11月25日は、1999年に国連総会で制定された「女性に対する暴力撤廃の国際デー」です。女性に対する暴力はジェンダーに基づく重大な人権侵害であり、根絶しなければなりません。国連によると、世界の女性の3人に1人は生涯に1度は身体的・性的暴力を受けています。



女性に対する性暴力は、日常生活の中でも、戦時下でも起こっており、深刻な被害をもたらしています。日本政府の今年の女性に対する暴力撤廃の国際デーのテーマは「女性に対する性暴力をなくそう」です。しかし、私たちの周囲では一向に女性に対する性暴力はなくなっていません。



 2018年にコンゴ内戦下での性暴力被害女性の支援に尽力している医師デニ・ムクエゲさんとISの性暴力被害者で人権活動家となったナディア・ムラドさんがノーベル平和賞を受賞したことで、国際社会では一層、戦時下の性暴力根絶に対する機運が高まりました。


 

日本政府も「紛争の武器としての性暴力は、看過できない問題である」(外交青書2020年)との認識から、「国連アクション」や「紛争下の性的暴力担当国連事務総長特別代表事務所」などの国際機構と連携し、同事務所や国際刑事裁判所の被害者信託基金に財政支援を続けています。

 


しかし、自国が犯した戦争犯罪であるアジア太平洋戦争下での日本軍「慰安婦」問題については、「強制連行はなかった」「性奴隷ではない」と事実を認めず、加害責任を果たしていません。



事実を記憶することによる性暴力の根絶と平和のために世界各地に立てられている日本軍「慰安婦」メモリアルへの設置妨害活動を続けてきた日本政府が、9月25日にベルリンのミッテ区に立てられた平和の少女像に対しては、露骨に撤去要請を行いました。それだけでは足りないのか、東大阪市・新宿区などの姉妹都市・名古屋市などの自治体の首長による撤去要請の書簡、自民党国会議員82名の同区撤去方針支時声明(産経新聞22020/11/20 15:38配信)を、ミッテ区長に送ることを援護射撃として、撤去活動を展開しています。像の撤去によって、日本軍「慰安婦」の事実そのものを消し去ろうとしているのです。


 

「1991年8月14日沈黙を破った日本軍『慰安婦』サバイバーを称え」とベルリン平和の少女像に刻まれていますが、被害者たちが勇気を奮って国連など世界各地で証言してきたことが、国際社会の「戦時下の性暴力は女性に対する重大な人権侵害である」との認識や、女性に対する暴力撤廃の国際デーの制定へとつながっていったのです。像の撤去は、被害者の勇気や闘いを否定することです。

 


日本政府の日本軍「慰安婦」メモリアルへの妨害や撤去の活動は、女性に対する暴力撤廃の国際デーの精神に反するものです。

 


私たちは、「日本軍『慰安婦』問題の解決は、女性の人権と平和の未来を拓く」との観点から、日本政府のベルリン平和の少女像撤去策動を許さず、日本軍「慰安婦」問題の解決を目指す決意です。

 

                   2020年11月25日

                日本軍「慰安婦」問題解決全国行動