〈報告〉戦時性暴力問題連絡協議会 第90 回 水曜行動 in 新宿 朝鮮学校弾圧の歴史、今に至る「無償化」排除の現状(森本孝子)
まず、毎月韓国の水曜行動と連帯して、日本でも水曜行動を行っている皆さんに敬意を表します。
私は「朝鮮学校「無償化」排除に反対する連絡会」で活動しています。
朝鮮学校差別と慰安婦問題は通底した問題があると思います。それは、どちらも日本がかつて朝鮮に対して行った植民地支配に由来する問題だからです。今年は日本の敗戦80年、それは朝鮮の人々にとって、植民地からの解放80年ということです。多くの朝鮮学校は創立80年を迎えます。植民地支配で奪われた言葉を教えるために国語教習所として設立された学校はやがて全国に500以上も作られました。
朝鮮学校は多くの弾圧を受けてきました。アメリカの東アジア政策の変更から、1949年「朝鮮学校閉鎖令」が出され、それに抵抗した人々に対しては、放水を浴びせ、さらには銃で脅かし、遂に一人の少年が殺されました。
抵抗運動の指導者だった兵庫県の朝連の代表は、拘束され拷問を受け釈放されて間もなく死亡しました。この事件は4・24阪神教育闘争と呼ばれています。この犠牲者二人は青山墓地に葬られ、毎年、4月24日にはその墓前で追悼式が行われます。
韓国では長い間日本に朝鮮学校があることは知らされず、「ウリハッキョ」という映画の公開によって、知ることになりました。
日本で頑張っている同胞たちを応援しようと、多くの団体が集まり「朝鮮学校と子どもたちを守る市民の会」が結成され、コロナ感染下までに14回訪日されました。その後保守的な政権の下で、来日できず、昨年12月の前大統領による戒厳令に反対する市民の力で大横領が代わり、また来日できるようになるでしょう。この市民の会は今、「世界100万署名」を集めようという活動を行い私たちも協力しています。韓国からくる方たちは、青山墓地の追悼碑にも必ず寄ってくれます。
朝鮮学校の生徒や学校が国を訴えた裁判は1勝14敗という結果になりました。日本の司法は、政治的判断で原告敗訴を告げましたが、国際社会では、国連から、5回も朝鮮学校への差別を止めるように勧告が出されています。しかし、安倍政権は2023年に「国連の勧告に従う義務なし」という閣議決定を行いました。これは慰安婦問題について議員の質問主意書に応えたものでした。
私たちはこの決定によって人権課題を闘う人たちとつながろうと、「国連・人権勧告の実現を!」実行委員会を立ち上げ、毎年学習会やリレートークとデモ、そして世界人権デーにちなむ院内集会を行い、国会議員と一緒に人権問題を考える場を作ってきました。
今、全国の朝鮮学校は約50校にまで減っています。それは政府による朝鮮学校への経済的支援を行わないことも大きな影響です。
2010年に民主党政権下で、長年留保されていた高校までの無償化が実現され、さらに外国人学校まで初めて支援する画期的な政策でした。
しかしその中で、朝鮮学校だけが外され続けています。第2次安倍政権がまず行ったことが朝鮮学校排除でした。それだけではなく、コロナ感染が流行した時には朝鮮大学生にだけ、特別支援金が支給されず、小中級学校にマスクが支給されないなど、多くの差別的行為が行われました。
地方自治体の補助金も廃止や減額され、学校に通わせる保護者の経済的負担は大きくなっています。文科省の役人は経済的負担が大変なら日本の学校に行けばよいと簡単に言いますが、日本の学校で民族教育が行われるでしょうか。
「こども基本法」が制定され、全ての子どもは差別されないと謳われているのに、朝鮮学校の子どもたちは排除されたままです。
今、東京にある9校の朝鮮学校には支援する団体が作られ様々な活動を行っています。すべての子どもたちに、差別されず教育を受ける権利が保障されるために頑張るしかありません。