「人はなぜ同じ人間に対してこんなにも残酷なことができるのだろうか」


驚きと怒りをもって、他人の痛みを自身のこととして受け入れた人々がいました。偶発的で特殊な事件、とてつもなく運の悪い女性たちの残念で悲しい出来事ではなく、今も世界のあちこちで行われているぞっとするような組織的犯罪であると認知した人々がいました。






冷遇したり蔑んだり、関心さえ持たなかった人々に近付き手を握ってさすり、抱きしめた人々がいました。被害者らとともに新しい倫理的共同体をつくり、加害者に堂々と相対して闘ってきた人々がいました。問題解決の責務を自ら背負い、全世界を駆けずり回って訴え、ついに国際人権規約を再び書いた人々がいました。

 

すべての生が暴力と破壊から保護される権利を平等に持つという信頼の下に、不正義の構造に相対して闘った人々がいました。真実に向き合い、記憶し、記録し、継承しようとした人々がいました。過ちを認めようとしない加害者たちが、再び「たった一つ」の叙事的権威の主体にならないように、超人的な努力をつくした人々がいました。

 

彼らの血と汗で積み重ねられた歴史がいま30年を迎えました。

 

正義連は彼らがやっと守り、生かしてきた平和と女性人権の火種を再び明るく灯します。被害者の尊厳と人権回復のために生涯を捧げて献身した人々を記憶し、感謝の気持ちを伝えようと思います。戦争犯罪の認定と心のこもった謝罪、真相究明と法的賠償のために努力した時間と成果を喚起しようと思います。当事者が亡くなれば責任も消えるものだと考える人々に、法的責任、政治的責任、歴史的責任の意味が何であるかを分からせてあげようと思います。記憶と継承の意味が何であるのか、運動の方向はどうあるべきか、より正しい世の中を夢見て実践する未来世代の考えに耳を傾けようと思います。  

 

被害者らと共に笑って泣いて日常を分かち合ったシムト(憩い場)が歴史の裏側に消えたように、正義連は一つの門を閉めて新たな章を開こうと思います。過ぎ去った歳月を胸に大切に抱いて、慎重に堂々と前に進みます。

歴史の1ページを再び開く道に市民のみなさまが変わりなく見守ってくださることを信じます。

 

2020114

正義記憶連帯 理事長 李娜榮


(訳:方清子)