〈報告〉戦時性暴力問題連絡協議会 第76回水曜行動in新宿(2024.5.15)
5月15日(水)12時半から1時間、第76回水曜行動in新宿を開催しました。
25名で、マイクリレーと200枚のリーフ(添付)を配布しました。また日中の口述歴史研究をしているグループが通りかかり交流。中国から観光に来ていた方も「感謝、感謝」と熱心にカメラを向けていました。
以下、簡単に報告します。
なお、各人の発言内容の詳細は別途報告しています。各URLをクリックしてお読みください。
〈月間報告〉 池田恵理子さん
昨年11月23日の韓国ソウル高裁の原告勝訴判決のあと、中国でも被害者遺族が、日本政府に対して、性暴力加害の責任を求める裁判を始めたこと。その決断に対して、「山西省を明らかにする会」として支援する声明を出した。
令和書籍の教科書が検定を通り、群馬の森の碑の撤去など歴史修正主義の右派の動きに、私たちは気を許さず断固として抵抗していく必要がある。そのことがアジアの人々と連帯していくことである。
(池田さん発言の詳細は以下を参照して下さい)
https://www.restoringhonor1000.info/2024/05/202451576in_19.html
〈サバイバーを記憶する〉野平晋作さん
ーインドネシアのマルディエムさんについてー
1996年にマルディエムさんはピースボートに乗船し証言。
さらにその当時、中京テレビが制作したドキュメンタリー「IANFU~インドネシアの場合~」を藤岡信勝氏や小林よしのり氏などが「番組字幕をデタラメだ」と批判したために、その字幕を検証する作業を行った。歴史修正主義者の攻撃を跳ね返しマルディエムさんとともに闘ってきた貴重な体験を話した。
(野平さん発言の詳細は、以下を参照して下さい)https://www.restoringhonor1000.info/2024/05/202451576in.html
「国益」より被害者の裁判を受ける権利を優先したソウル高裁判決 保田千世さん
判決は、私たちの人権を後押しする画期的な判決である。
不法行為を行ったのがたとえ国家であっても被害者たちは裁判を受けて救済されるということを示す判決であった。
日本政府は、「一つの国の裁判所の中で他国を被告として裁判することはできない(主権免除)」と言い、「国際法上の絶対的な決まり」と判決に従わない。
しかしそれは19世紀の考えであり、いまは多くの例外判決が出ている。
日本政府の主張はウソ。日本も「国連国家免除条約」を締結し、他国を日本の中で正すことができるという法律がある。しかし日本政府は主権免除をタテに判決はおかしいと言い続けている。
河野談話でも語られているように日本軍「慰安婦」問題は重大な人権侵害。私たちは政府のウソを見抜き、日本政府がソウル高裁判決に従うよう求めていきたい。
(下記添付のリーフと、発言内容は、下記を参照)https://www.restoringhonor1000.info/2024/05/2024515-76-in.html
韓国サンケン労組を支援する会 尾澤邦子さん
韓国KBSが制作したドキュメンタリー『日本人オザワ』が百想芸術大賞を受賞。
韓国に進出している日本企業は安い労働力と税金の優遇制度を利用して、大きな利益を上げてきたが、労働組合ができると敵視し、FAX一枚で、労働者全員の解雇を行ってきた。
韓国の労働者は、何度も日本の本社に来て解雇撤回の闘いを続けてきた。その闘いを支援していた尾澤孝司さんがありもしない暴行をでっち上げられ、不当に逮捕され、7カ月半もこう留され、裁判にかけられ、地裁で罰金が言い渡されたために、東京高裁に控訴した。昨日、初公判だったが結審となった。ひどすぎる!こんなひどい日本の司法の現実を許すことはできない!人権が大切にされる社会にしていきたい。
次回はは6月19日(水)です。 12時半~13時半、新宿西口駅小田急百貨店周辺(現在、小田急が工事中ですが、わかりやすいように幟をたてている)です。
(報告 木瀬慶子)
◆今月のリーフ
リーフの表紙
★リーフ内容★
「国益」より被害者の裁判を受ける権利を優先
―私たち自身の人権を守ることにつながるソウル高等裁判所『慰安婦』判決ー
昨年11月23日、ソウル高等裁判所は、日本軍「慰安婦」被害者や遺族などが日本を相手に起こした裁判で、原告の訴えを認め、日本政府に損害賠償を命じる判決を下しました。
日本政府は「国際法違法である」とこの判決に反対しています。
「国家は他国の裁判権に服さない」つまり「A国の裁判所でB国
を被告として裁くことはできない」という国際慣習法があるという
のです。この国際慣習法を主権免除と言います。
「主権免除」―現在は絶対的な規則ではなくなっている。日本政府も、そのことを認めている。
しかし、現在では「主権免除」は絶対的な規則ではなくなっています。すでに19世紀末からたくさんの例外が認められてきました。
さらに、「B国が、A国の領土内で、A国の国民に傷害を負わせたり死亡させたりする不法行為を行った場合には、A国内で裁判ができる」という内容の「不法行為例外」が、今では国際法上、有力な考え方になっています。
今回の判決は、この「不法行為例外」を適用しています。
原告たちは朝鮮半島から強制連行され、慰安所での苛酷な生活で心身に深い傷を負い、死に至った例もあります。そして、このような日本軍「慰安婦」制度は、当時日本が結んでいた国際条約や当時の日本の刑法に違反している不法行為だからです。
実は現在、日本も、この「不法行為例外」を認める「国連国家免除条約」を締結し、これを認める国内法を制定しています。それなのに、今回の判決を国際法違反というのは、筋が通りませんよね。
「国益」より被害者の裁判を受ける権利を優先―判決を裏付ける国際法の流れー
国際法は、国の威信や外交関係の安定などの「国益」よりも、人権を侵害された人が裁判によって救済される権利が大切だとして、主権免除の例外を認める方向に発展してきました。今回の判決は、このような国際法の流れに沿っています。日本政府の言う「国際法上あり得ない」ものではないのです。
実際に、最近の例では、2021年にブラジルの最高裁が第2次世界大戦中のドイツの不法行為に対して、2022年にウクライナの最高裁がロシアの不法行為に対して、主権免除を認めない判決を出しました。中国では、今年4月に、日本軍『慰安婦』被害者の遺族たちが国内裁判所に訴えています。
日本軍「慰安婦」被害者が勝ち取った判決は、私たちみんなの人権を守ることにつながる
原告たちは、名乗り出てから今まで、あきらめることなく、日本やアメリカの裁判所、国連など国際社会で訴え続けてきました。そのことが今回の判決として実を結びました。「国益」より人権。判決は、私たちみんなの人権を守ることにつながります。
日本政府が判決を履行するよう、共に声を上げていきましょう。