な犯罪かつ性奴隷犯罪に規定された日本軍「慰安婦」問題に関して謝罪と賠償、真実究明と周知教育、追悼碑設置等の義務を果たすことで、国際人権規範が実現するよう努めることだ。これには国際社会も声を上げることを要請する。そうすることで未だ世界各地で続いている戦時性暴力犯罪の根絶と再発防止に向けた国際社会の人権規範を継承する道を切り開いていくことができるはずである。



2022年8月14日
大韓民国国会議員


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