930日、釜山で李在明(イ・ジェミョン)大統領と石破茂日本総理との第3回日韓首脳会談が行われました。大統領府は「急変する地政学的環境と貿易秩序の中で、日韓両国が似た立場を持つ隣国でありグローバルな協力パートナーとして共に行動する必要性に共感し様々な課題についても議論の視野を広げた」と自己評価しました。また、少子高齢化と均衡ある成長、自殺など共通して直面する社会問題について当局間の協議体を運営することにしたとも述べました。


 


しかし、「過去の歴史を直視する」という曖昧な表現以外に、日本軍「慰安婦」、強制動員、民間人虐殺、遺骨返還など歴史問題についての言及は一言もありませんでした。

実に失望しました。

2015年日韓合意は憲法に反しており無効」として少女像を守る座り込みにも躊躇しなかった城南市長時代の李在明は何処にいるのでしょうか?尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権の「強制動員第3者賠償案」を「第3者贈賄罪」と非難し、「対日低姿勢外交・屈辱外交」に激烈に抵抗していた李在明代表と民主党は何処にいるのでしょうか?過去の日韓首脳会談において、劇的に83年ぶりに海から出た朝鮮炭鉱犠牲者の遺骨返還についての交渉も進展していません。「未来志向的関係」、「実利外交」のリストには、人道レベルの問題さえ入る余地がないのでしょうか。



 

海洋都市を標榜する釜山で行われた首脳会談にもかかわらず、福島汚染水問題も提起されませんでした。野党代表時代、日本の福島核汚染水投棄を批判し、断食闘争も辞さず、国際法違反として「ロンドン条約・議定書に加盟する88か国の政府首脳に協力を要請する親書まで送った」人物は 何処へ行ったのでしょうか?

 



国賓に準じる待遇を受けた石破総理の態度はどうでしょう。

北朝鮮による日本人拉致問題の解決を求める青いリボンを敢えてつけて登場し、「釜山から出発した朝鮮通信使の歴史」などと語り、「日韓国交正常化60周年」に触れつつ「共同の利益追求」を強調しました。


日本の韓半島の不法占領と戦争犯罪を無視した日韓条約の問題点を認めないで、大韓民国大統領との首脳会談で北朝鮮を非難するメッセージを発信する意図は何でしょうか。


何より釜山は日韓併合時代の徴兵・徴用、旧日本軍性奴隷として強制動員された多くの朝鮮半島の民衆が涙を流しながら故国を去った場所ではありませんか。朝鮮通信使に言及するなら、近代の歴史的事実を直視するのが先ではありませんか。このような日本と何の未来志向の関係を論じることができますか。「両国間のシャトル外交の完成」は何のためのものですか。





このような状況なので、大韓出版文化協会が朴裕河(パク・ユハ)氏とその著書を出した出版社に功労賞を授与するのも、異常ではないかもしれません。一時、進歩を自称した人々が歴史を巧妙に歪曲し、被害者の名誉を傷つけ社会的に大きな問題を引き起こした人物の名誉を回復させようと言うことです。「表現の自由」を理由に歴史が崩壊しても、言い訳ができなくなったのです。




厳重に警告します。価値と原則を排除した実利は舵のない船です。方向を失い漂流し、最終的には難破します。その場限りの都合で捨てられた過去の真実は、結局未来世代の安全と平和に巨大な脅威として迫ります。




私たちは日韓両国政府が真に平等で互恵的な関係を築くことを望みます。韓半島を越え、全世界の平和を切に願います。そのために最も緊急かつ重要な前提条件は、日本の戦争犯罪の認識と真相究明、被害者への謝罪と賠償です。帝国の皇帝を自任し、全世界を略奪と搾取、侵略の対象とみなす米国のトランプはもちろん、極右と超国家的な巨大資本の結合への対応が緊急な、まさに今こそが絶好の機会だと思います。

 


どうかこの道に韓日両国政府が積極的に努力を傾注することを強く求めます。



 

2025930

日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯 理事長 李娜榮(イ・ナヨン)



(訳 権龍夫)